2017年08月20日

「パラダイス・ロスト」柳広司

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米海軍士官のマイケル・キャンベルはシンガポールのラッフルズ・ホテルで美しい女性と出会い、雷に打たれたような衝撃を受けます。
彼女の名前はジュリア・オルセン。
猛然とアタックしたマイケルは何度もデートを重ね、結婚を約束するまでになります。
そんな中、ラッフルズ・ホテル内で一人の英国人実業家が死体で発見されます。
その犯人として逮捕されたのがジュリア。
ジュリア自身も殺害を認めているというのですが・・・・。(失楽園)
「ジョーカー・ゲーム」「ダブル・ジョーカー」に続いてD機関シリーズの第3弾です。
4編収録されており、「失楽園」が表題作。
この話にどのようにD機関のスパイが関わっているのかというのがミソなわけですが、なるほどこういう関わり方もあるのかと。
自分が表面に出ることなく他人をコントロールして事を運ぶ。
お見事。
私的には「追跡」がよかったですかね。
英国タイムズ紙の極東特派員アーロン・プライスはD機関に興味を持ち、その組織を率いる謎の男、結城中佐の過去を追います。
やがて有崎晃という人物にたどり着いたプライス。
この人物こそが結城中佐の正体だと確信を持ちます。
実はプライスは英国のスパイ。
ある日の深夜、無線電信機で暗号文を打電しているプライスの家に憲兵隊が踏み込んできます。
スパイ行為の現行犯で逮捕。
こうなってはプライスの人生は終わりです。
しかしある人物が身元引受人として現れ・・・・。
D機関の総帥である結城中佐の経歴がなんと緻密に計算された深い謎であることか。
結城中佐自身話の中に登場することはほとんどないのですが、さりげなく漂う不気味な存在感がいいですね。
ラベル:小説
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2017年08月18日

「サヴァイヴ」近藤史恵

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シリーズ第3弾。
今回は短編集です。
「サクリファイス」「エデン」の番外編という位置づけですかね。
それらの作品の前後を描いています。
今までは白石誓を主人公としていましたが、本作では過去のシリーズに出てきた伊庭や赤城といった人物が主人公になったりもしています。
そして赤城からみた石尾とか。
読み応えという点ではやはり過去2作の長編と比べるとやや劣る気はしますが、それぞれのキャラの視線で描かれることにより脇役ひとりひとりの個性がより印象付けられます。
レースのかけひきや心理描写などは相変わらず迫真ですね。
作者はロードレースの経験がおありなんでしょうか。
取材だけとは思えない迫力があります。
このシリーズではありませんが、やはりロードレースを扱った「キアズマ」も購入済み。
また時間をおいて楽しませていただきましょう。
ラベル:小説
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2017年08月16日

「江口寿史の正直日記」江口寿史

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マンガ家江口寿史の日記です。
「正直日記」は1999年~2002年。
「編集長日記」は1994年~1996年。
そして「金沢日記」の3部仕立てです。
厚さ約4センチ。
辞書のように分厚い。
ページ数は約550ページほど。
「正直日記」の内容はなにがどうってわけでもなく、日記ですからただひたすら著者の日常を書いているわけで。
しかしこれが面白いんですね。
そこらのオッサンではなくやはり江口寿史の日常ですから。
当然横のつながりでいろんなマンガ家の名前が出てきます。
行きつけの店で飲んでいると泉晴紀や久住昌之とり・みきといった人たちが居たり、ぶらりとやって来たり。
そのような内輪ネタが読んでいて楽しい。
意外といしかわじゅんがあまり出てこなかったな。
「編集長日記」は著者が「COMIC CUE」というマンガ誌の編集長になり、その経過を書いた日記です。
豪華なメンバーに原稿を依頼し、取り立て、苦労する様が書かれています。
「金沢日記」はマンガで描かれており、付録のような感じですね。
13年ぶりにマンガ家として復活した山上たつひこの復帰作「中春こまわり君」のアシスタントとして、著者、泉晴紀、田村信の3氏が金沢の山上氏の下に参上する話。
どれも楽しく読ませていただきました。
しかし江口氏の日記がなぜ河出書房新社から・・・・?
ラベル:漫画本
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2017年08月14日

「天の梯 みをつくし料理帖」高田郁

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「つる家」を手伝いつつもいよいよ自分の店を始めた澪。
魚の粕漬けを売る店をスタートさせます。
しかしあさひ太夫こと幼馴染みの野江を身請けする四千両を貯めるにはまだどれほどかかるのか。
そして澪のせいでないとはいえ、食中毒を出してしまったりのトラブルもあります。
そんな中、澪の後継として「つる家」の板場に立つ政吉の活躍もあり、「つる家」の料理番付は張出大関に。
いいことがあれば悪いこともあり、「一柳」の主人であり芳の夫でもある柳吾が捕まってしまうという事件が起こります。
いったいなにが・・・・。
シリーズ第10弾、いよいよ最終巻です。
相変わらず山あり谷ありの展開で読ませますね。
小松原様との再会にはぐっとくるものがありました。
そしてなんといっても野江を身請けすることができるのか、これが一番大きな問題なわけですが。
普通に考えて四千両なんて貯まりませんしね。
なるほどそうきたかの展開でした。
全十巻、中だるみすることなくドキドキワクワクしながら読ませていただきました。
料理といい登場人物といい話の展開といい、どれをとっても魅力的なシリーズでした。
作者には心を込めて労いと感謝の言葉を捧げたいと思います。
ラベル:グルメ本 小説
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2017年08月12日

「バカボンのパパよりバカなパパ」赤塚りえ子

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「天才バカボン」や「おそ松くん」などで知られるギャグマンガ家、故・赤塚不二夫。
日本のギャグマンガを変えたといってもいいその功績はあまりにも偉大です。
さて、そのような天才マンガ家のプライベートとはどのようなものだったのか。
一人娘の著者が貴重な写真を多数掲載しつつ綴った一冊です。
マンガ家としての赤塚不二夫の経歴を紹介しつつ、娘という立場から書かれた家族の記録。
いやまあその生き様は抱腹絶倒です。
作品を地で行くような日々の生活ですね。
とにかく他人を笑わせるのが好きだったんでしょう。
しかしバカなことをやりまくっておられましたが、実はすごくシャイな人。
とても純粋な人だったんだなというのが読んでいて伝わります。
だからあれほど皆に愛されたのでしょう。
周りには人が良く集まったようです。
ホームレスを自宅に集めて宴会したり。
再婚の記者会見で前妻も同席するなんて普通あり得ませんし。(笑)
離婚後も前の奥さんとの仲はよく、新しい奥さんと前の奥さんは友達のように付き合っていたようで。
そんなエピソードも赤塚不二夫という人柄をよく表していますし、またギャグマンガのようでもあります。
評論家や編集者から見た漫画家論ではなく、娘から見た父親・赤塚不二夫の素顔です。
タイトルも父への愛しさがこもっており、いいですね。
ラベル:漫画本
posted by たろちゃん at 01:00| Comment(0) | 『あ』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする