2017年03月21日

「つかこうへいインタビュー 現代文学の無視できない10人」つかこうへい

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つかこうへい氏のインタビュー集です。
登場するのは、萩原健一、阿佐田哲也、小池一夫、島尾敏雄、長島(嶋)茂雄、高橋忠之、大竹しのぶ、井上ひさし、中上健次
タイトルでは10人なのに9人しかいませんね。
インタビュアーのつか氏を含めてということなのでしょう。
で、タイトルには「現代文学の無視できない」とありますが、この中で文学者といえば4人です。
なので“現代文学界において”ということではなく、“現代文学が”ということでよろしいのでしょうか。
それでもあまりピンときませんけどね。
しかし直接に文学とは関係なくとも、私的には興味ある人たちばかりです。
やはりそれぞれの第一線で活躍しておられる人たちの発言というのは重いですし。
ただ著者をはじめとして今は亡き人もいらっしゃいますので貴重な内容だとは思うのですが、だからどうなのという感も正直ありますね。
それはまず、この本の構成のせいではないかと思います。
単にインタビューを掲載しているだけです。
著者による『まえがき』も『あとがき』もありません。
総括でもあればぐっと締まったと思うんですけどね。
そしてやはりタイトルと人選の違和感でしょうか。
どうも中途半端な感が否めません。
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2017年03月19日

「戦場でメシを食う」佐藤和孝

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著者はアフガニスタンやボスニア・ヘルツェゴビナ、イラクなどを取材してきたジャーナリストです。
死と隣り合わせのそんな紛争地で、人々は何をどのように食べているのか。
市民やゲリラ、そしてもちろん現地で取材する著者自身も。
本書は戦場という過酷な土地の食糧事情(だけではありませんが)を伝えるルポタージュであり、どんな状況でも腹は減り食わずにはいられない人間のやるせなさを指摘した本でもあります。
いずれにしてもその食事の状況というのはグルメなどという言葉とは程遠いものであり、食うために命を懸けていたりするんですよね。
食わずには生きていけない→ゲリラとして組織に入れば食事が付いてくる→命を懸けてメシにありつく、という構図です。
今の日本ではまず考えられない話ですね。
こういうシビアな実態を改めて知りますと、ほんと平和な国で飽食の中食べることについて好き放題言っているのが情けなくなってきます。
物を食べて生きていくということはもっと重いものであるべきだと。
自己嫌悪ですね。
食事や食糧というものについて、もっと真摯な気持ちを持たなければ・・・・。
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2017年03月17日

「春の道標」黒井千次

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倉沢明史は高校2年生。
サークルで同人誌を発行し、詩を書いている少年です。
学校は旧制中学から新制高校に切り替えられて2年目。
いよいよ来年から本格的に男女共学になります。
明史にはひとつ年上で幼なじみの慶子という少女がいるのですが、彼女と初めてのキスを経験します。
異性への目覚めに戸惑う明史。
しかしそれと同時に通学途中で出会う中学生の棗にも心惹かれ、声をかけ付き合うことになるのですが・・・・。
いやぁ、青くて甘酸っぱいですねぇ。
時代は具体的に記されてなかったと思いますが、旧制中学や進駐軍という言葉が出てくる時代であります。
そんな中での青春であり恋愛なわけですが、根本的な異性への恋愛感情というのはやはり変わらないものなのだなと。
もし自分が今この年代に戻ったとしてどういう恋愛をするだろうと考えると・・・・。
やはり明史と同じようなものかもしれませんね。
変わらないように思います。
青春時代の普遍的な恋愛と性を描いていると思うのですがどうでしょう。
ただ現在の中高生はどうか知りませんけども。
すべての人ではありませんが、昔に比べてチャラい印象がある現在の中高生。
そのような人たちがこの小説を読んでどう思うのか。
つーか、今どきの中高生はこんな小説読みませんわな。
たぶん。(笑)
ラベル:小説
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2017年03月15日

「食客旅行」玉村豊男

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世界各国を食べ歩いた著者の食エッセイ集です。
フランスの田舎でグルヌイユ(カエル)を食べ、中国は雲南省で気鍋鶏を食べる。
モスクワでキャビアを食べつつウォッカを飲み、タイで激辛スープを飲む。
インドではもちろんカレーを食べ、モロッコでサボテンを食べる。
いやいや、羨ましいですね。
読んでいてこちらも世界各国を食べ歩きしているような気分になります。
海外でも国内でもそうですが、やはりその土地その土地の物を食べたいものです。
旅行してわざわざどこでも食べられるような物を食べてもねぇ。
それぞれの話にはしっかりとオチもついており、楽しく読める一冊でした。
ラベル:グルメ本
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2017年03月13日

「ヨーロッパ退屈日記」伊丹十三

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俳優、映画監督、商業デザイナー、エッセイスト、イラストレーター。
その他にもいろんな肩書きでマルチな活躍をしておられた伊丹十三氏。
ですがやはり映画監督としての功績がいちばん目を引くのではないかと思います。
「お葬式」、「タンポポ」、「マルサの女」、「ミンボーの女」など。
シリアスなテーマを扱いつつもコミカルであり、鋭く社会問題を突きながらエンターテイメントで誰もが楽しめる映画でした。
そんな伊丹氏のこれは初エッセイ。
初出は昭和40年です。
もう半世紀前ですね。
なのでもちろん現在とは社会的な事情がまったく違います。
しかしさほど古臭さは感じません。
むしろその20年後あたりのバブル時代を書いたいろんなフィクションやノンフィクションのほうがよほど古臭く感じられます。
やはりそれは本書が上辺だけの浮かれた内容ではないからでしょうね。
ちゃんとした見識に基づいて時代に左右されない正論を書いておられるからで、その視点にはストイシズムやダンディズムがあります。
だからといって堅苦しいわけではなく、その文体は語りかけるようにくだけており、日本で初めての本格的なエッセイとも評されています。
この時点ですでに社会を鋭く風刺しつつもそれをコミカルに読ませるという、後に監督した映画に通じるものがありますね。
本書の内容でよくいろんな人が取り上げるのがスパゲッティについて書かれた章でしょう。
この本で『アル・デンテ』という言葉を知った人が実に多い。
それまで日本人が食べていたスパゲッティ、ありゃニセモノなんだと。
啓蒙された人は正直に手を挙げなさい。(笑)
まあそれくらい画期的な一冊だったということです。
ラベル:エッセイ
posted by たろちゃん at 01:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 『い』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする