2016年11月09日

「手塚治虫はどこにいる」夏目房之介

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これまでマンガ批評のほとんどはストーリー上のテーマを分析することで成り立たせようとしてきたといいます。
しかし著者は〈描線〉と〈コマ〉を徹底的に考え、マンガ表現の仕組みを解こうと考えました。
その考えが基になって築いたスタイルが著者独特の模写を取り入れた批評です。
劇画やアニメとの関わりの中、手塚の線や絵の見せ方、表現方法はどのように変わっていったのか。
著者はその時代時代の手塚や他のマンガ家の絵を取り上げ、模写しつつ分析していきます・・・・。
手塚治虫といえばマンガの神様とまでいわれずっと第一線を走り続けたと思われがちですが、決してそんなことはありません。
悪書追放運動で本を焼かれたりしました。
もう手塚は終わりだといわれたこともあります。
劇画の登場で自身の絵を変えざるを得なくなりました。
かなりの焦りと苦悩があったと思われます。
あまりの忙しさに線が乱れ、アニメの影響で線から手塚らしさがなくなったと著者は指摘します。
絵柄の変化というのは気が付きますけども、線そのものの違いというのはなかなかわかりません。
そういう細かな変化が絵柄の違いに現れてくるのでしょうけど。
やはり力の入れ具合抜き具合など、模写してわかる部分があるんでしょうね。
「ジャングル大帝」など何度も描き直しされているのですが、これはつねに今の読者を意識してのことだったようです。
それほど現在の自分の地位に危機感というか焦りを持っていたんですね。
読者に飽きられ忘れ去られないようにと。
天才だ神様だといわれつつも、つねに意識して時代に合わせて絵を変化させてきたのがこのマンガ家のす
ごいところです。
初期の作品からじっくりと読みたい気分になりました。
ラベル:漫画本
posted by たろちゃん at 02:42| Comment(0) | TrackBack(0) | 『な』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年11月07日

「パリごはんdeux」雨宮塔子

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日記エッセイ「パリごはん」の第2弾。
タイトルからわかるとおり食エッセイですね。
著者は元TBSのアナウンサー。
結婚してパリに住み、優雅な生活を送っておられます。
夫はパティシエの青木定治氏。
でしたが最近離婚されてなんだか揉めておられるようですが。
このエッセイを読みますと、いろんなレストランに出かけたり友人とパーティーをしたりとセレブな生活をしておられます。
しかし離婚の原因が雨宮氏の浪費癖にあるなんて噂を聞きますと、このエッセイも素直には読めなくなってしまいます。
そりゃこんな贅沢してたらダンナも怒るわなと。(笑)
いや、実際のところはどうなのかわかりませんけどね。
まあ順風満帆な結婚生活であってこそこういうエッセイも生きてくるわけで・・・・。
ラベル:グルメ本
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2016年11月05日

「ウイスキー粋人列伝」矢島裕紀彦

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国産の本格ウイスキーづくりが始まって90年。(この本は2013年出版)
それに合わせたのでしょうか、古今90人の著名人たちのウイスキーにまつわるエピソードが収録されています。
第一章では揺籃期として吉田茂、鳥井信治郎、古今亭志ん生、江戸川乱歩、朝永振一郎など。
第二章は発展期。
黒澤明、吉田健一、田中角栄、升田幸三、池波正太郎など、
第三章は爛漫期です。
開高健赤塚不二夫中上健次、桑田真澄、山崎まさよしなど。
とても幅広い人選ですね。
それぞれに独自のこだわり、思い入れ、飲み方があるものです。
しかしサントリーの創業者である鳥井信治郎は当然として、マッサンこと竹鶴政孝の名前が見当たらないのはどうしたことでしょう。
実質的には鳥井よりも竹鶴が国産ウイスキーの父ですからね。
毎晩ボトル1本を空けていたということで、飲むほうのエピソードにも事欠かないはず。
画竜点睛を欠くです。
ま、それを言い出しましたらあの人はなぜとかこの人はなんでとか収拾付かなくなりますけどね。
ぜひウイスキーのグラスを傾けながら読みたい一冊です。
ラベル:グルメ本
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2016年11月03日

「暗闇一心斎」高橋三千綱

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前作「剣聖一心斎」の続編です。

主人公の中村一心斎、今回は暗闇一心斎と名乗り、またいろいろと活躍といいますか悪さといいますか、しでかしてくれます。

鼠小僧次郎吉や勝小吉、島田虎之助なども出てきますが、この作品では男谷精一郎がメインの脇役ですかね。

というか、いちおう一心斎が主人公であるものの、どうも視点が定まらない。

それぞれの人物から見た一心斎という感じですね。

いろんな人物が出てくるのがこの作品の楽しさでもあるのですが、連作短編集という形式なこともあり、いまひとつ読み応えが弱く感じてしまいます。

ただ一心斎というキャラを描くにおいて、その飄々としたつかみどころのなさはこのような書き方がいいのかもしれません。

その後一心斎シリーズは出しておられないようですが、「空の剣 男谷精一郎の孤独」を出しておられます。

作者としては書いていてむしろ男谷精一郎に惹かれたか。

私もこの人物には魅力を感じました。

またこの作品も読んでみます。

ラベル:時代小説
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2016年11月01日

「書店員の恋」梅田みか

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書店で働く今井翔子は26歳。

一流シェフを目指している水田大輔という彼氏がいます。

大学時代からバイトをしていたフレンチレストランが閉店し、現在はファミリーレストランでバイト中。

ですが最近の大輔には覇気がありません。

夢をあきらめてこのままファミレスの社員になってしまいそうな気配です。

お金がどうの週休二日がどうのという現実的で投げやりなことばかり口にする大輔に、翔子は重い気分になります。

そんなとき翔子の目の前に現れたのがケータイ小説のベストセラー作家、青木譲二。

譲二から積極的なアプローチを受け、翔子の心は揺れます・・・・。

2人の男性のあいだで心を迷わせる恋愛小説であり、書店員という仕事に打ち込むお仕事小説であり、成長の物語でもあります。

恋と仕事、夢と現実、愛かお金か。

女性が主人公の恋愛小説ってつねにこのテーマを抱えていますよね。

お決まりのテーマではありますが、それはつまり普遍的でもあるということ。

誰しも心当たりあるゆえに共感もあるのでしょう。

男性はもっとあっけらかんとしてますけどね。

ところでケータイ作家の名前が青木譲二ってどうよ。(笑)

ラベル:小説
posted by たろちゃん at 02:44| Comment(0) | TrackBack(0) | 『う』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする