2017年04月10日

「奇跡のレストラン アル・ケッチァーノ 食と農の都・庄内パラディーゾ」一志治夫

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山形県庄内地方にあるイタリアンレストラン「アル・ケッチャーノ」。
全国から注目されているレストランです。
なぜか。
陸の孤島ともいわれていた庄内地方で、だからこそ守られてきた在来野菜を使った絶妙な料理で地方再生を図り、その名を轟かせたんですね。
もう何年も前から地産地消なんてことがいわれています。
単純にいえば地域でとれた生産物をその地域で消費しましょうということ。
経済的なこともありますけども、やはり地元の生産物をもっと見直して大事にしていきましょうということですよね。
野菜などその土地独特の物があるわけですが、それがどんどんと標準的な物に駆逐されている昨今。
こんなもったいないことはありません。
「アル・ケッチャーノ」のシェフ奥田政行氏は庄内地方の在来野菜と出会い、その素晴らしさに惚れ込んで素材を生かした料理を店で出し始めます。
やがてその料理は評判となり、全国から客が訪れる店となります・・・・。
昔と今では野菜もずいぶんと変わりました。
味に個性がありましたね。
見た目も。
きゅうりなんて思いっきり曲がってましたしね。
最近の子供は昔ほどピーマンやニンジンを嫌わないようになったといいます。
それは昔にくらべて味に個性がなくなったからだと。
ピーマンなんて青臭くて苦かったですし、ニンジンも味が濃くてその風味は強烈でした。
それにくらべて今のはほとんど味も匂いもないといっていいくらいです。
なので昔ながらの個性を持った在来野菜というのは貴重です。
奥田シェフはそんな素材の味を生かすことが料理であるとのコンセプトでやっておられるようです。
どの料理人もそれは意識しておられるのでしょうが、奥田シェフの場合かなり追及されているようで。
だからなのでしょう、この店の料理に否定的な意見も多々あるようですね。
「味がない」、「ワインに合わない」・・・・。
私は食べたことがないのでこの店の料理についてはなんともわかりませんが、まあそうだろうなという想像はつきます。
そりゃそうでしょう、素材の味を生かしたぎりぎりの味付けなんですから、塩なんてほんの僅かなはずです。
濃い味付けに慣れてしまっている人たちには物足りないであろうことは容易に推察できます。
ましてやワインに合うわけがない。
なので“味付け”や“ワインとのマリアージュ”なんてのを求めるほうがはなっから間違っているのです。
現在の多くの人たちは料理について大きな勘違いをしているように私は最近思っています。
“味付け”で過剰に“美味しく”し過ぎているんですね。
“美味しすぎる”から食べ過ぎて肥満や成人病を招いてしまうのです。
素材本来の味とわずかな塩や酢で食べれば食べ過ぎることはありません。
“美味し過ぎない”から腹八分目で満足してしまうのです。
せざるを得ないのです。
自然界の動物は皆そうです。
もちろんその対極としての“美食”があるというのも理解しています。
私もわざわざパリにまで出かけて三ツ星レストランを食べ歩いたりしましたし。
でも今はもうそういうのは。
話が逸れてしまいました。(笑)
この店の料理を食べたことのない私がどうこう言える立場ではありませんが、おそらくシェフの味付けの腕前を抑えてまでも素材の味を最優先した料理なのでしょう。
贅沢な粗食という印象です。
ぜひ一度味わってみたいですね。
ラベル:グルメ本
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2017年04月08日

「面白い本」成毛眞

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面白い本とはなんぞやという話になりますと、これはもう人それぞれで。
ミステリーが面白い、いや時代小説だ、恋愛小説こそ、なんの私小説である、とか。
ジャンルでいえばそれらになるわけですが、じゃあミステリーだからそのファンにとってすべてが面白いかというとそういうわけでもない。
途中で投げ出したくなるような作品も多々あります。
ゲームでいえばクソゲーですか。(笑)
それはその作品の出来もあるでしょうし、自分の好みに合わなかったというのもあるでしょう。
で、この本のタイトルは「面白い本」。
著者が面白いと思った本を100冊紹介しておられます。
ただし、すべてノンフィクションです。
これもフィクション(小説など)と同じくやはりジャンルがあり、好みのわかれるところでありましょう。
しかしなんでも読むという本好きにとってはいいガイドブックだと思います。
この本では8つのテーマに分類して紹介しておられます。
パッと見、けっこう硬そうな本も多いです。
なんて言えば本好きの人たちに笑われるでしょうか。
この程度で硬いなんて、と。
ですが普段ノンフィクションに手を出さない人たちにとってはじゅうぶん・・・・。(笑)
私的にはいろんなジャンルの本が紹介されており、とても勉強になりましたね。
こうやってそれぞれの本についての解説を読みますと、こりゃちょっと読んでみたいなという本が多数。
ノンフィクションというのは未知の世界を教えてくれ、好奇心を満たしてくれます。
フィクションとはまた違った読み心地と満足感を与えてくれるんですよね。
ぜひこの本を参考に、紹介されている興味ある本を読んでいきたいと思います。
ラベル:書評・作家
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2017年04月06日

