2017年04月16日

「海の底」有川浩

CIMG3051.JPG
横須賀米軍基地で開催された桜祭り。
大勢の人たちで賑わう中、いきなりパニックとなります。
海から巨大なザリガニの大群が押し寄せてきたのです。
逃げ惑う人たちを喰らう巨大ザリガニ。
海上自衛官の夏木と冬原は13人の子供たちと潜水艦に避難し立てこもります。
いったいこの巨大ザリガニはなんなのか。
警察、自衛隊、国はどのように対応するのか。
潜水艦という閉鎖された空間に避難した2人の自衛官と子供たちの避難生活にもさまざまな問題が浮上し・・・・。
「塩の街」「空の中」に続くシリーズ第3弾。
作者の作品の中で自衛隊3部作と呼ばれているシリーズです。
といってもそれぞれにつながりはありませんが。
私はこの作品がベストだと思います。
いやぁ、よかった。
読まされました。
ラノベ的ではあります。
メインキャラの夏木と冬原とか。
ですが警察や自衛隊といった組織の描き方が実にしっかりとしており、荒唐無稽ではあるもののビシッと話が締まっているんですよね。
ちょっと西村寿行的な雰囲気がなきにしもあらず。(笑)
パニック小説ですし、シミュレーション小説でもあります。
そして大人2人がいるものの、子供たちが隔離された空間で生活するということでは「十五少年漂流記」を思わせます。
あるいは「蠅の王」とか。
潜水艦に避難した子供たちの中にいちばん年上の森生望という17歳の女の子がいるのですが、このキャラがいい。
夏木とのさりげないラブストーリーもあったりして。
そして潜水艦の中と同時進行で、この件に対応する側の警察の動きも描かれます。
そちらのメインは明石警部。
このキャラがまた飄々として面白いのですが、私が気に入ったのは警察庁の参事官、烏丸警視正という男。
この問題について警察を総指揮する立場の人間なのですが、明石よりも若く30代半ば。
コイツが実にいい。
普通こういう小説に出てくる警察のエライさん、ましてや若造といえば、たいがい口だけの軟弱なエリートです。
ですがそうじゃないんですね、烏丸は。
作者は憎いキャラを作ったなと思います。
おまけで「番外編 海の底・前夜祭」という作品が収録されています。
私はこれは不要だと思いました。
まったく面白くない。
しかしこの作家、幅広いですねぇ。
「阪急電車」「植物図鑑」と同じ作者とは思えない。(笑)
ラベル:小説
posted by たろちゃん at 01:00| Comment(1) | TrackBack(0) | 『あ』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする