前作「剣聖一心斎」の続編です。
主人公の中村一心斎、今回は暗闇一心斎と名乗り、またいろいろと活躍といいますか悪さといいますか、しでかしてくれます。
鼠小僧次郎吉や勝小吉、島田虎之助なども出てきますが、この作品では男谷精一郎がメインの脇役ですかね。
というか、いちおう一心斎が主人公であるものの、どうも視点が定まらない。
それぞれの人物から見た一心斎という感じですね。
いろんな人物が出てくるのがこの作品の楽しさでもあるのですが、連作短編集という形式なこともあり、いまひとつ読み応えが弱く感じてしまいます。
ただ一心斎というキャラを描くにおいて、その飄々としたつかみどころのなさはこのような書き方がいいのかもしれません。
その後一心斎シリーズは出しておられないようですが、「空の剣 男谷精一郎の孤独」を出しておられます。
作者としては書いていてむしろ男谷精一郎に惹かれたか。
私もこの人物には魅力を感じました。
またこの作品も読んでみます。
ラベル:時代小説