2017年04月30日

4月の一冊

今月の読書は14冊でした。

・「絶対味覚」川越達也
・「南極1号伝説 ダッチワイフの戦後史」高月靖
・「漂砂のうたう」木内昇
・「面白い本」成毛眞
・「奇跡のレストラン アル・ケッチァーノ 食と農の都・庄内パラディーゾ」一志治夫
・「山椒大夫・高瀬舟」森鴎外
・「ルンルンを買っておうちに帰ろう」林真理子
・「海の底」有川浩
・「亡食の時代」産経新聞「食」取材班
・「食と日本人の知恵」小泉武夫
・「天使の歩廊 ある建築家をめぐる物語」中村弦
・「荒木飛呂彦の漫画術」荒木飛呂彦
・「ホテルローヤル」桜木柴乃
・「神様のいない日本シリーズ」田中慎弥

「絶対味覚」、まあおっしゃってることはわかるんですけどね。
でもわざわざ「絶対味覚」なんてタイトルで本を出すほどのことでもないかと。
「南極1号伝説 ダッチワイフの戦後史」、エロ業界のバイタリティってすごいですよね。
最近のダッチワイフのリアルなことといったら。
「漂砂のうたう」、 明治維新で価値を失ない、遊郭の客引きとなった元武士の生きざまです。
落ちぶれた先の世界にはその世界なりの人生があります。
「面白い本」、ノンフィクションの書評本。
こういう手引書があるとありがたいものです。
「奇跡のレストラン アル・ケッチァーノ 食と農の都・庄内パラディーゾ」、庄内で地元の食材を生かした料理を作り出す料理人の物語。
華やかなだけの浮ついた料理ではなく、こういう地に足の着いた料理こそが伝えられていくべきです。
「山椒大夫・高瀬舟」、どちらもつらい話です。
ですがその中にも性善説を思わせる救いがあります。
「ルンルンを買っておうちに帰ろう」、林真理子のデビューエッセイ。
この頃からすでにスタイルは確立されていますね。
「海の底」、パニックSF小説ですね。
じゅうぶんに読み応えのある佳作でした。
「亡食の時代」、戦中戦後の食べ物の無い時代はなんだったのか。
豊かなのは結構なことですが、現在の食事情はあまりにも罰当たりなんじゃないでしょうか。
「食と日本人の知恵」、日本人の知恵というのはほんとに素晴らしいですね。
しかし食の洋風化など、その素晴らしさが失われつつあります。
「天使の歩廊 ある建築家をめぐる物語」、主人公が施主の思いを汲みとってちょっと変わった家を建てるファンタジーな小説。
いまいちインパクトがない気がしましたが。
「荒木飛呂彦の漫画術」、人気漫画家が明かす創作の秘密。
漫画家志望の人たちには大い参考になることでしょう。
「ホテルローヤル」、廃業したラブホテルとそれにまつわる人たちを描いた短編集。
ちょっと暗くてやりきれない気分になりますが。
「神様のいない日本シリーズ」、主人公が自分の息子にひたすら語って聞かせる自身の半生。
父と息子の物語です。

ということで今月の一冊。
けっこうどれも楽しく読め、そして味わい深いものもありました。
ですが今月はもう迷わずこれです。
「海の底」。
文句なしに今月の一冊に推します。
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2017年04月28日

「神様のいない日本シリーズ」田中慎弥

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いじめで部屋に閉じこもった小学4年生の息子。
父親は部屋の外から息子に自分の子供時代の話を聞かせ始めます。
野球賭博のトラブルで母と自分を置いて出ていった野球好きな父親のこと、それが原因で野球を毛嫌いするようになった母親のこと。
父親が時折どこからか送ってくる「野球をやれ。中学では野球部に入れ」という葉書。
中学校での妻との出会い、文化祭でその妻と下級生の3人だけの演劇部で演じた「ゴドーを待ちながら」。
1986年に西武ライオンズが奇跡の大逆転を演じた日本シリーズのエピソード、そして現在の野球選手たちについても触れ、父親はひたすら息子に語りかけます・・・・。
これはもうどっぷりとした父と子の物語ですね。
祖父、父、息子と3代にわたる系譜です。
息子への想い、父親への想い、日本シリーズでは奇跡がおきる、母親は息子の芝居を見つめる、ゴドーは来ない・・・・。
最後はそれらが混沌となって畳み掛かり、ちょっとシュールな白昼夢のような雰囲気さえ漂います。
こんなことを部屋の外からひたすら息子に語り続ける父親なんてほとんど酔っぱらいみたいなもので(笑)ありえないわけですが、それだけにちょっと恥ずかしいくらい真正面から父子を描いた作品ともいえます。
なるほど、このような書き方もありなのかと。
ラベル:小説
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2017年04月26日

「ホテルローヤル」桜木柴乃

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北海道は釧路の湿原を見下ろす高台にあるラブホテル『ホテルローヤル』。
このホテルに関わる様々な男女たちの短編集です。
投稿雑誌に送るための写真を撮るカップル。
ホテルにアダルトグッズを納品する営業マン。
舅と同居し世話をしながら切り詰めた生活をしている夫婦。
妻が浮気している単身赴任の高校教師と親に捨てられた女子高生。
『ホテルローヤル』で働く従業員、そして経営者。
様々な人間模様が描かれます・・・・。
ラブホテルという淫靡な場所。
まず密室であるわけですが、これは普通のホテルでも同じこと。
ただカップルで利用するホテルであり、また目的は男女のそれなわけですから、どうしても濃密でドラマな場所となります。
ですがこの作品集ではそのような密室内での男女のドロドロを描いているわけではありません。
舞台がホテルの室内に限定されているわけではなく、むしろホテル内でのどうこうはさらりと触れる程度といっていいでしょう。
このホテルを利用するいろんな人たちにとってはただのラブホテルですが、そんな人たちにはどのような人生があるのか。
そこを描いています。
そしてそのような人たちを受け入れるホテルの経営者側も描かれており、むしろそちらが話の柱となっています。
この本は第149回直木賞を受賞。
直木賞というにはちょっと薄いんじゃないかという印象があるんですけどね。
でもまあそこそこ味わえる小説ではありました。
ラベル:小説
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2017年04月24日

「荒木飛呂彦の漫画術」荒木飛呂彦

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著者の荒木飛呂彦氏といえば「ジョジョの奇妙な冒険」などジャンプ系で人気の漫画家です。
デビューしてから30年以上になられるんですね。
その間、ずっと一線で活躍しておられるのだからすごいことです。
氏のデビュー当時は私も少年ジャンプを購読していまして、なのでデビュー作も読んでいるはずなのですがまったく記憶にありません。
記憶にあるのは「魔少年ビーティー」、「バオー来訪者」あたりからですか。
でもまったく面白くなくて飛ばしてましたね。(笑)
まずアメコミっぽい絵柄が生理的にだめでした。
話の内容もちんぷんかんぷんで。
絵が見づらい(私にとっては)ので、ストーリーが頭に入ってこないんですよね。
でも「ジョジョの奇妙な冒険」なんかはロングセラーになっているわけで、やはり私の読解力が足りなかったのでしょう。
それはともかく、本書は人気漫画家荒木飛呂彦氏が漫画を創作するときのノウハウを惜しげもなく紹介した一冊です。
書かれていることは氏が実践してこられたことなのでもちろん間違っているわけはなく、まさしくヒット作を創るための裏側です。
よく手の内を明かされたものだと思います。
ただそれは明かしたところで皆が“荒木飛呂彦”ではないわけで、その通りまねても同じレベルの作品が描けるわけではありません。
いくら頭でわかっていても、こういうのはやはりセンスであり才能ですからね。
そのあたりの自信もあっての執筆ではないかと思いますが。
しかしこのような内容の本を書かれたことはほんとに思い切りのいることだったと思います。
そして漫画を描く者にとって大いなる参考となるのは間違いないでしょう。
私のようなど素人がこんなことをいうのもなんですが、読んでいて「それはどうかな」と思う部分もあります。
短い期間ですが私もこの仕事をしていたこともありますし。
ある程度は描く側のこともわかっているつもりです。
ですが著者は実績で証明しておられるわけですからね。
やはりそのような人の発言は重いです。
なので、この本の内容をじゅうぶんに咀嚼しつつ、そして自分なりの考えを駆使しながら、ぜひぜひ若い人たちが才能を開花させてくだされば。
てなことを読み終わって思った次第です。
部外者の私が。(笑)
ラベル:漫画本
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2017年04月22日

「天使の歩廊 ある建築家をめぐる物語」中村弦

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施主の思いを汲み、奇抜な建物を創る建築家、笠井泉二。
未亡人には亡き夫の遺骨と暮らすための家をつくります。
あるいは偏屈な作家のためにまるで迷路のようなその名も『迷宮閣』という家をつくったり。
思い出を持ち続ける女性にはこれまでのさまざまな過去を洗い流す別荘を・・・・。
さて、どのような奇抜な発想の建築で楽しませてくれるのかなと読みはじめました。
ですが私が思っていたのとはちょいと違いましたね。
というか、こちらが勝手に望み過ぎていたようです。
読者の勝手を言わせていただければ、建築のアイデアに関してはいまいちかなと。
例えば第1章の「冬の陽」。
未亡人が亡き夫と過ごしたい家をという話です。
「え、これで施主は納得なん?」と。
ま、アイデアはありますけども、この程度でねぇ。(笑)
読者としてはすぐに先が読めてしまいますし、そんなに感動のある仕掛けではありません。
第3章の「ラビリンス逍遥」。
迷路のような屋敷を舞台にした話です。
私的にはこんな家にすごく憧れがあるんですよね。
お金さえあればほんとにこんな家を建ててみたい。
でも現実には無理な話で、だからこそ期待したのですが。
これだけのことを展開するには相当なスケールがいるんじゃないかと思うのですが、そのスケール感がはてどれほどのものなのか。
高さは4~5階建てとのことですが、面積的にはそうとうな広さがないとしょぼいものになってしまいます。
ホテルやデパートくらいの大きさがありませんと。
なんといっても家の中で迷ってしまうくらいですからね。
最後の章「忘れ川」にしても、施主の夫のオッサンころっと考え変わりすぎやろと。(笑)
そのような不思議な力のある建物ということなんでしょうけども。
建築に関しても私的にはどうも。
後のことを考えるとどうやって維持していくんだと。
そこまで突っ込むなという話かもしれませんが。
まあいろいろと書きましたものの、それなりに楽しくは読みました。
ラベル:小説
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