2016年10月10日

「深夜食堂の勝手口」堀井憲一郎 協力◎安部夜郎

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人気グルメマンガ「深夜食堂」の副読本といいましょうか。

本編に出てきた料理をテーマに著者がエッセイを書いておられます。

例えば最初は『赤いウインナー』。

本編でも第一夜がこれでした。

赤ウインナーといえば当然タコさんウインナーですね。(笑)

これを地元ヤクザの幹部が好んで食べるという話でした。

こちらの本ではエッセイの内容は特に本編とは関係なく、それぞれの料理について本編のカットを数点添え、カラー写真付きでレシピを紹介しています。

タコさんウインナーや猫まんまにレシピもなにもないですけどね。

グルメマンガにもいろいろありまして、ウンチク系、バトル系、B級グルメ系、などなど。

この「深夜食堂」はほのぼのB級グルメ人情系とでもいえますかね。

あまりゴチャゴチャと料理についてのウンチクを垂れたり熱く戦うのはもういいかなと。

こういう日常の料理を扱った身近な話がしみじみいいですね。

あ、本編だけでなくこちらの本も面白いですよ。

小林薫や松重豊らのお気に入り料理紹介ページもあります。

ラベル:グルメ本
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2016年10月08日

「巴里の空の下オムレツのにおいは流れる」石井好子

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著者はシャンソン歌手。

アメリカ留学からフランスに渡ったのは1950年代。

パリでデビューし、日本人シャンソン歌手の草分けともいわれている人です。

なのでもちろんパリで暮らしつつ活躍しておられたわけで、そんなパリ生活での暮らしや料理について書かれたのがこの本。

単行本として出版されたのは1963年です。

今でいうグルメエッセイなわけですが、う~ん、色褪せてないですねぇ。

バターをバタと書いておられるあたりは時代ですが、しかしそれがまた『パリ』ではなく『巴里』なんですよね。

そしてタイトルにも巻頭にもオムレツを持ってきておられるのはさすが。

著者の意図か編集の計らいかはわかりませんが、やはりここはオムレツでなくては。

フォワグラやキャビアではぶち壊しです。(笑)

古きよき巴里という雰囲気が見事に表現されている秀逸なタイトルではないですか。

日本でいうとなんでしょ。

う~ん、思い当たるものがないですねぇ。

魚の煮付け? 肉じゃが? 焼き魚?

巴里の街角に流れるオムレツのにおいの雰囲気とはどれもちょっと違う気がします。

もしかしたらカレーのにおいがそれに当てはまるのかもしれません。

私個人としてはカレーに賛同するものではないのですが、このにおいに郷愁を感じる人は多いんじゃないですかね。

というか、実際むちゃくちゃ多いです。(笑)

それはともかく。

今の時代にパリでグルメがどうのこうのと書く人は大勢います。

でも現在のように気軽に海外に行けるような時代ではないにもかかわらず、そんな時代に向こうで生活しリアルな食生活を書かれた。

そこがこのエッセイの味わいであり、価値だと思います。

あ、巴里のオムレツのにおいに代わる日本のにおい、味噌汁か。

ラベル:グルメ本
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2016年10月06日

「AERACOMIC ニッポンのマンガ 手塚治虫文化賞10周年記念」

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手塚治虫文化賞10周年を記念して出版されたムックです。

浦沢直樹をはじめとした受賞者たちの描き下ろし作品、インタビュー、対談など盛りだくさんな内容です。

その他編集者やアシスタントの密着取材なども。

巻末には幻の手塚マンガが掲載されています。

GHQが検閲用に収集した初期の短編が発見されたとか。

新事実なども確認され、新たに手塚治虫の歴史を知る貴重な資料となりました。

しかしこうやって見ると、手塚治虫という人がマンガ界に残した功績はあまりにも大きいということを痛感させられます。

彼がいなければ日本のマンガは有り得なかったといっても決して大げさではないんじゃないでしょうか。

どれだけの人が手塚治虫に影響を受け、マンガを描きはじめたことでしょう。

後継者たちのマンガが世界各国で受け入れられ、手塚自身もそうですが、高い評価を受けています。

その影響はマンガ界だけにとどまるものではありません。

いまやマンガは日本が誇る文化です。

その礎を築いたのが手塚治虫です。

しかしそれほどの手塚治虫が国民栄誉賞を受けてないんですよね。

オリンピックの金メダリストよりもその功績はよほど深く広く大きいのに。

日本の誇りであり栄誉な人物なのに。

愚痴になってしまいました。(笑)

なんやかんや書きましたが、この本、手塚治虫自身を取り上げた内容ではなく、あくまでも10年間の手塚治虫文化賞を記念して編まれた本です。

永久保存版の一冊。

ラベル:漫画本
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2016年10月04日

「何者」朝井リョウ

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就職活動を始めなければならない時期にさしかかった拓人。

自身は劇団を辞め、同居人の光太郎はバンドを引退します。

光太郎の元カノの瑞月も含め、就職活動を開始した3人。

そして瑞月の留学仲間だった理香が拓人たちと同じアパートに住んでいることがわかり、理香と同棲している隆良も交え5人はたびたび集まって飲み会などしながら就活についての対策や情報交換などを始めるのですが・・・・。

登場人物たちのツイッターでのつぶやきを導入しながら話が進んでいきます。

このツイッターというツールがこの作品のミソです。

見栄、侮蔑、嫉妬、焦燥、羨望。

主観と客観。

表と裏。

本音と建前。

いろんな感情や言動が交錯します。

それらがツイッターのつぶやきに垣間見え、最後はどどどっと砂の城が崩れていくような展開ですね。

ちょっとミステリーの謎解きのようなラストです。

社会人からすれば大学生というある意味安全地帯で良くも悪くももがく彼ら。

精いっぱい背伸びして見栄を張り理論武装しても、しかしその実は別に何ほどの者でもない存在です。

自分だけは特別なんて若いころは思いがちですが。

誰しもそうなんですよね。

歳を重ねていくごとに自分が少しずつ見えてきます。

でも何者なのか答えは出ない気もしますが。(笑)

そんな現代の若者のもがきをツイッターというツールを使って上手く表現されたのではないかと。

ただこういうのを扱うと数年後にはすごく古臭く感じられることがあります。

今からポケベルの時代を振り返るみたいに。

「ポケベルっておいおい・・・・」みたいな。

なので賞味期限が限定される小説でしょうが、現在の風俗を焼き付けたともいえますか。

ラベル:小説
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2016年10月02日

「もたない男」中崎タツヤ

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物を捨てられなくて溜め込んでしまう人は多いようで。
というか、大抵の人がそうなんじゃないですかね。
つい「もったいない」とか「まだまだ使えるし」とか。
「そのうちまた」なんて思いつつ、結局使うことはないんですよね。
で、『断捨離』なんてのが言われるようになりまして。
この著者は物を捨てることにかけては究極です。
まず巻頭に仕事場の写真があるのですが、なんにもありません。
不動産屋に案内される空き部屋のようです。
部屋だけではなくすべてに徹底しておられます。
例えば本。
読み終わった本は捨てるという人はいるでしょう。
しかしこの著者は読み終わったページをどんどん破り捨てます。
ボールペンなんかもインクが減ってくるに連れて本体も短く削っていきます。
オートバイのフェンダー(泥よけ)も無駄だと捨てる。
しかし雨の日に泥水を跳ね上げてびしょびしょになったとか。
そりゃそうでしょう。
ここまでくるともう病気ですね。
ご本人もそれは自覚しておられるようですが、他人に迷惑はかけていないと。
そりゃまあそうですが。
潔いとは思いますけども、さすがに「なにもそこまで」という気がしました。
でもこの著者の何分の一かは見習うべきかもしれません。
現代人は物を持ちすぎ頼りすぎですもんね。
ラベル:エッセイ
posted by たろちゃん at 03:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 『な』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする