2017年04月12日

「山椒大夫・高瀬舟」森鴎外

CIMG3052.JPG
表題作2編を含め、12編を収めた短編集です。
人買いに騙され引き離された母親と姉弟の苦難を描いた「山椒大夫」。
弟を殺して島流しにされる男が真実と心情を語る「高瀬舟」。
「山椒大夫」は「さんせう太夫」という説教節を原話にしているそうで、これは「安寿と厨子王」といえばむしろ誰もが聞いたことあるのではないかと思います。
姉弟の固い絆や母親への愛、自己犠牲の精神などが描かれています。
親が子供を平気で死に至らしめる、あるいはその逆に子が親をという事件が日常茶飯事のように思える昨今。
このような家族の深い愛情と結びつきは新鮮に思えるほど美しく感じてしまいます。
私的にはなんで題名が「山椒大夫」なのと思ってしまうのですが。
「高瀬舟」も、これはつらい話ですね。
目の前で苦しんでいる弟を楽にさせてあげた兄が罪人になるという話です。
いわば安楽死です。
本人が望むことに手を貸してあげて、それがはたして悪いことなのか。
死を目前にして苦しんでいる人を生き伸ばさせることがはたして良いことなのか。
もし私がそのような状況で死を間近にした当人なら・・・・。
はっきり「殺してくれ」と言います。
ただ言われた側は相当に逡巡するでしょうけど。
なので自分が言われた立場ならどうなのかと考えますと、これはもう非常に難しい。
もし手を合わせ号泣しながらもその人の意思を尊重したとして、単純にそれは殺人とされてしまうんでしょうね。
私なら・・・・本当に親愛な人なら、たとえ罪に問われても本人の意思を尊重してあげたいと考えます。
でも、実際にそのような状況になるとそんな勇気は出ないだろうと思いますけど。
虚ろな気分でそんなことを考えさせられる作品でした。
ラベル:小説
posted by たろちゃん at 01:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 『も』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする