2017年10月11日

「思い出のとき修理します4 永久時計を胸に」谷瑞恵

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寂れた商店街にある飯田時計店。
ショーウィンドウには『思い出の時 修理します』という金属製のプレートが置かれています。
そんなプレートに惹かれてか、今日も客が訪れます・・・・。
シリーズ第4弾。
最終巻です。
前作の感想で内容のお粗末さに「私はもう読むのをやめます」と宣言したわけですが、最終巻となりますとせっかくここまで読んできたんだし最後まで付き合うかと。
まだまだシリーズが続くのならもちろん読みませんでしたけど。
商店街や飯田時計店を訪れる人たちのいろんなエピソードを描きながら主人公の明里と秀司の関係がどのようになっていくのかが大きな物語の流れなわけですが、さて最終巻でどのような結末を迎えるのか。
秀司には独立時計師になりたいという夢があり、そのためにはスイスに修業に行かなければなりません。
何年も日本には帰ってこれなくなります。
そうなると明里との関係が消滅してしまう不安があります。
では明里も一緒にスイスに付いていくか。
付いていったとしても秀司は修業に夢中で明里にかまっていられず、足手まといになるだけです。
そんな二人の行く末は・・・・。
ま、もちろんそれなりにハッピーエンドなラストになるんですけどね。
そう書いてもネタバレにはならないでしょう。
今回も細かなところでどうも納得いかない部分がいくつかあったのですが、今までの中ではいちばん破綻がなかったように思います。
さほど途中で飽きることもありませんでしたし。
ラベル:小説
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2017年10月09日

「本棚探偵の生還」喜国雅彦

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シリーズ第3弾。
いよいよ本棚探偵が海外に進出です。
アジア最大のブックフェアのため台湾へ。
そしてホームズファンの聖地、ロンドンはベイカーストリートへ。
もちろん国内でも大活躍(?)です。
友人の引っ越しに古本目当てで手伝いに行く。
本棚まで作ってあげる・・・・。
「冒険」「回想」ときて今回は「生還」。
古本&ミステリーファンの喜怒哀楽が実に馬鹿馬鹿しくも生き生きと書かれています。
私はここまでマニアではありませんが、しかしお目当ての古本を探し当てた時の喜びというのはたまらない達成感があります。
特に著者が追い求めておられるのは希少本ですしね。
他人の本棚が気になるというのもよくわかります。
たまに著名人のインタビュー写真なんかでバックに本棚が移っていれば、目を皿のようにしてその背表紙をチェックしますし。(笑)
440ページほどのボリュームをたっぷりと楽しませていただきました。
古本やミステリーファンでなくとも本好きにはお勧めなシリーズです。
ラベル:本・書店
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2017年10月07日

「わたしたちに許された特別な時間の終わり」岡田利規

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ライブハウスで出会った男女。
時はブッシュがイラクに攻撃を開始する数日前です。
2人はラブホテルに籠りきり、テレビも観ずひたすらセックスと会話で4泊5日を過ごします。
そのあいだに外の世界ではアメリカとイラクの戦争が開始されているのかいないのか・・・・。(三月の5日間)
戦争という当事者たちにとっては大変な出来事が行われているいっぽう、まったくそれとは無関係な人物と時間が確かに同時期に存在しているんですよね。

夫婦はどちらもフリーター。
妻は自宅の布団の上でだらだらと過ごし、夫はファストフード店のカウンターで突っ伏して眠っています。
布団の上の妻の想像は夫や他人の様々な視点となり・・・・。(わたしの場所の複数)
妻はあくまで自宅におり、夫やたまたま見つけたブログの主の言動は想像なわけですが、まるで幽体離脱したかのような視点とその人物の肉体に入り込んだかのような視点が混在としています。
そして過去の自分さえ登場して。
気怠くも緻密な小説です。

どちらも面白かったかと問われると素直には頷けません。
ですが第2回大江健三郎賞の受賞作。
やはりそれなりの作品なのでしょう。
一般受けはしないと思いますが。
ラベル:小説
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2017年10月05日

「現代日本の小説」尾崎真理子

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現代文学といえばちょっと堅苦しい。
現代文学の前に近代文学なんてのがあったりします。
なんだか電車の『今度』、『次』みたいなものでどっちがどないやねんとツッコミを入れたくもなりますが。(笑)
ちなみに私の住む大阪では『先発』、『次発』とはっきりしております。
さて、この本のタイトルは「現代日本の小説」。
つまり現代の日本の小説を取り上げておられるわけですが。
じゃあどこからが現代なのかというとまたややこしくなりますのでその問題は置いときまして、この本では1987年、よしもとばななの登場でスタートしておられます。
そして村上春樹。
デビューではありませんが「ノルウェーの森」がこの年なんですね。
俵万智の「サラダ記念日」も同じく。
第1章はほぼ“ばなな&春樹”。
第2章はひたすら村上春樹。
第3章で芥川賞最大の“事件”としまして、19歳・20歳で受賞した綿矢りさ金原ひとみを取り上げておられます。
その後第4章では原稿の手書きからワープロ(パソコン)への移行、それが単なる手書きからキーボードに移ったというだけでなく、それがどのように小説に変化をもたらしたのかの検証。
たしかにワープロ→パソコンの登場は小説の世界にも大きな影響を与えています。
それを上手く作品に取り込んでいる作家もいらっしゃいますね。
ここでは笙野頼子なんかが取り上げられています。
例えば「レストレス・ドリーム」などまさにそれでしょう。
最終的には佐藤友哉舞城王太郎、清涼院流水らの名前が出てきます。
「キッチン」や「ノルウェーの森」からわずか20年でこれほどの変化があったと結んでおられます。
そうか。
改めて指摘されるとなるほど様変わりしましたね。
ケータイ小説なんてのもありましたけども、今後どのような形で新しい作家が出てくるのか。
私個人としましてはがっつりと骨太な作家の登場を期待します。
ラベル:書評・作家
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2017年10月03日

「手芸女」野坂律子

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タイトルは「シュゲジョ」と読みます。
都立水之江高校の新任教師、大山健太郎。
体育会系バリバリの健太郎がなんと手芸部の顧問をすることになります。
しかしその手芸部は文化祭を前に2派で対立していました。
真面目な部長町田塔子率いる“手作り小物を売りたい派”と、姉御肌の長島チカ率いる“ファッションショーをやりたい派”。
体育会系新米教師の健太郎は慣れない女子高生たちの板挟みになります。
文化部にとっては年に一度の晴れ舞台である文化祭はすぐそこ。
健太郎は彼女たちをまとめて文化祭を成功させることができるのか・・・・。
珍しく手芸なんてジャンルをモチーフにしており、どんなものかと気になって読んでみたのですが。
いやいや、なかなかでしたね。
アクロバットな展開はありませんが、無難にうまくまとまったお話じゃないですか。
体育会系新米教師と女子高生、手芸部というミスマッチな組み合わせ。
少年ジャンプではありませんが、友情、努力、勝利というテーマもあります。
もちろん恋愛の要素も入っており、ひととおりのツボは押さえてあります。
大きくはありませんがいい作品でした。
もう1~2作シリーズで出してみてもいいのではという気がしましたね。
ラベル:小説
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