2017年04月20日

「食と日本人の知恵」小泉武夫

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世界各国それぞれの国に料理があります。
そんな中でも日本の料理というのはほんとに優れているなと思います。
これは自国贔屓なのかもしれませんけども。
まず、はっきりと四季があるので食材に旬というものがあります。
日本人はこれをことさら意識してきました。
料理で旬を楽しむという粋があります。
山の幸が豊富ですし、四方を海に囲まれているので魚に関しては世界一ともいえるでしょう。
質のいい水にも恵まれています。
最近はなんで純粋な和食から皆離れていくんでしょうね。
昔ながらの日本の料理、こんな素晴らしいものはないのに。
純粋な和食といっても別に高級料亭で出されるような料理のことではありません。
旬の野菜、魚、それらを使った料理でいいんです。
春なら筍の炊いたんや菜の花のおひたしとか。
鰆が美味しい季節だなとか。
そういうのさえ忘れられそうな昨今です。
食品の発酵ということにかけても群を抜いています。
味噌、醤油、漬物、鰹節、鮓、納豆、酒・・・・。
これらはすべて発酵食品です。
それぞれの料理や調味料には感心するほど昔ながらの知恵が詰まっています。
この本はそんな日本人の食と知恵を紹介した一冊です。
外国の料理、ファストフードやインスタントもたまには結構。
ですが理にかなって体にもいい昔ながらの日本の食事をぜひもういちど見直したいものです。
ラベル:グルメ本
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2017年04月18日

「亡食の時代」産経新聞「食」取材班

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本書はまず冒頭で日本の食卓がおかしくなっていると指摘します。
「飽食の時代」が食文化を破壊し、食への感謝の気持ちを奪い去ってしまったと。
そしていまや「亡食の時代」になろうとしていると・・・・。
現在の日本の「食」に異常さを感じている人は多数いるんじゃないでしょうか。
いや、いてほしい。(笑)
この本でも紹介されていますが、ある小学生の朝ごはんがガムであるとか。
それに比べたら味覚破壊や添加物が指摘されるファストフードやインスタント食品のほうがまだ食事らしい。
しかしそういう人たちに多いのがおにぎりを食べながらジュースを飲むとか。
これはもう当たり前に見かけますね。
ファミリーレストランでも料理を食べながらドリンクバーのジュースを飲んでます。
カップラーメンにマヨネーズをぶっかける人までいるようです。
組み合わせの異常さということでは学校給食なんかも問題視されていますね。
ごはんに牛乳に雑煮とか。ホットケーキにおかゆとか、牛乳に焼き鳥に焼きそばとか。
味覚も無茶苦茶なら組み合わせのセンスも無茶苦茶です。
知識においても、料理教室に通う二十歳を過ぎた“大人”が自宅で米や野菜を洗うのに洗剤を使ったとか。
きくらげは海に泳いでいるとか。
魚は切り身でしか見たことがない子供とか。
もういやはや・・・・。
大量に廃棄される食材や料理も気になるところです。
なんとコンビニでは毎月いくら以上の廃棄ロスを出せなんて本部からの指示があるとか。
つねに新しい商品を置くほうが利益が上がるからだそうです。
呆れてものが言えません。
食事の時に「いただきます」、「ごちそうさま」なんて手を合わせている人は、外食なんかでは100人に1人いるかいないかじゃないですかね。
ほとんど見かけることがありません。
家庭でもどこまで躾されているやら。
そして食品の偽装問題もあります・・・・。
まさしく飽食が日本人を狂わせたとしか思えません。
しかし最終章では「再生への胎動」ということで、危機感を持った自治体や学校、企業、個人などの食の再興への活動が紹介されています。
ラベル:グルメ本
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2017年04月16日

「海の底」有川浩

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横須賀米軍基地で開催された桜祭り。
大勢の人たちで賑わう中、いきなりパニックとなります。
海から巨大なザリガニの大群が押し寄せてきたのです。
逃げ惑う人たちを喰らう巨大ザリガニ。
海上自衛官の夏木と冬原は13人の子供たちと潜水艦に避難し立てこもります。
いったいこの巨大ザリガニはなんなのか。
警察、自衛隊、国はどのように対応するのか。
潜水艦という閉鎖された空間に避難した2人の自衛官と子供たちの避難生活にもさまざまな問題が浮上し・・・・。
「塩の街」「空の中」に続くシリーズ第3弾。
作者の作品の中で自衛隊3部作と呼ばれているシリーズです。
といってもそれぞれにつながりはありませんが。
私はこの作品がベストだと思います。
いやぁ、よかった。
読まされました。
ラノベ的ではあります。
メインキャラの夏木と冬原とか。
ですが警察や自衛隊といった組織の描き方が実にしっかりとしており、荒唐無稽ではあるもののビシッと話が締まっているんですよね。
ちょっと西村寿行的な雰囲気がなきにしもあらず。(笑)
パニック小説ですし、シミュレーション小説でもあります。
そして大人2人がいるものの、子供たちが隔離された空間で生活するということでは「十五少年漂流記」を思わせます。
あるいは「蠅の王」とか。
潜水艦に避難した子供たちの中にいちばん年上の森生望という17歳の女の子がいるのですが、このキャラがいい。
夏木とのさりげないラブストーリーもあったりして。
そして潜水艦の中と同時進行で、この件に対応する側の警察の動きも描かれます。
そちらのメインは明石警部。
このキャラがまた飄々として面白いのですが、私が気に入ったのは警察庁の参事官、烏丸警視正という男。
この問題について警察を総指揮する立場の人間なのですが、明石よりも若く30代半ば。
コイツが実にいい。
普通こういう小説に出てくる警察のエライさん、ましてや若造といえば、たいがい口だけの軟弱なエリートです。
ですがそうじゃないんですね、烏丸は。
作者は憎いキャラを作ったなと思います。
おまけで「番外編 海の底・前夜祭」という作品が収録されています。
私はこれは不要だと思いました。
まったく面白くない。
しかしこの作家、幅広いですねぇ。
「阪急電車」「植物図鑑」と同じ作者とは思えない。(笑)
ラベル:小説
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2017年04月14日

「ルンルンを買っておうちに帰ろう」林真理子

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著者の処女作です。
小説ではなくエッセイ。
これがベストセラーとなり、その後小説で直木賞を受賞しサクセスストーリーを駆け上がっていくんですね。
林真理子といえばやはり嫉妬や自己顕示欲、独占欲、成り上がり志向など、いやらしいともいえる女の本音を書いた作風がウリです。
実際それらは誰にもあるわけですが、それを包み隠さず堂々と自分のこととして晒け出したというのがすごいところ。
で、現実に成功して成り上がってしまったのだからあっぱれです。
今では直木賞をはじめ数々の文学賞の審査員も務め、着実に文壇での地位を固めておられます。
周りに目上の人たちがいなくなった時の女帝ぶりを考えると恐ろしい。(笑)
さて本の内容ですが、さすがに文章は拙さというか若さが溢れています。
しかしすでにじゅうぶん本領を発揮しておられますね。
だからこそのベストセラーなわけですが。
有名人に対しても実名を挙げ、ボロクソです。
矢野顕子なんてボコボコ。(笑)
スタイリストの原由美子なんかも攻撃してますねぇ。
いやしかしこれから“ギョーカイ”で成り上がっていこうとするのに、よくもまあ書けたものだと感心します。
まあこのような“噛みつき癖”はいまだ健在のようですが。
もちろんすべて悪口三昧というわけではありません。
誰も書かなかったような本音の隅々を上手くつついてくるなぁと思える、楽しめるエッセイです。
ラベル:エッセイ
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2017年04月12日

「山椒大夫・高瀬舟」森鴎外

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表題作2編を含め、12編を収めた短編集です。
人買いに騙され引き離された母親と姉弟の苦難を描いた「山椒大夫」。
弟を殺して島流しにされる男が真実と心情を語る「高瀬舟」。
「山椒大夫」は「さんせう太夫」という説教節を原話にしているそうで、これは「安寿と厨子王」といえばむしろ誰もが聞いたことあるのではないかと思います。
姉弟の固い絆や母親への愛、自己犠牲の精神などが描かれています。
親が子供を平気で死に至らしめる、あるいはその逆に子が親をという事件が日常茶飯事のように思える昨今。
このような家族の深い愛情と結びつきは新鮮に思えるほど美しく感じてしまいます。
私的にはなんで題名が「山椒大夫」なのと思ってしまうのですが。
「高瀬舟」も、これはつらい話ですね。
目の前で苦しんでいる弟を楽にさせてあげた兄が罪人になるという話です。
いわば安楽死です。
本人が望むことに手を貸してあげて、それがはたして悪いことなのか。
死を目前にして苦しんでいる人を生き伸ばさせることがはたして良いことなのか。
もし私がそのような状況で死を間近にした当人なら・・・・。
はっきり「殺してくれ」と言います。
ただ言われた側は相当に逡巡するでしょうけど。
なので自分が言われた立場ならどうなのかと考えますと、これはもう非常に難しい。
もし手を合わせ号泣しながらもその人の意思を尊重したとして、単純にそれは殺人とされてしまうんでしょうね。
私なら・・・・本当に親愛な人なら、たとえ罪に問われても本人の意思を尊重してあげたいと考えます。
でも、実際にそのような状況になるとそんな勇気は出ないだろうと思いますけど。
虚ろな気分でそんなことを考えさせられる作品でした。
ラベル:小説
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