2018年02月10日

「贋世捨人」車谷長吉

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作者の半生的な私小説です。
昭和36年の春に高校受験を失敗したところから始まっています。
本命の高校に失敗し、最低ランクの高校へ。
その後は慶應義塾に入学、卒業後は広告代理店へ。
しかし金儲け主義の仕事に興味が持てず退職。
新左翼系の出版社に就職し、そこも辞め、職を転々とし、やがては料理屋の下足番になり贋世捨人として生きていこうとします・・・・。
事実を基にはしているでしょうが、やはりフィクションであり小説なんでしょうね。
主人公はいつものごとく生島嘉一。
作者の分身です。
コツコツと地味な話を重ねているのですが、なぜかこの作家が書くと面白いんですよね。
真剣さが逆に空回りしているような滑稽さも感じさせます。
これも作者のキャラといいますか文体といいますか、作家としての才能といいますか、そのようなものなんでしょうか。
巻末に車谷長吉自歴譜というのが載っています。
作者の手による自歴なわけですが、これがまたちゃんと作品になっていて面白いんですよね。
やはりこの作家には意識的か無意識か、にじみ出るユーモアがあります。
ラベル:小説
posted by たろちゃん at 01:00| Comment(0) | 『く』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする