2017年02月17日

「ラジ&ピース」絲山秋子

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野江は群馬県のFM局でDJをやっています。
32歳の独身。
自分の見た目の醜さに自己嫌悪し、つねに他人から攻撃されないかと警戒しています。
ですが自分の番組の中では唯一くつろぐことができます。
そんな野江に気さくに話しかけてくる女医の沢音や、リスナーの斉藤と親しくなるのですが・・・・。
これといって大きな出来事のある内容ではありません。
淡々と過行く日々の中の小さなドラマといいますか。
自分は自分、自分の世界を持ち、その中で繕うことなく無理せずに生きていけばいいのかなと。
読んでそんな思いを持ちました。
併録されている「うつくすま ふぐすま」は横浜と福島出身の同姓同名の女性が知り合う話。
これもやはり表題作と同じように日常の小さなドラマを切り取ったような話です。
ラベル:小説
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2017年02月15日

「キッド」木内一裕

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ちっぽけなビリヤード場を経営する二十歳の麒一。
近所のたばこ屋の女子中学生から助けを求める電話を受けます。
駆けつけてみると男の死体がありました。
家を出たろくでもない父親が帰ってきて暴力をふるい、家の権利書を持っていこうとしたのです。
その家は中学生の女の子、29歳の姉、お婆さんの3人暮らし。
姉は留守をしており、抵抗したお婆さんと女の子は思わず父親を刺し殺してしまったのでした。
どうしていいかわからず女の子は麒一に電話してきたのです。
母親代わりに家計を支えてきた姉は結婚を控えており、ようやく手に入れた幸せの絶頂にいます。
こんな事件が知れたら破談になるのは確実です。
これ以上自分たちのために姉の人生を犠牲にし、狂わせるわけにはいかない。
脅える2人に男気を見せる麒一はその死体を処理することを引き受けるのですが、話は意外な方向に展開していきます・・・・。
いやぁ、面白かった。
二転三転するスピーディーな展開、持続する緊迫感にドキドキハラハラ。
二十歳の若者がヤクザ相手にという現実離れした内容ではありますが、細かなところをきっちりとリアリティで抑えてあるのはさすが。
存分に楽しめるエンターテイメントでした。
この作者の本を読むのはこれで4冊目。
やっぱり木内一裕はええわ。(笑)
ラベル:小説
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2017年02月13日

「大局観 自分と戦って負けない心」羽生善治

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頭を使うゲームといえば、やはり将棋が挙げられるでしょう。
名人戦ともなれば2日がかり、持ち時間9時間ですからね。
それほど考えて考えて手を読むわけです。
プロ棋士などは目隠しして頭の中の盤で将棋を指せるそうですし、過去の棋譜も驚くほどよく記憶しておられます。
名人になったこともある故・米長邦雄は4人兄弟の末っ子でしたが、3人の兄はすべて東大卒。
そんな米長が言ったとされる言葉に「兄たちは頭が悪いから東大にいった。自分は頭がいいから棋士になった」というのがあります。
いったい将棋棋士の頭脳とはどのようになっているのか。
天才集団であることは間違いありません。
そんな棋士の頂点に立つのが著者の羽生善治です。
前人未到の7冠を達成して大きな話題にもなりました。
さて、羽生は日頃どのように物事を考え、心掛け、勝負に挑んでいるのか。
それは「大局観」だといいます。
簡単にいえば部分だけを見るのではなく、全体を見渡すということですね。
しかしわかってはいてもなかなかできることではありません。
ある意味、長年の経験による達観的な境地ともいえます。
この本では第一章 大局観、第二章 練習と集中力、第三章 負けること、第四章 運・不運の捉え方、第五章 理論・セオリー・感情、と自身の経験を例に挙げ、考えを述べておられます。
将棋に限らず他の仕事や日常の生活においても参考になることでしょう。
ラベル:エッセイ
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2017年02月11日

「ブラ男の気持ちがわかるかい?」北尾トロ

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ブラジャーというのは男性には一生縁のないものです。
パンツなら形は違えど男性も着用しますが、オッパイのない男性にブラジャーは不要。
しかし愛用する男性が増えているとか。
著者はさっそくコスプレショップに行き、男性用ブラを購入します・・・・。
シリーズと言えるでしょうか。
いろいろとバカなことを(失礼)実行してみる「キミは他人に鼻毛が出てますよと言えるか」、「キミはヒマラヤ下着の凄すぎる実力を知っているか」の流れですね。
身が引き締まるという理由でブラを愛用する男性がいるとのことですが、それならなにもブラでなくともいいわけで。
襷(たすき)のようなものでもいいわけです。
あるいは晒(さらし)とか。
やはりそこには倒錯した性癖が底辺にあると思うのですが、どうでしょうか。
さて、著者がブラを着用した結果。
ホックを留めてもらった妻に笑われ、3歳の娘に「キモチワルイ」と言われ。
街に出、電車に乗ったものの、圧迫感に耐えられなくなりチクチクムズムズせり上がってきて気持ち悪い。
やがては痛みさえ感じるようになり。
帰りは駅から家まで走り、引きちぎるようにブラをはずしたとか。
ご苦労様です。(笑)
その他、150キロの剛速球をバントできるか挑戦してみたり、ゴルフ接待とはどのような気分なのかと接待を受けてみたり、ひとりカラオケで絶唱してみたり。
相変わらずの好奇心とバイタリティです。
ところでこの本、単行本時のタイトルは「全力でスローボールを投げる」だったのですが、文庫化するにあたって改題。
文庫版のほうがストレートに内容を表現していますが、単行本時のほうが秀逸でよかったな。
「全力でスローボールを投げる」は現在著者のブログのタイトルとなっています。
ラベル:エッセイ
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2017年02月09日

「ロックンロール・ウイドー」カール・ハイアセン

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主人公のジャックは新聞社の死亡欄担当記者。
昔売れていたロック歌手ジミーが死亡するのですが、ジャックはその死を不審に思います。
ジミーの妹ジャネットやジミーの妻で歌手のクリオを取材するのですが、どうもクリオの言動が怪しい。
さて、ジミー死亡の真実は・・・・。
この作者の作品はこれで3冊目。
以前に読んだ2作に比べるとコメディ度は薄いですね。
「復讐はお好き?」なんかはけっこう笑えましたけども。
まあコメディ小説ではありませんからそんなことを求めてもいけないんでしょうけど。
しかしミステリーとしてもどうなのかなぁ。
意外性があるわけでなく、決まったレールの上を進んでいくような展開ですし。
500ページを超える長さですが、そんなに枚数が必要な内容とも思えませんでした。
退屈はしませんでしたがワクワク感もありませんでしたね。
ラベル:海外小説
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