「漂砂のうたう」木内昇

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御一新から十年。
もともとは武士だった定九郎ですが、現在は根津遊郭の美仙楼という店で客引きをしています。
龍造という妓夫太郎に使われ、遣手のばあさんにつつかれるような毎日。
出世の見込みもありません。
自分より格下の仲どんと呼ばれる雑用係の嘉吉にも追い越されそうです。
やたらと定九郎につきまとう噺家の弟子であるポン太という謎の男や、美仙楼で一番人気の花魁小野菊などさまざまな人物と関わりながら、先行きの見えない不安と虚ろな日々を過ごしています・・・・。
江戸から明治に時代が変わり混沌としている時期、武士という身分を失った定九郎が翻弄される様が描かれています。
周りの人物たちの配置がいいですね。
ひたすら美仙楼を守り続ける龍造、ずる賢く油断のならない嘉吉、得体のしれない神出鬼没のポン太、凛として気高く自分を持ち続ける小野菊。
それぞれが目まぐるしく変化していく時代の中を自分なりに精一杯生きています。
どうにも生き方の定まらない定九郎と対照的に、ひたすら一点を見続けるような生き様の小野菊がやはり魅力でしょう。
武士から遊郭の客引きへ堕ちた定九郎、苦界に身を沈めた小野菊。
どちらも身分が堕ちた立場ではありますが、しかし二人が日々見つめているものは明らかに違います。
時代の波に飲まれながらも泳ぎ続ける、いろんな人たちの人間模様が描かれたいい小説でした。
ラベル:時代小説
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2017年04月04日

「南極1号伝説 ダッチワイフの戦後史」高月靖

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ダッチワイフといえば男性が性欲処理するための女性の形をした人形です。
イメージとしてはプールや海水浴に持っていくイルカの浮き輪のようなもの。
それが女性の形をしているというだけで。
とても性欲をそそられるようなシロモノではありません。
しかしそれはとっくの昔の話です。
現在のダッチワイフのリアルなこと。
この本ではダッチワイフがどのように誕生したのか、そして現在はどこまで進化しているのか。
そして都市伝説化している「南極1号」というのは実在したのか。
とことんダッチワイフを取材したノンフィクションです。
まあびっくりするのは現在のダッチワイフのリアリティですね。
これは恐れ入ります。
白黒ではありますがこの本にも昔から現在までの写真が掲載されています。
初期の商品はほんとに笑ってしまいますが。
現在ではダッチワイフではなくラブドールという名称が使われているようですね。
昔のチープなイメージからの脱却の意図もあるようです。
国内最大手のオリエント工業のホームページを見ましたら、画像を見る限りですが高級品になるとこれが人形? と思うほどの出来栄え。
そのオリエント工業他、メーカーの創始者へのインタビューもあります。
当然のことながら、いろいろと試行錯誤してこられたのだなと。
もちろんそのラブドールを愛好する人たちもいるわけで、この本にもネットで有名なユーザーが紹介されています。
ところでタイトルにもなっている「南極1号」というのは実在したのか。
真実はこの本で。
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2017年04月02日

「絶対味覚」川越達也

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料理を作るにはどうすればいいか。
普通の料理本ならばレシピが書かれているわけですね。
肉何グラム、だし汁何カップ、醤油大さじ何杯・・・・。
しかしこの本にはそのようなレシピは書かれていません。
作りたい料理の味を記憶して、そこから遡ってレシピを分析しなさいと。
ま、これは改めて言われるまでもなく、料理好きで外食好きな人ならたいがい皆やっていることだと思います。
あの店で食べた料理の味を家で再現してみよう、と。
あの店のハンバーグはとてもふっくらしていた。
この店は肉汁溢れる仕上がりだな。
じゃあ、こねるときにこうすればいいんじゃないか。
ああすればこの食感に近づくかも。
ソースにあの調味料を使えば近い味が出せるはず・・・・。
まったく店と同じ材料は揃えられませんから、生クリームの代わりに牛乳でいけるかなとか、ワインビネガーなんて買ってもそんなに使うものじゃないから酢と白ワインでなんちゃってみるか、とか考えたりもします。
それが料理の楽しさでもあるわけで。
ただまあやはり最低限の知識というのは必要で、それがあってこそだとは思いますけど。
ところでこの著者、いっときはテレビに出まくってましたが最近は見かけなくなったようで。
店も閉められたようですね。
「世の中の人から、僕の存在を忘れてもらいたい」などとおっしゃっているとか。
なんじゃそりゃ。(笑)
ラベル:グルメ本
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