2016年09月20日

「ナンシー関の顔面手帖」ナンシー関

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ナンシー関。

消しゴム版画家でありコラムニスト。

消しゴムで似顔絵を彫るだけでも特異な才能なのに、鋭い観察で芸能人たちを切りまくったコラムがまた絶品。

天は二物を与えるものなんですねぇ。

一物さえ無い人も大勢いるのに。(笑)

この本は著者最初の単行本を文庫化したものです。

コラム69本、版画101点。

それぞれのコラムに版画が添えられているわけですが、まず版画だけで笑えます。

一発芸の破壊力があります。

そしてその人物の言動を分析した切れ味の鋭い文章でいかにもと頷いてしまうんですよねぇ。

いやほんと面白くて痛快です。

そんな稀有な才能も2002年に39歳の若さで急逝してしまいました。

今でも芸能界や社会のいろんな話題を見聞するたびに「ナンシーが生きていたらどのように批評しただろう」なんて思ってしまいます。

もう新作は読めません。

未読既読に関わらず、残された作品集を順に楽しんでいきたいと思います。

ラベル:エッセイ
posted by たろちゃん at 00:56| Comment(0) | TrackBack(0) | 『な』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年09月18日

「奥薗壽子の ほのぼのほどほど 「家庭料理の底力」」奥薗壽子

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ナマクラ流ズボラ派家庭料理研究家。

著者の肩書きだそうです。

ラクして楽しく美味しい料理を作りましょうということなんですね。

たしかに毎日料理する主婦にとってはそうそう手間をかけていられませんし。

でもこの著者の料理はインスタントを使ったりしないんですよね。

だしの素とか。

ニンニクやしょうがもチューブを使ったりしません。

そして科学的根拠の無いことはやらなくていいと言います。

特に理由も無いのに昔からこのようにやってきたからというだけのことが料理には結構あると。

そんなプロセスは省いてラクしましょうということです。

手を抜いていいところといけないところの見極め。

それがツボであると。

この本では著者の家庭での食生活を書いたエッセイと、31の簡単レシピが紹介されています。

私もけっこうこの著者のレシピは参考にさせてもらってます。(笑)

ラベル:グルメ本
posted by たろちゃん at 03:48| Comment(0) | TrackBack(0) | 『お』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年09月16日

「スコーレ No.4」宮下奈都

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田舎だと言われたらちょっとむっとするけれど、都会かと言われれば自ら否定しそうな、物腰のやわらかな町に住む津川麻子は中学生。

家は古道具屋を営んでおり、祖母と両親、ひとつ下で小学生の七葉、6つ下の紗英と暮らしています。

そんな麻子の成長を描いた4つの物語です。

スコーレというのはスクールの語源となったギリシャ語だとか。

No.1では中学校、No.2では高校、No.3では大学と就職して派遣された高級靴店、No.4では本社での勤務が描かれています。

平凡な自分と違って器量のいい七葉、学校の友人たち、職場の人たち、恋人。

いろんな場所で、いろんな人たちとの出会いの中で、少女から大人へ。

一人の女性の丁寧な成長物語です。

全編麻子の1人称で書かれているのですが、No.1の中学校時代はやはりちょっと違和感を持ちました。

子供の視線での1人称というのはどうしても無理があると私は思っています。

小学生や中学生がそんな言い回しや物の考え方をするわけないだろと。

なので就職してからのNo.3とNo.4がよかったですね。

語学を生かして輸入貿易会社に就職したものの、現場研修と称して靴屋の販売員に。

なぜ自分はこんなところにぼうっと立っているのだろうと疑問を持ちます。

ですがそれなりにやりがいを見つけ、職場を変えていったりもします。

3年後にようやく本社に戻りイタリアへ靴の買い付けに。

このあたりは真面目で不器用っぽいながらも生き生きとした描写で、麻子という人物の魅力が伝わりました。

全体的に地味ではありますが、爽やかで味わいのある小説だと思います。

ラベル:小説
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2016年09月14日

「パリジャンは味オンチ」ミツコ・ザハー

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パリに住んで40年の著者がパリジャンやパリジェンヌの本当の姿を書きます。

ケチで意地悪でわがままなパリジャンたち。

しかし憎めないのだと著者は言います。

そして美食の街で知られるはずのパリっ子たちは実は味オンチだった・・・・!?

世界中から憧れを持って観光客が訪れる花の都パリ。

ですが外から見るのと地元民として中から見るのとは大違い。

ま、これはどこでも一緒でしょうけど。

グルメについてですが、たしかに最高級のレストランの料理はまさに美食の極みでしょう。

しかし庶民の普段の食事といえば美食とは程遠く、思いのほか質素です。

日本人の普段の食事のほうがよほどごちそうです。

フランスには「ミシュラン」と並ぶレストランガイドブックで「ゴー&ミヨ」というのがありますが、その創始者であるアンリ・ゴー氏と食べ歩きの取材をしたときのことが書かれています。

鮨には驚くほどの醤油とわさびの量だし、焼き鳥のタレをごはんにかけるし・・・・とまるっきりの和食ビギナー外人だったとか。

しかも鮨好きの氏にフレッシュな本わさびと鮫皮のおろし板をプレゼントしたところ、わさびは本わさびよりもチューブ入りのほうが好きだと言ってのけたとか。

とほほ・・・・。

そういえば何年も前にテレビであるパリの3ツ星シェフを特集した番組で、料理にチューブわさびを使っているのを観たことがあります。

えっ、と思いましたけどね。

この本は特にグルメの話題に限っているわけではなく、パリジャンのあんな話こんな話を楽しく書いておられます。

もちろんそのまなざしに愛情が満ちていることはいうまでもありません。

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2016年09月12日

「まぐろ土佐船」斎藤健次

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フリーのライターをしていた著者がある日新聞にマグロ船の記事を見つけます。

仕事に行き詰まり不健康な生活をしていた著者はその世界を体験したいという強い好奇心に駆られ、マグロ船に乗ることを決意します。

高知に渡り船員斡旋所を訪ねたものの、経験も船員手帳も無い人間をまともに相手してくれません。

しかしスナックのバーテンとして住み込みで働き、漁師や地元の人たちに溶け込んで意志を理解してもらい、ようやく認めてもらうことになります。

いざ航海へ・・・・。

いやぁ、なんとも過酷な世界ですね。

もちろん仕事は厳しい。

暴風雨もあります。

まさに死と隣り合わせです。

怪我や病気になってもほいほいと病院に行くわけにはいきません。

著者が乗った船でも怪我人が出、病人が出ています。

他の船では死者も出ています。

私なんかはまず100%無理ですね。

10分でダウンでしょう。(笑)

周りは何も無い海の上です。

何年も日本に戻れませんし、気が狂ってしまうかもしれません。

実際ノイローゼになる人もいるようです。

人間関係も濃密であり複雑です。

著者は3度航海されたそうですが、2度目からはコック長としての乗船です。

なので料理についても触れられているのですが、食事は閉ざされた船の中での貴重な楽しみですね。

このあたりは以前に読んだ「面白南極料理人」に共通したものを感じます。

まぐろにマヨネーズなんて食べ方もさっそく真似してみました。(笑)

1770日もの男たちの壮絶なマグロ漁を描いたこの作品、一般人には知られざる世界を読ませてくれる貴重なノンフィクションです。

posted by たろちゃん at 03:43| Comment(0) | TrackBack(0) | 『さ』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする