2017年06月09日

「買えない味」平松洋子

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いまや電話やインターネットで簡単に地方の食材が手に入りますよね。
めちゃくちゃ便利な世の中になりました。
なんでも自宅に居ながらにして手に入るのですから。
でも、それでいいんでしょうかね。
地方の珍しいものに手を伸ばす前に、日常の中にある身近な美味しいものにまずは目を向けるべきではないでしょうか。
それは冷ごはんの味わいだったり、だいこんやにんじんの皮のきんぴらだったり、鉄瓶で沸かした白湯だったり・・・・。
そのようなことについて書かれた内容を読んでいると実に味わい深い。
そして食にまつわる道具についても書いておられます。
例えば箸置きであったり、取り皿などの器であったり、土鍋、片口、飯櫃・・・・。
そういうのも含めて味を楽しみましょうと。
味というよりは食ですかね。
灯台下暗しといいますか、どうしても身近なものはその価値を見逃しがちです。
お金を出して満足感を買うのもいいですが、買えない味があるというものも知っておくべきでしょう。
ラベル:グルメ本
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2017年06月07日

「すごい! 日本の食の底力 新しい料理人像を訪ねて」辻芳樹

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まず第一部では『地域を「愛する」力』として、食で活躍する日本の料理人たちを取材しておられます。
北海道で地域ならではの魅力を生かし、食文化をプロデュースする食ジャーナリストとシェフ。
東日本大震災後、より一層地元の生産者とのつながりを深め、地域と生産者を繋げるシェフ。
生産者と消費者を“かき混ぜ”て刺激を与えコミュニケーションを図るメディア誌編集長。
第二部では『日本を「再発見」する力』として、日本の食文化を世界に誇り見せる料理人たちを紹介。
フランスはリヨンで開かれた料理コンクールに出場した日本人シェフ、フランスで身に着けた技術を日本の四季と素材で生かすシェフなど。
第三部は『人と「繋がる」力』。
異業種の人たちが集まりシンポジウムを行い、地球規模で食を考えてみたり・・・・。
皆さん料理人だからといってただ料理だけを考えているわけではありません。
そのような狭い範囲だけで考える時代ではありませんしね。
未来の食糧事情や食文化、農業、地域、環境問題など、いまやガストロノミーはそこまで考えるべきでしょう。
日本の若い料理人たちが、力強く活動しておられるのを知ることができる一冊です。
ラベル:グルメ本
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2017年06月05日

「好かれようとしない」朝倉かすみ

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恋愛に対して奥手でシャイな二宮風吹25歳。
旅行から帰ってきたものの、スーツケースの鍵が開きません。
大家さんの紹介で来てもらったのが鍵屋の国友哲治。
風吹は一目惚れします。
もう一度声を聞きたい、逢いたい、喉仏を見たい。
風吹は片思いに悶々とするのですが・・・・。
主人公風吹の庶民感がいいですね。
トレンディドラマ(いまや死語ですか 笑)に出てくるような、非現実な日常生活を演じているような女性ではありません。
鍵屋を待つあいだはずしたブラジャーの跡をごりごり掻いてみたり、鍵屋が来てからは息が酒臭くないか気にしてみたり、もう一度だけ穿いたら捨てるつもりだった肌色のパンツを部屋に干してあるのを焦って隠してみたり。
等身大(?)な女性です。
もう一度鍵屋に逢いたいがために、部屋の鍵を失くしたと嘘をついてみたり。
そんな男性に対してちょっと不器用で健気な女性がいかにして憧れの男とお近付きになるか。
「好かれようとしないことよ」と大家はいいます。
主人公の恋愛以外にも親友の恋愛やダンス教室の講師とのエピソードが絡み、それがこの内容を小説としています。
なんだかんだありつつも、わりと爽やかな恋愛小説かなという印象です。
で、この作者って文章の言い回しに独特の面白さがあるんですよね。
これはやはり言葉のセンスであり、この作者の強い魅力だと思います。
ラベル:小説
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2017年06月03日

「わたしを離さないで」カズオ・イシグロ

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キャシー・Hは介護人です。
『提供者』の世話をしています。
そんなキャシーが過ごした『ヘールシャム』という施設での思い出。
さて、介護人とはなんなのか。
提供者とは?
ヘールシャムというのはなんのための施設なのか。
キャシーの回想とともにそれらが明らかになっていきます・・・・。
翻訳物ですが、まったくそうは思わせない文体です。
作者の文体がそうなのか、訳者がそのように訳しておられるのかは私にはわかりませんけども。
なので翻訳物が苦手な人でも読みやすい。
テーマとしてはけっこうエグイといいますか残酷ともいえるわけですが、ですます調の抑えた筆致で淡々と話が進んでいきます。
ミステリーとも近未来なSFとも読めますね。
ノスタルジックな青春小説とも読めるでしょう。
ジェットコースターのように大きなうねりがあるわけではありませんので、エンターテイメントとして読んだ場合やや物足りなさを感じるかもしれません。
ですが、このテーマを直接ドーンと提示して「さあ、どうだ」と問いかけられるよりも、じわりじわりと身近なことのように染み入る怖さがあります。
いや、怖さではなく悲しみでしょうか、やるせなさでしょうか。
ボリュームは430ページほど。
やや冗長かなという気もするのですが、この枚数で丁寧にキャシーの回想を積み重ねているからこその完成度ともいえます。
地味ではありますが、読ませる小説です。
ラベル:海外小説
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2017年06月01日

「神酒クリニックで乾杯を」知念実希人

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エリートコースを歩むはずだった外科医の九十九勝巳は医療事故で患者を死なせてしまいます。
職場を追われ、「神酒クリニック」という病院で働くことになったのですが。
そこは院長の神酒章一郎をはじめ抜群の腕を持つ医師たちがいるのですが、皆一癖も二癖もある者たちばかりです。
そして扱う患者はいわゆるVIPといわれる人たちで、世間に知られることなく経営されている病院です。
九十九はそんな病院でどのような仕事をこなしていくのか・・・・。
かなりラノベっぽいノリの作品ですね。
まず表紙のイラストもそうですし、なによりキャラクターが。
なんじゃこいつらといったような個性的で楽しい面々です。
皆医師であるものの、やっていることといったらまるで探偵のような。
まったく医療に関係のない事件に首を突っ込む神酒クリニックの連中、それに巻き込まれる主人公のあたふた感が笑えます。
作者は現役の医師ということで専門的な知識も披露されており、きっちりと医療的な設定も押さえておられます。
ミステリーとしましてはまあちょっと強引な部分もありますけども、それを言い出したら成り立ちませんしね。
どんでん返しも用意されており、そこはやられたなと。
やはりなんといってもキャラがいいですね。
楽しめました。
続編も出ていますので、ぜひ読みたいと思います。
ラベル:小説
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