2017年06月29日

6月の一冊

今月読みましたのは以下の14冊です。

・「神酒クリニックで乾杯を」知念実希人
・「わたしを離さないで」カズオ・イシグロ
・「好かれようとしない」朝倉かすみ
・「すごい! 日本の食の底力 新しい料理人像を訪ねて」辻芳樹
・「買えない味」平松洋子
・「かけおちる」青山文平
・「マンガの遺伝子」斎藤宣彦
・「さいはての彼女」原田マハ
・「怖い絵」中野京子
・「オーシャントラウトと塩昆布」和久田哲也
・「虐殺器官」伊藤計劃
・「活字博物誌」椎名誠
・「魚料理のサイエンス」成瀬宇平
・「かわいそうだね?」綿矢りさ

「神酒クリニックで乾杯を」、初めて読む作家さんです。
ラノベ的な内容でしたが楽しめました。
「わたしを離さないで」、重いテーマを扱っていますが、静謐な筆致で淡々と書かれています。
他の作品も読んでみたいですね。
「好かれようとしない」、ちょっと不器用な女性主人公が魅力。
文章の言い回しも独特のセンスがあっていい。
「すごい! 日本の食の底力 新しい料理人像を訪ねて」、ただ贅沢な食材を使って料理を誇るのは昔の話。
今の料理人の姿がここにあります。
「買えない味」、猫も杓子もグルメだなんだのな昨今。
大枚はたいて贅沢な料理を食べることだけが食の楽しみではないでしょう。
「かけおちる」、愛する男女が逃避する『駆け落ち』。
しかし本来は『欠け落ち』であり、その意味や理由を問うた作品です。
「マンガの遺伝子」、テーマ別に昔からのマンガを検証した一冊。
それぞれのジャンルの変遷を知ることができます。
「さいはての彼女」、都会での息詰まるような仕事の日々。
そんな日常から外れて新しい視点を得、新たな一歩を踏み出す女性たちの物語。
「怖い絵」、絵に込められた作者のメッセージ。
ちょっと怖いそんな絵を解説しています。
「オーシャントラウトと塩昆布」、オーストラリアで活躍する日本人シェフの本。
料理に対して、経営に対して、真摯な思いが込められています。
「虐殺器官」、暴力、破壊、テロ、虐殺・・・・。
なぜ人間はそのような行動を起こしてしまうのか・・・・。
「活字博物誌」、著者が興味を持ついろんなテーマに沿った本が紹介されています。
堅苦しくなく、ほのぼの面白くいろんな本を知ることができます。
「魚料理のサイエンス」、日本人ほどいろんな種類の魚を食べている民族は他にいないと思うのですが、どんどん魚離れが起きている昨今。
この本を読んでぜひぜひ魚料理に目覚めてほしいものです。
「かわいそうだね?」、女が女を見るときって、顔は笑ってても目はめちゃくちゃシビアなんですよね。
ものすごい目で同性を見ているのをよく見かけます。
そんな女性の視線をふと思い出しました。

さて、今月の一冊ですが。
どれもそこそこといった印象。
その中で一冊選ぶとなりますと・・・・。
「かわいそうだね?」ですかね。
2編収録ですがどちらもよかった。
綿矢氏はデビュー作からずっと読んできまして、私の中ではじわじわと魅力が沁み込んできている作家さんです。
今月の一冊はこれで。

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2017年06月27日

「かわいそうだね?」綿矢りさ

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樹里恵は百貨店の婦人服ブランドショップで働く28歳。
大阪出身で現在は東京在住。
アメリカに住んでいて日本に帰ってきた隆大という彼氏がいます。
その隆大がアメリカにいたときに知り合った元カノのアキヨを自分のアパートに居候させると言い出すのです。
日本に帰ってきても居場所がなくかわいそうだからと。
もちろん樹里恵はいい気分ではありません。
しかしなんとか物分かりのいい彼女を演じて我慢するのですが・・・・。
ま、三角関係ですね。
いまいち煮え切らない彼氏、男好きのするちょっと頼りなくだらしない系な元カノ。
最後に町田康の小説を彷彿させるごとく大阪弁をまくし立てブチ切れる樹里恵がお見事。(笑)
もうひとつの収録作は「亜美ちゃんは美人」。
皆から注目される亜美ちゃんとさかきちゃんは高校時代からの友達。
人のいい亜美ちゃんはさかきちゃんにどっぷりと信用を置いているのですが、さかきちゃんはどこか冷めた目で亜美ちゃんを見ています。
やがて二人は大学生になり、社会人になり、さかきちゃんは亜美ちゃんに結婚相手を紹介されます。
これがとんでもない男で・・・・。
なんでこんないい女がこんなクズみたいな男と・・・・なんてよくあります(?)よね。
そんなパターンなわけですが、でもなんといいますか、亜美ちゃんの純度といいますか天然度といいますか、最後に愛は勝つみたいな。
突き抜けたところにも着地点はあるのだなと。
どちらも面白かったです。
この作者の作品はデビュー作から順を追って読んでいますが、私的にはだんだんとよくなっているように思えます。
ラベル:小説
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2017年06月25日

「魚料理のサイエンス」成瀬宇平

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日本人にとって魚料理というのは絶対に欠かせないものです。
四方を海に囲まれた我が国、豊富な魚に恵まれ、魚にかけては世界一を誇れるほどにその料理は多彩だと思います。
もちろん調理の技術においても。
ですが昨今、魚離れという話をよく聞きます。
なんでですかねぇ。
料理がめんどくさいだのなんだのという声も聞きますが。
アホかと思います。
どれほどラクして料理したいねんと。
そんな戯けた連中のせいで魚料理が廃れていくなんて日本人として耐えられませんね。
こんなとこでぼやいてもしょうがないんですけど。(笑)
さて、この本ではいろいろな魚を紹介しつつ、タイトルからも察せられるようにその魚の質を科学的に分析しておられます。
脂質はどれくらいで、どのような旨味成分が含まれているのか。
どのような食べ方が向いているのか、それはなぜか。
タイトルではサイエンス(科学)となっていますが、料理はむしろケミストリー(化学)ですよね。
まあ化学は科学に含まれているわけですが。
感心するのはやはり日本人の知恵といいましょうか、魚に関する知識といいましょうか。
昔から受け継がれている『この魚はこのように料理する』というのが科学的にも実に理にかなっているのですね。
日本の昔の人が築き上げた食文化というのは本当に素晴らしいと思います。
旬を感じさせ、バラエティに富み、体にもいい魚料理。
ぜひぜひ日本人としてしっかりと見直さなければなりません。
ラベル:グルメ本
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2017年06月23日

「活字博物誌」椎名誠

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「活字のサーカス -面白本大追跡-」に続いてのシリーズ(?)第2弾です。
内容としましてはやはり前作と同じくいろいろな本を紹介しているのですが、必ずしもその本を直接批評しているわけではありません。
自分の周りの出来事を語りその流れで本が出てきたり、逆に本があってそこからどんどん話が流れていったり。
なので書評集というよりは本にまつわるエッセイといったほうがいいかもしれません。
でも小難しい言葉で内容についてあーだこーだ書かれるよりも、このような形で紹介されたほうが「なんだか面白そうだな」と興味が持てます。
本書のあとにもまだ2冊刊行されています。
これらもすでに購入済み。
また楽しみに読ませていただきます。
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2017年06月21日

「虐殺器官」伊藤計劃

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時代は近未来。
クラヴィス・シェパードは暗殺専門のアメリカの特殊部隊に所属する大尉です。
戦闘のためのハイテク機器を装備し、平静を保つための戦闘適応感情調整を行い、殺戮のための機械として現場に赴きます。
9・11以降、先進諸国では徹底した管理体制が敷かれテロを封じ込めているものの、後進諸国では内戦や大量虐殺が多発。
その陰に浮かび上がってきたジョン・ポールという謎のアメリカ人。
彼の行く先々では必ず大量の虐殺が起きているのです。
クラヴィスたちは次のターゲットとしてジョンを追います・・・・。
タイトルからしておどろおどろしいハードな内容かと思いましたが、そうでもなかったですね。
それはおそらく主人公が『ぼく』として一人称で語るせいでもあるでしょう。
読んでいて当たりがやわらかい。
そして完璧な殺戮マシーンなどではなく、つねに内面の弱さや葛藤を吐露しているんですね。
このあたりの設定が人間的ともいえますし女々しいともいえ、決してヒーロー的な強さを身に付けた主人公ではないところがこの作品の特徴でもあるでしょう。
私的にはそのあたりちょっとウンザリし、主人公の自己中心的な部分が嫌になりましたけどね。
ルツィアにのめり込んでウィリアムズを裏切ったり。
こんな男は許せません。(笑)
さてタイトルの「虐殺器官」ですが、なぜ「機関」ではなく「器官」なのか。
ここにも作者の問題提起があります。
SFファンの中ではかなり評価の高い作品のようですが、私はさほど・・・・。
ラベル:小説
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