2016年07月20日

「マンガの現代史」吉弘幸介

Cimg2811

1947年、手塚治虫の登場で少年マンガがスタートしたとまえがきで著者は記します。

「新宝島」の発表を指しているのでしょう。

この作品が少年マンガのスタートと捉えるかどうかはともかくとしまして、漫画界にとってひとつの起点となったのは確かだと思います。

本書では最初に少年ジャンプを取り上げておられます。

やはりまずはジャンプ現象ですか。

たしかにマンガがいかに市民権を得たかを語るのに、少年ジャンプの発行部数653万部(1995年)というのは欠かせないネタです。

60年代の週刊化突入、70年代の青年誌創刊、そして黄金期に入り始めた80年代。

そして90年代に少年ジャンプの金字塔なんですね。

もちろんその歴史の中でいろいろとあったわけで。

いろんなジャンルのマンガが生まれ、いろんなマンガ家が登場しました。

ギャグマンガ、ストーリーマンガ、4コママンガ、ガロ系のマイナーなマンガなどなど。

その影響は外国にまで及び、今やたかがマンガとは言えないまでになっています。

この本が出版されたのは1993年。

もう20年以上経っているわけですが、それからもまた変遷し続けています。

しかしマンガ雑誌の発行部数は落ちてきています。

売れる単行本はとことん売れているんですけどね。

今後マンガはどのようになっていくのでしょう。

ラベル:漫画本
posted by たろちゃん at 03:43| Comment(0) | TrackBack(0) | 『よ』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年07月18日

「とことん! とんかつ道」今柊二

Cimg2812

定食評論家の著者がとんかつにこだわって食べ歩いた本です。

東京近辺を中心に、札幌や名古屋、大阪、ハワイまで。

「とんかつ和幸」などのとんかつチェーン店、「大戸屋」や「やよい軒」などの定食チェーン店もチェック。

バリエーションとして串かつ、カツカレー、カツサンド、かつ丼なども。

とんかつの歴史にもページを割いておられます。

タイトルどおりとことんとんかつにこだわった一冊です。

とんかつというのは無性に食べたくなるときがありますね。

これは揚げ物の求心力なのか肉の魔力なのか。

とんかつにどぼっとソースをかけちょっと辛子をつけたりなんかしてサクッと食いちぎり咀嚼し、追いかけるようにごはんを頬張る。

たまりませんね。

私は魚が好きですし肉よりも魚を心掛けていますが、無性に食べたくなるほどの求心力はありません。

とんかつ恐るべしです。

で、とんかつ屋の定食ってキャベツのおかわりが無料だったりして、これがまた嬉しい。

この本を読むと今すぐにとんかつが食べたくなります。

ラベル:グルメ本
posted by たろちゃん at 02:43| Comment(0) | TrackBack(0) | 『こ』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年07月16日

「ファミリー・シークレット」柳美里

Cimg2813

我が子に暴力を振るってしまう。

ひどいときには死に至らしめてしまう。

そのような事件をニュースで見聞することもまれではありません。

なぜ愛する子供にそのようなことをしてしまうのか。

2008年、芥川賞作家である著者が自身のブログに我が子を叩きまくったと書き、2ちゃんねるで祭りになります。

一気に話は広まり、スポーツ紙や週刊誌から取材依頼が殺到。

著者は臨床心理士のカウンセリングを受けることにし、その内容を赤裸々に綴ったのがこの本です。

自身も子供の頃親から虐待を受けており、それがトラウマになっているようですね。

それを無意識に自分の子供に「再演化」してしまう。

カウンセリングを受け、心の闇をさらけ出し、それをこのようにノンフィクションとして公表するところがこの著者らしいといいますか。

今まで書いてこられた小説がそうでしたからね。

傷口のかさぶたをひっぺがし、流れ出る血を作品にしてこられたような作家です。

以前に「仮面の国」というエッセイ集で子供を虐待する親を断罪しておられましたが、それは当然のことでしょう。

肯定する人などいないと思います。

そのときはまだ子供がおられませんでしたが、いざ自分が親になってみると我が子に対してそのようなことをしてしまったんですね。

それほどトラウマというのは根深く、子供の頃の体験というのは後の人生にも影響を与えるようです。

しかしなんだかんだとつねに言動が注目を浴びる刺激的な作家さんですね。(笑)

posted by たろちゃん at 02:42| Comment(0) | TrackBack(0) | 『ゆ』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年07月14日

「エデン」近藤史恵

Cimg2814

ロードレースの世界最高峰、ツール・ド・フランス。

パート・ピカルディというチームに所属する白石誓は唯一の日本人選手としてレースに挑みます。

しかしチームからスポンサーが撤退することになり、チームの解散も噂される状況です。

監督やチームメイトたちは翌年の身の振り方を考え、さまざまな駆け引きが生まれます。

友人となったライバルチームの若いエースには薬をやっているという黒い噂も浮上して。

そんな中、誓はどのように振る舞い、戦っていくのか・・・・。

「サクリファイス」の続編です。

今回はツール・ド・フランスという大きな舞台。

前作と同じく誓はチームのエースをアシストする立場です。

そこが話の展開にドラマを与えているんですね。

レース上の戦略もそうですし、チーム内での身の振り方もそう。

エースのミッコを勝たせてやることはできるのか。

自分自身の成績は。

翌年もこの“楽園”で戦うことはできるのか・・・・。

ロードレースの緊迫感溢れる描写と共に、そのようなさまざまなドラマも描かれています。

今回もやはり読み応えのあるいい作品でした。

ラベル:小説
posted by たろちゃん at 03:36| Comment(0) | TrackBack(0) | 『こ』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年07月12日

「想像ラジオ」いとうせいこう

Cimg2815

深夜二時四十六分。

想像力の中だけでオンエアされる『想像ラジオ』。

小さな海辺の町からDJアークが発信しているのですが、その場所はなんと高い杉の木の上。

木のてっぺんに引っかかり仰向けになって首をのけぞらせた状態での放送です。

曲をかけ、リスナーからのメールを紹介し、そして自分のことを語っていく中でだんだんとその町やアークに何が起きたのかが読者に見えてきます・・・・。

東日本大震災を題材にしているわけですが、これはまあ読み始めてすぐにわかります。

ただこの作品ではいかに震災が凄まじいものだったかとか、どれほどの被害があったのかとか、原発がどうだとかいうことを語っているわけではありません。

そういうハード面ではなくもっとソフト面といいますか。

震災で無事だった人と亡くなった人、この世とあの世、現実と非現実、それらを渾然とリンクさせ一体化させ、つながりを描いています。

あの世というのはこの世があってのことなんですよね。

自分が今生きているから死んだ者のことを思うことができる。

あの世というのがあるとして、もしそこに死んだ者の意識があるのだとしたら、やはり生きている者のことを思っていることでしょう。

行ったことがないのでわかりませんけども。(笑)

アークも中2になる息子のことを思い、奥さんのことを心配しますし。

死による別れは悲しく寂しいことですし、心残りも生まれますけども。

けど、想像力でそれを少しでも補うことが可能なのかなと。

相手を思い続けること。

耳をすませば、想像力で大事な人の声が聞こえてくるのかもしれません。

ラベル:小説
posted by たろちゃん at 03:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 『い』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする