2017年01月10日

「こたつ」原宏一

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美津子にプロポーズした“おれ”。
しかし美津子は黙り込んでしまいます。
ようやく口を開いて出てきた言葉は「むずかしい家なのよ、うちって」。
実は美津子は全国的にも名の知れた由緒正しい家元のお嬢様だというのです。
詳しく訊いてみると、なんと実家は『こたつ道』の総本家とのこと。
大事な跡取り娘であるからして、結婚相手は家元が認めた師範級の人物でなければならないのです。
『こたつ道』がどのようなものかわからないおれですが、勢いでおまえと一緒になるためなら師範になってやると宣言します。
そしてこたつ修行が始まるのですが・・・・。
作者の原宏一氏といえば、購入したマイホームの床下に仙人のような風貌をした男が住居を作って住み着いていたという「床下仙人」や、ファミレスなどに押され寂れていく一方の大衆食堂業界が起死回生策としてかつ丼推進キャンペーンを企画する「かつどん協議会」など、ユニークな設定が持ち味の作家さんです。
今回は『こたつ道』。
これがまたしっかりと作法のディティールが作り込まれているんですね。(笑)
『片手三寸足払い』、『序寒』、『火くべ』、『掛け』、『入り』、『呆』、『悦』、『抜き』・・・・。
華道や茶道のように、本当にこのような伝統芸道があるのかと思わせられます。
話もドタバタに展開するわけではないので、妙なリアリティがあるんですよね。
そのぶん小じんまりとした印象で突き抜け感はありませんが、もちろんベクトルはそちら方面ではありませんのでこれで結構。
他、関東のはずれにある港町の町長が町のハリウッド化をぶち上げる「町営ハリウッドムービー」が収録されています。
ラベル:小説
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2017年01月08日

「人生解毒波止場」根本敬

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世の中、変な人がいます。
そんな人たちに関わり、その言動を観察したエッセイです。
電波系の喫茶店ママ、ゴミ屋敷の老婆、日本一のM男、大阪西成の自称画白(伯)・・・・。
今の日本は気取って綺麗なものばかりになってしまったというのが著者の弁だそうですが、まあたしかに昔にくらべると皆小奇麗で常識的にはなりましたね。
ある意味キョーレツな個性の人が少なくなったといいますか。
電波系の人たちなんてのは安全地帯から観察しているぶんには面白いですが、隣近所にいるとちょっと勘弁願いたいところです。
でもいったい何がまともなんでしょう。
現在の一般常識的な人たちがはたして本当にまともなのか。
変人といわれる人は少数だからそのように扱われているだけではないのか。
むしろ変人として生きたほうが楽ではないのか。
そのようなことも思ったりしました。
それはともかく、著者は「ガロ」で昔から個性のきっついマンガを描いてこられたマンガ家です。
この本に登場する人たちはかなりのものですが、それを喜んで受け入れる著者もさすがといいますか。
類は友を呼ぶのでしょうか。(笑)
ラベル:エッセイ
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2017年01月06日

「人気アニメ・マンガのあり得ないミス200」鉄人社

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タイトルの通りアニメやマンガのミスを発見し指摘した一冊。
当然のことながらアニメもマンガも人の手によるもの。
ミスはあります。
作画上のミスで多いのは指が6本あるとか。
ついやっちゃうんでしょうねぇ。
長編マンガの場合、何年も経つと絵が大きく変化しているというのがありますけども、これをミスといってしまっては作者もつらいところでしょう。
どうしても変わってしまいます。
ただ「キャプテン翼」のように異様な体型に変わっていくのはちょっと不気味ですけど。
「オバケのQ太郎」ではオバQの毛が3本というのがトレードマークですが、最初は10本ほどありました。
作者の藤子不二雄A氏によると「気が付いたら減っていた」とか。
ストーリーが最初の設定はどこへやらというのはどうでしょう。
最初ギャグだったのがシリアスになったり、その逆だったり。
「キン肉マン」なんかそうですね。
もともとギャグマンガでした。
いつの間にか消えてしまったキャラなんてのもあります。
うかつなことを描いてしまって問題になり、連載打ち切りなんてのも。
これは「私立極道高校」が有名です。
アニメでは時間が足りず、まるで紙芝居のような状態で放映されたりする場合があります。
いろいろありますわな。
こういうので楽しむのは邪道かもしれませんが、ま、失敗したものはしょうがない。
『まちがったっていいじゃないか にんげんだもの』みつを(笑)
ラベル:漫画本
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2017年01月04日

「イトウの恋」中島京子

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中学校で郷土部の顧問をしている久保耕平が鎌倉の実家の屋根裏で見つけた郷土人の手記。
それは伊藤亀吉という通訳者が書いたものでした。
維新後間もない日本を旅するイギリス人女性探検家I・Bの通訳を務め、言い争いなどをしながらもずっと歳上の彼女に引かれていくイトウの心情が書かれています。
しかし手記は途中までで、イトウとI・Bがその後どのようになったのかがわかりません。
耕平は手記の続きを見つけるため、イトウの曾孫にあたる劇画原作者の田中シゲルを訪ねます。
最初はまったく関心を示さなかったシゲルですが、イトウのその後やイトウの孫であり自分を置いて出て行った母親のことが気になり始め、耕平と行動を共にすることになります・・・・。
読む前はタイトルからしてほのぼのとした恋愛小説かなと思っていたのですが、ちょっと違いましたね。
まずイトウの手記を大発見だと興奮するちょっとダサい耕平と、マイペースでつっけんどんな大女シゲルの組み合わせの面白さがあり、ここには恋愛の要素はありません。
独身で30歳後半になろうとするシゲルの“母親”というものに対する思いがじんわりと描かれています。
劇中劇のように間に挟まれるイトウの手記がシゲルの心を動かしていくんですね。
もちろんこの手記がいい。
自分の親ほど歳の離れた女性に惹かれていくイトウが真面目で不器用で強がりで。
憎めません。
デビュー作の「FUTON」でも田山花袋の「蒲団」を妻の側から書いた「蒲団の打ち直し」という作品をやはり劇中劇のように間に挟み、二重構造な作品となっていました。
この「イトウの恋」でベースとなっているのは実在した人物たちです。
「日本奥地紀行」(作中では「秘境」という作品名)の著者であるイザベラ・バードと通訳として同行した伊藤鶴吉がモデル。
実際にふたりの気持ちがどうだったのかわかりませんが、これをベースにしてイトウの恋心を描いた小説に仕上げたのは作者のセンスと力量ですね。
いい作品でした。
ラベル:小説
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2017年01月02日

「小林カツ代と栗原はるみ 料理研究家とその時代」阿古真理

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最近は料理研究家という人たちが引っぱりだこですね。
テレビを観ればどのチャンネルにも必ず毎日料理研究家が出ています。
本屋に行けば賑やかに彼女(彼)らの本が並んでいます。
そんな料理研究家たちと日本の暮らしの変遷や女性の生き方を重ね、検証した本です。
タイトルには小林カツ代と栗原はるみという名前が出ていますが、ふたりに特化した内容ではありません。
働く女性たちに時短料理を提案し支持を集めた小林カツ代、外食の普及で家庭料理にも変化が求められ数千ものレシピでカリスマ的な人気を集めた栗原はるみ、というように紹介されています。
料理研究家の歴史の中でもやはり時代の節目節目にはエポックメーキングな人が登場し、その時代に合わせた料理やライフスタイルを提案してきたということですね。
皆が外国のセレブリティに憧れ始めたときに西洋料理を紹介した飯田深雪、昔の家庭料理が危ぶまれ始めると新米主婦たちに伝統的な家庭料理を教えた土井勝や辰巳浜子。
生活が落ち着き始めるとパーティ料理など遊びのあるレシピ本を出した入江麻木や城戸崎愛というふうに。
日本の暮らしの変化とともに、いろんな料理研究家たちが紹介されています。
ただ「料理研究家とその時代」がこの本のテーマではありますが、当時の女性の生き方のほうにもかなり主眼が置かれており、けっこうジェンダーな話にもページが割かれています。
そのあたりは読んでいてちょっとウンザリしましたかね。(笑)
そういう話題を求めて読み始めたわけではありませんので。
ただ料理というものが家庭においては女性の役目という図式がありましたので、昔とは女性の生き方も違ってきた昨今、やはり関連して語らないわけにはいかないでしょう。
ラベル:グルメ本
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