2018年03月20日

「ガリバー・パニック」楡周平

CIMG3235.JPG

九十九里浜の夜明けに突如現れた巨人。
横たわるその大きさはおよそ身長100メートル。
発見した漁師の通報に警察が駆け付け、マスコミも嗅ぎ付け、自衛隊出動の大騒ぎとなります。
どうやら我々と同じ日本人らしく言葉は通じますし、危害を加える様子もありません。
しかし困ったのは巨人の処置です。
官僚たちはこの厄介者に関わりたくないので管轄を押し付け合うのですが、金儲けになるとわかったとたん首相をはじめとして民間も便乗してお祭り騒ぎです。
さて、巨人やこの国の行く末は・・・・。
読む前はパニック小説かなと思ったのですが、パニックには違いありませんけどコメディなノリの作品です。
政治家や官僚に対しての痛烈な皮肉も描かれています。
バブルに浮かれた時代を嘲笑しているとも読めますね。
それに対して土木作業員である虎之助(巨人)の純朴な人柄が対照的に描かれているわけですが、ちょっとわかりやす過ぎといいますかステレオタイプ過ぎといいますか。
その分メッセージはストレートに伝わってくるのですが。
笑いあり涙ありでエンターテイメントとしては楽しめる一冊でした。
ラベル:小説
posted by たろちゃん at 01:00| Comment(0) | 『に』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年03月18日

「春夏秋冬 料理王国」北大路魯山人

CIMG3234.JPG

魯山人といえば美食家であり陶芸家であり書道家であり漆芸家であり画家であり・・・・。
芸術家としていろんな肩書きがあります。
中でもよく知られているのがやはり美食家と陶芸家の肩書きでしょう。
食べるだけでなく自分で料理もし、「星岡茶寮」という高級料亭を主宰し、自ら包丁をふるっていました。
陶芸も料理を盛るための見るべき器がまったくないということで、魯山人自ら器作りに乗り出したのがきっかけです。
まず第一に料理があったわけですね。
そんな魯山人の意外なことにこれが最初で唯一の料理に関する本だとのこと。
傲岸不遜、傍若無人といわれた魯山人ですが、なるほどこの本を読みましても言いたい放題。
当時の料理人をとことん貶すわ、フランス料理を切って捨てるわ。(笑)
パリの「トゥール・ダルジャン」で山葵醤油で鴨を食べたなんてのは有名な話。
「食道楽」の著書で知られる村井弦斎なども味覚が幼稚だとバッサリ。
それほど自分の価値観をしっかりと持ち、また言うだけのことを示してきたということでしょう。
しかし魯山人の美食話について思うのが、料理の話に比べて酒の話がほとんどないんですよね。
これは片手落ちと言わねばなりますまい。
この本でもあるにはあります。
でもビールについて大ビンより小ビンだとか、デンマークのビールがどこの国のビールよりもうまいとか書かれているだけです。
実際ビール好きで毎日飲んでいたようですが、美食家を自認しておきながらビール党って・・・・。
和食を絶賛しているのだからやはり日本酒についてももっと意見が欲しかったですね。
フランス料理についてもワインにはほとんど触れられておらず、先述の「トゥール・ダルジャン」でも安物の葡萄酒でまずかったと。
こんな安い葡萄酒は好かぬということで「上等のブランデーはないか」と尋ね、地下のワインセラーに案内され美味しいブランデーをプレゼントされたそうです。
それならソムリエにそれなりのワインを持って来させればいい話で、ワインの代わりにブランデーなんてまったくお門違いです。
同じ葡萄から作る酒とはいえ、ワインは食中酒ですがブランデーは食後酒なんですから。
ま、しかし、魯山人という人はほんと刺激的で面白い人物ではあります。
ラベル:グルメ本
posted by たろちゃん at 01:00| Comment(0) | 『き』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年03月16日

「スイートデビル・キス」七福さゆり

CIMG3222.JPG

瀬名華乃は大学を卒業後、中小企業で事務として働く24歳です。
優斗という2歳年下の弟がいるのですが、これがまた天使のように美しい青年です。
実は華乃と優斗は血がつながっていない姉弟です。
そんな弟にキスされる夢を中学生の時から毎晩見るようになってしまい、華乃は悩んでいます。
いくら血のつながりがないとはいえ、弟とそんなことをするなんて。
華乃は一人暮らしすることを決意します。
年齢的なこともありますが、やはりこんな夢を毎晩のように見るようでは。
優斗から離れて生活しなければ。
しかし一人暮らしを始めたものの、下着泥棒が出没。
両親が心配し、優斗がいれば安心だと一緒に住むことになるのですが・・・・。
このエタニティシリーズを何冊も読んできて、だいたいパターンは一緒だなと思っています。
相手は大会社の御曹司なんてのが多いですね。
そんなムシのいい話があるかとツッコミたくなります。(笑)
職場もお互い会社の中で花形な部署だったり。
それに比べるとこれはちょっと趣向が変わっていて、華やかな職場でもなく相手はお金持ちのボンボンでもなく、弟です。
もちろんイケメンであるというのはお約束ですけども。
この弟の天使のような笑顔とエッチのときのギャップがいいんですよね。
エッチに関してはやたらと乳首責めが出てきます。
作者の性癖でしょうか。(笑)
こういうシーンには作者の好みというか個性が表れて楽しい。
特に話に破綻もなく楽しく読むことができました。
posted by たろちゃん at 01:00| Comment(0) | 『な』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年03月14日

「R62号の発明・鉛の卵」安部公房

CIMG3221.JPG

表題作他10編が収められた短編集です。
会社をクビにになり自殺しようとしていたところスカウトされ、生きたまま自分の死体を売りロボットになった主人公。
人間にとって都合よく働くためにロボットにされたのですが、その主人公が発明した機械は・・・・。(R62号の発明)
単純にいいますと機械社会といいますか機械文明といいますかそういうものに対しての皮肉であり、しっぺ返しのようなものなんでしょうが、話自体にはひねりもなくそのまんまといった印象です。
文章には独特なシュール感があるのですが。
私がよかったのは最後の「鉛の卵」です。
冬眠機で100年後に目覚めるはずだったのが、機械の故障で目が覚めてみたら80万年後。
100年ならともかく80万年となると人類はどれだけ変化していることか。
見た目もまったく違いまるで植物のようです。
言葉も通じません。
人間のように食料を食べません。
さて主人公はそんな世界でどのように生きていくのか・・・・。
実際このように冬眠して未来に目覚め、数十年後数百年後を見てみたいと希望する人はいるようですが、私はまっぴらです。
考えるだに恐ろしい。
現在とさほど変わらなければまだしも、大きく変わっていればほとんど動物園の動物状態じゃないですか。
気が狂います。(笑)
ラベル:小説
posted by たろちゃん at 01:00| Comment(0) | 『あ』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年03月12日

「知識的大衆諸君、これもマンガだ」関川夏央

CIMG3215.JPG

この本はマンガを憎む人に向けて書かれたとのこと。
電車の中でマンガを読みふける人は珍しくありませんが、それを嘆く人もまた多い。
いまやマンガは日本が誇る文化です。
それを嘆いてもしょうがないではないかと。
このような文化もあるのだということを認識してもらえたらとの趣旨だそうです。
たしかにマンガというと映画や文学に比べると下に位置するというイメージを持つ人は多い。
しかしマンガは決してそれらに劣るものではなく、むしろ最近ではマンガで育ち影響を受けた人たちが映画や文学で活躍していたりします。
海外で高く評価されている作品やマンガ家もいます。
この本では著者が評価するマンガ、時代を敏感に切り取ったマンガなどを紹介しておられます。
32作品。
「マンガ日本経済入門」石ノ森章太郎、「テレクラの秘密」成田アキラ、「美味しんぼ」雁屋哲・花咲アキラ、「ゴルゴ13」さいとう・たかお、「課長・島耕作」弘兼憲史、「沈黙の艦隊」かわぐちかいじ、など。
1988年から1990年にかけて書かれたものなので、時代を感じさせますね。
著者は決してすべてのマンガをいいとはおっしゃっておられません。
どうしようもないマンガについてはバッサリと切り捨てておられます。
そこなんですよね。
映画や文学に比べると裾野が広いだけにどうしようもない作品もまた多い。
もしかしたらそれがマンガが下に見られる一因かもしれません。
この本が書かれた時代は少年ジャンプの黄金期といえる時期です。
マンガに怒涛の勢いがあった時代ですね。
なので著者もメディアとしてのマンガをやや過大評価していた感がないでもない。
ただ一部のマンガ家や作品にはやはり注目に値するものがあります。
さて、今後のマンガはどのようになっていくのでしょうか。
ラベル:漫画本
posted by たろちゃん at 01:00| Comment(0) | 『せ』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする