2018年03月30日

3月の一冊

今月は14冊読みました。

・「染彩」芝木好子
・「美人論」井上章一
・「おいしい店とのつきあい方」サカキシンイチロウ
・「空の剣 男谷精一郎の孤独」高橋三千綱
・「爪と目」藤野可織
・「知識的大衆諸君、これもマンガだ」関川夏央
・「R62号の発明・鉛の卵」安部公房
・「スイートデビル・キス」七福さゆり
・「春夏秋冬 料理王国」北大路魯山人
・「ガリバー・パニック」楡周平
・「日本の居酒屋文化 赤提灯の魅力を探る」マイク・モラスキー
・「アニバーサリー」窪美澄
・「被差別部落の青春」角岡伸彦
・「デッドボール」木内一裕

「染彩」、タイトルの通り染彩を扱った作品。
こういう内容はさすがに芝木好子ですね。
「美人論」、真正面から美人を取り上げた一冊。
なかなか女性の美醜については大きな声で語れませんからねぇ。
「おいしい店とのつきあい方」、レストランで楽しむコツが書かれています。
まあもっともではあるなという内容。
「空の剣 男谷精一郎の孤独」、実在した剣豪男谷精一郎の少年時代が描かれています。
青春時代小説ですね。
「爪と目」、ちょっと怖いサスペンス風小説。
でも主人公が子供というところに無理がある気が。
「知識的大衆諸君、これもマンガだ」、マンガを毛嫌いする人たちに向けて書かれた書評といいますか。
いまやマンガは日本の大きな文化ですからね。
「R62号の発明・鉛の卵」、SF短編集ですかね。
私は最後の「鉛の卵」がよかったです。
「スイートデビル・キス」、血のつながらない姉弟の恋愛小説。
ちょっとエッチなラブコメです。
「春夏秋冬 料理王国」、美食家で芸術家、北大路魯山人の食随筆。
意外と自ら食について書いた著作はこれだけのようで。
「ガリバー・パニック」、100メートルもの巨人が突如現れたらどうなるか。
なかなかシニカルなエンターテイメントでした。
「日本の居酒屋文化 赤提灯の魅力を探る」、アメリカ人の著者による日本の文化「赤提灯」の考察。
日本人以上によく理解しておられます。
「アニバーサリー」、東日本大震災をきっかけに3世代の女性たちの生き方や考え方が描かれています。
彼女たちにとってアニバーサリーとは。
「被差別部落の青春」、部落に生まれ育った人たちはどのように考え、日々生活しているのか。
部落出身の著者だからこそ書けた内容かもしれません。
「デッドボール」、背に腹は代えられず1000万円のために誘拐の手伝いをすることになった主人公。
しかし思わぬ展開に・・・・。

今月はけっこう粒ぞろいな印象でした。
どれもけっこう楽しめた。
最初に読んだ「染彩」か最後に読んだ「デッドボール」か。
最近に読んで印象が残っているせいか、やはり「デッドボール」でしょうか。
今月の一冊はこれで。

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2018年03月28日

「デッドボール」木内一裕

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5ヶ月ほど前に交通事故に遭い、職を失い将来の希望も失った23歳のノボル。
ひと月近くの入院と長いリハビリを経て職探しを始めたものの、いまだ仕事は見つかりません。
なんとか彼女の助けを借りながら細々とやっていこうと思っていた矢先、その彼女にもフラれます。
そんなどん底な状況でかかってきた1本の電話。
中学の先輩の紹介で知り合った危険な人物からです。
持ちかけられた話は報酬1000万円の仕事。
完璧な計画のもと、誘拐の手伝いをするというものです。
仕事もないが借金はあるノボル、背に腹は代えられずたった一度だけということで引き受けることにしたのですが・・・・。
やはり木内作品、ストーリーは一筋縄ではいきません。
誘拐のつもりが殺人犯になっていたりします。
そしてスピード感のある展開で話が二転三転し、思わぬ方向に進んだりどんでん返しがあったり。
登場人物たちがまたいい。
悪人になり切れない気真面目さのあるノボル、雇い主の佐藤(仮名)。
頭が切れて冷ややかな佐藤ですが、伊坂幸太郎作品に出てきそうなキャラです。
そしてちょっと頭がイッてる弁護士の成宮、その愛人のマナミ。
魅力のあるキャラがそろっています。
最後はハッピーエンドというわけではありませんが、決してアンハッピーというわけでもない。
ラスト2ページのエピローグはじわっと温かい。
タイトルも味わい深い。
「いいか、デッドボールってのは終わりじゃない。これから塁に進めるんだぞ」
佐藤のセリフです。
なるほどと思いました。
やはりはずれがありませんね、木内一裕。
佐藤を主人公にした続編を読んでみたい気がしました。
ラベル:小説
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2018年03月26日

「被差別部落の青春」角岡伸彦

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部落差別というのは現在(この本の出版は単行本1999年、文庫本2003年)どのような状況にあるのか。
いまだに厳しく残っているという人もいれば、そんなの気にしたこともないという人もいます。
この本の著者は部落の出身です。
しかし部落差別というものを直接的に経験したことがないといい、また両親もそのようなことはなかったといいます。
はたして他の部落の人たちはどうなのか。
著者はいろんな部落を訪ね、インタビューを試みます・・・・。
この本を読みますといわゆる部落という土地に住む人でも、若い人はほとんど意識しておられないようですね。
親から自分の住む地域の事情を聞かされ、「おまえは部落民なんだ」と聞かされても、「あっ、そう」というような反応です。
実際にそのようなことで差別を受けたことがないからです。
つまりそのような意識を持つ人が少なくなってきたということなんでしょうね。
だからといって皆無というわけではありません。
結婚ということになって相手の出身を調べる人というのはやはりいるようです。
当事者の二人はよくてもそれぞれの親や親戚が口をはさんで反対してくる。
部落民が身内になるということに抵抗を示す人たちがいるのです。
この本の中でもそれで結婚を断念せざるをえなかった人や、そのような反対を押し切って結婚した人たちも紹介されています。
少しずつではありますが、部落差別というのは薄くなってきているようです。
そして「で、なにが悪いの?」という若い当事者たちのいい意味での開き直り。
完全に人々の意識からなくなることはまだ遠い先のことかもしれませんが、いわれのない差別はなくしていきたいものですね。
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2018年03月24日

「アニバーサリー」窪美澄

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晶子は75歳になった今でも40年続けてきたマタニティスイミングの指導員をしています。
平原真菜はその生徒でしたが、友人に連れられて無理に参加している様子でした。
栄養士の資格を持つ晶子がスイミングのあとでおこなう昼食会でも、晶子の差し出すおかずにはいっさい手をつけません。
友人が出産して卒業したあとは、真菜も二度と来ることはありませんでした。
東日本大震災の日。
電車がストップしてしまいどうしようかと思った晶子は、ここから近くに住むもうすぐ臨月を迎えるはずの真菜の家を訪ねることにします。
震災後の混乱、原発事故。
そんな中でなぜか心を閉ざしている真菜と人からお節介といわれる晶子の交流が始まります・・・・。
2人の過去を紹介しつつ、晶子、真菜の母親で料理研究家の真希、そして真菜の、世代の違う3人の女性の生きざまや物の考え方が描かれています。
働くこと、夫婦のあり方、子供を持つこと育てること、食べるということ。
時代は変わってもそれらは当然当たり前のこととして誰の前にも存在するわけですが、しかし世代によりその様相は違ったものとなります。
やはり生活のスタイルや物の考え方というのはどんどん変わっていくわけで。
でも心の中心にというか人間の中にというか、時代を超えても変わらずに持ち続けていたい温かさのようなものを切望したい気持ちになりました。
ラベル:小説
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2018年03月22日

「日本の居酒屋文化 赤提灯の魅力を探る」マイク・モラスキー

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赤提灯の居酒屋を考察した本です。
居酒屋について書かれた本は多数あると思いますが、著者がアメリカ人というのが目を引きます。
著者にとってはそういう紹介のされ方は不本意かもしれませんけども。
しかし赤提灯という日本の文化に対して非常によく馴染んでおられ、また実によく分析しておられます。
居酒屋を愛する気持ちがしっかりと伝わってくるのですが、しかし整然とした文章のせいでしょうか過剰なベタつきのある雰囲気にはなっておらず、清々しく読むことができます。
へんに思い入れを前面に出し過ぎている人もいますからね。
このあたりアメリカ人であるということが関係あるのかないのか。
紹介しておられる店も北海道から沖縄まで幅広い。
居酒屋を語った本としては実に秀逸だと思います。
ちびりちびりと飲りながら楽しみたい一冊です。
ラベル:グルメ本
posted by たろちゃん at 01:00| Comment(0) | 『ま』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする