2017年10月29日

「愛情の系譜」円地文子

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藍子はアメリカで社会福祉の勉強をし、帰国して初めて務めた少年鑑別所の仕事から離れ、現在は国際社会福祉協会の渉外課に席を置いています。
暮らしは母と妹の女世帯です。
立花という恋人がいるのですが、結婚を考えている藍子に対していまいち態度が煮え切りません。
仕事では鑑別所を出て工場で働いている良晴という少年の面倒を見たりしています。
ある日、アメリカで同じ職場にいたミス・リーが日本に来ることになり、藍子は北海道の雄阿寒岳を案内することになります。
そこで母からは死んだと聞かされていた父親と偶然出会います。
母と父が分かれる際、母は刃物を手にして父を殺そうとした事実を知るのですが・・・・。
藍子は知的で冷静なタイプの女性。
そんな藍子にも父を殺そうとした母の激しい血が流れているのでしょうか。
恋人の立花は藍子と付き合いつつも別の女性と結婚話を進めています。
分別のある振る舞いをする藍子ですが、さすがにたまりかね、母と同じような行動を起こしてしまうのです。
男女の愛の前では理知的な女性もつい我を忘れてしまうのか。
また面倒を見ていた良晴もせっかく更生したものの、大きな罪を犯してしまいます。
そのような人間の弱さ、脆さ、業のようなものがなんともやるせないですね。
しかし藍子も良晴もそれらの険しい道を乗り越え、今後の人生を歩んでいくことが示唆されるようなラストです。
ラベル:小説
posted by たろちゃん at 01:00| Comment(0) | 『え』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする