2016年10月30日

10月の一冊

今月の読書は14冊。

そのうち小説は4冊。

せめて半分の7冊は読みたかったところですが。

谷崎と中上に手こずったか。(笑)
 
・「もたない男」中崎タツヤ
・「何者」朝井リョウ
・「AERACOMIC ニッポンのマンガ 手塚治虫文化賞10周年記念」
・「巴里の空の下オムレツのにおいは流れる」石井好子
・「深夜食堂の勝手口」堀井憲一郎 協力◎安部夜郎
・「鍵・瘋癲老人日記」谷崎潤一郎
・「真相はこれだ! 「昭和」8大事件を撃つ」祝康成
・「活字のサーカス -面白本大追跡-」椎名誠
・「ショコラティエの勲章」上田早夕里
・「平松洋子の台所」平松洋子
・「料理を作る仕事につきたい」宮葉子
・「あのころの未来 星新一の預言」最相葉月
・「千年の愉楽」中上健次
・「なぜ人妻はそそるのか? 「よろめき」の現代史」本橋信宏

「もたない男」、とにかく徹底的に余計なものを排除するという著者。

しかしいくらなんでもここまでくるとちょっと異常。

「何者」、自分は何者であり他人とどう違うのだろうか。

誰もが思うことでしょうが、たいがいの場合何程の者でもなくその他大勢エキストラです。(笑)

「AERACOMIC ニッポンのマンガ 手塚治虫文化賞10周年記念」、手塚治虫文化賞10周年を記念したムック本。

マンガファンには保存版の一冊でしょう。

「巴里の空の下オムレツのにおいは流れる」、猫も杓子も外国に出かける今とは違った時代。

まさに巴里という字が当てはまる雰囲気です。

「深夜食堂の勝手口」、人気グルメマンガの内容をネタにしつつ、あまり関係のない無駄話的なエッセイ。

レシピ付きなので実用にもなります。

「鍵・瘋癲老人日記」、年配の男たちの倒錯した性癖が綴られた日記形式の作品。

谷崎らしいフェティシズムとマゾヒズムが滑稽にも思えます。

「真相はこれだ! 「昭和」8大事件を撃つ」、昭和という時代に起きた8つの事件のルポタージュ。

ま、裏話的な内容ですね。

「活字のサーカス -面白本大追跡-」、本を紹介したエッセイです。

こういうのは今後の本選びの参考になります。

「ショコラティエの勲章」、シリーズの番外編的な作品。

ミステリーとしてはあまり出来が・・・・。

「平松洋子の台所」、料理にまつわる道具を取り上げたエッセイです。

ブランドとかではなく“ゆとり”や“味わい”で選びたいものです。

「料理を作る仕事につきたい」、現在料理人として活躍しておられる人たちへのインタビューなど。

タイトルどおりそのような仕事を目指している人の参考になる一冊。

「あのころの未来 星新一の預言」、数多くのショートショートを残した星新一。

現在を預言していたような作品も多数ありました。

「千年の愉楽」、路地、血、生、死・・・・。

オリュウノオバが見続けた男たちの物語。

「なぜ人妻はそそるのか? 「よろめき」の現代史」、熟女ブームの昨今。

それに乗じて人妻もお求めやすくなりました。(笑)

ということで今月の一冊。

読み応えということでは「鍵・瘋癲老人日記」と「千年の愉楽」。

テーマ自体は新鮮ではないものの上手く突いてきたなと感じたのは「何者」。

頭を使わず楽しめたのは「深夜食堂の勝手口」ですか。

何を基準にとなりますが、やはりどしっと手応えのあった「千年の愉楽」でいきましょうか。

今月の一冊はこれです。

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2016年10月28日

「なぜ人妻はそそるのか? 「よろめき」の現代史」本橋信宏

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現在エロ業界ではやたら『人妻・熟女』がもてはやされています。

昔は男性がそそられる対象といえば基本的に若い女性でした。

例えば昔のエロ本やポルノ映画なんてどう見ても30代40代のババアがセーラー服着てましたもんね。(笑)

独身OLや秘書なんて設定で制服着てても売れ残りのお局さんといったところ。

とにかく若作りをしていたわけです。

ですが今ならそんな小細工はせず、堂々と『人妻・熟女』として売り出すことができます。

むしろ女優が実際の年齢よりもいくつかサバを読んで上の年齢に偽っているほど。

なぜ『人妻』という存在が現在のように男をそそる存在になったのか。

この本では戦後の風俗を背景にその時代の映画や小説などを取り上げ、理由と変遷を検証しています。

例えば文学では三島由紀夫の「美徳のよろめき」。

この作品では人妻が夫以外の男に惹かれることを「よろめく」と表現され、読者から支持されたり。

80年代には「金曜日の妻たちへ」というドラマがありまして、これが「キンツマ」なんて呼ばれて不倫がメジャー化しました。

テレクラブームなんてのもありましたね。

人妻(に限らずですが)がどんどん性のテリトリーに進出してきました。

それは女性が性に対して昔からは考えられないほどオープンになったこと、それなりの年齢でもじゅうぶん性的な魅力があることなどが原因でしょう。

若い女性よりも落ち着きと色気がありますし。

なにより人妻の貞操観念のハードルが相当低くなりました。

そりゃそそられます。

男としてはこんなのをほっとく手はありません。

いい時代になったものです。

ありがたく楽しませていただこうではないですか。(笑)

posted by たろちゃん at 00:05| Comment(1) | TrackBack(0) | 『も』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年10月26日

「千年の愉楽」中上健次

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連作短編集。

路地に住む中本の血を引く男たちの物語です。

ヤクザだったり色事師だったり盗人だったり。

どの男も若くして死んでいきます。

そんな男たちを取り上げて赤ん坊の頃から見続けてきたのが産婆のオリュウノオバ。

主人公は代われどオリュウノオバの目はずっと路地にあり続けます・・・・。

なんといいますか、古代神話のような雰囲気がありますね。

見事に“世界”を創り上げています。

路地やそこに住む者たちのことを俯瞰で見ているようなオリュウノオバの視点はまるで神のよう。

もしかして何百年も生き続けているのではないかと思わせるものがあります。

読んでいるとなんだか時間を超越しているような気がしてきます。

男たちの生と死。

身体に流れる中本の血。

倫理など存在しないごとくの生き様。

なんとも濃い物語です。

さすがの中上健次ですね。

ラベル:小説
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2016年10月24日

「あのころの未来 星新一の預言」最相葉月

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SFというジャンルで1000編以上ものショートショート作品を残した星新一

その作品には今からすれば未来を預言していたかのような内容が多々ありました。

ネット社会やらクローン技術やら。

そんな星作品を科学をテーマに執筆してこられたノンフィクションライターの著者が取り上げ、現在の状況と照らし合わせて書かれたエッセイです。

星新一の作品は私もほとんど読んだと思います。

でも内容はたいがい忘れてますけど。(笑)

この本を読んで改めて提示されますと、なるほど現在を予知していたかのような内容があったりしますね。

もちろん感心はするのですが、しかし何十年後かにはこのようになっているだろうというのは素人でも空想しますし、現状の科学を延長すればある程度の予想はつくでしょう。

未来はああなっているだろう、こうなっているだろうだけではなく、それを原稿用紙20枚ほどの中で世界を創り上げたのが星新一のすごいところ。

きっちりと未来へのメッセージを込めておられます。

本人が意図していたのかどうかは知りませんが。

メッセージというよりも皮肉といいますか警告と受け取っていいかもしれません。

本書では紹介されていませんけども、例えば私の好きな『おーい でてこい』という作品。

地面にぽっかり開いた大きな穴を発見した村人。

動物の巣かなと「おーい、でてこい」と声をかけるが反応がない。

小石を投げ込んでみるがやはり反応がない。

どうやらこの穴には底がないらしい。

やがてあちこちから人がやって来てその穴にごみは放り込む、犯罪の証拠品は放り込む、死体まで放り込む。

これは便利だとやりたい放題です。

それから時代が進んで未来。

空から「おーい、でてこーい」という声が聞こえます。

その後小石が降ってきて・・・・。

そこで話が終わっていたはずですが、その後どうなるかは明らかです。

面白くも怖い話です。

ごみ問題ですよね。

天に向かって唾を吐くといいますか、その場で自分はよくても後になってしっぺ返しが来ますよと。

この本ではいろんな事例に照らし合わせておられます。

さすがに最相葉月、その検証は専門的です。(笑)

posted by たろちゃん at 03:40| Comment(0) | TrackBack(0) | 『さ』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年10月22日

「料理を作る仕事につきたい」宮葉子

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現在は料理を作る仕事というのがすごく人気あります。

いま第一線で活躍しておられる重鎮料理人の著書などを読みますと、昔はさほど社会的な地位もなく料理人になりたいなんて言えば親に猛反対されるようなこともあったようです。

ですが現在は料理人といえば一部の人などはスター扱いですもんね。

その扱いの良し悪しはともかく、料理人という職業が真っ当な評価をされるのはたいへん結構なことだと思います。

さて、この本ではそんな料理を作る仕事につきたい人たちに対してのアドバイスになる内容となっています。

若い女性で料理研究家を希望する人が多いみたいですね。

なのでこの本でも料理研究家をメインに取り上げておられます。

まずは各料理人へのインタビュー。

第1章では、加藤千恵(洋菓子研究家)、大森由紀子(フランス菓子研究家)、藤野真紀子(料理研究家)、森洋子(料理研究家)、枝元なほみ(料理研究家)の研究家各氏。

第2章では、「ラ・ボッテガ」(イタリア料理店)大西要愛、パテ屋(洋風惣菜店)林のりこ、フリーバース(ケータリングチーム)馬詰佳香、「カフェ・フードオルガン キナコ」(家庭料理店)伊地知一子の起業家各氏。

第3章では料理の仕事に就くための具体的なアドバイスとして、どういう専門学校があるのか、開業のためにはどのような資金がいるのか、融資を受けるにはどんな機関があるのかといったことに触れておられます。

テレビや雑誌などで華々しく活躍しておられる料理人たち。

そんな上辺だけを見て憧れている人が多いのも事実。

ですがフリーで活躍したり自身がオーナーとなり店を経営していくとなると、たいへんな苦労があります。

それでもやはり好きな仕事にはつきたいですよね。

そんな夢を追いかける人はご一読を。

ラベル:グルメ本
posted by たろちゃん at 03:42| Comment(0) | TrackBack(0) | 『み』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする