2017年04月28日

「神様のいない日本シリーズ」田中慎弥

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いじめで部屋に閉じこもった小学4年生の息子。
父親は部屋の外から息子に自分の子供時代の話を聞かせ始めます。
野球賭博のトラブルで母と自分を置いて出ていった野球好きな父親のこと、それが原因で野球を毛嫌いするようになった母親のこと。
父親が時折どこからか送ってくる「野球をやれ。中学では野球部に入れ」という葉書。
中学校での妻との出会い、文化祭でその妻と下級生の3人だけの演劇部で演じた「ゴドーを待ちながら」。
1986年に西武ライオンズが奇跡の大逆転を演じた日本シリーズのエピソード、そして現在の野球選手たちについても触れ、父親はひたすら息子に語りかけます・・・・。
これはもうどっぷりとした父と子の物語ですね。
祖父、父、息子と3代にわたる系譜です。
息子への想い、父親への想い、日本シリーズでは奇跡がおきる、母親は息子の芝居を見つめる、ゴドーは来ない・・・・。
最後はそれらが混沌となって畳み掛かり、ちょっとシュールな白昼夢のような雰囲気さえ漂います。
こんなことを部屋の外からひたすら息子に語り続ける父親なんてほとんど酔っぱらいみたいなもので(笑)ありえないわけですが、それだけにちょっと恥ずかしいくらい真正面から父子を描いた作品ともいえます。
なるほど、このような書き方もありなのかと。
ラベル:小説
posted by たろちゃん at 01:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 『た』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする