2018年03月28日

「デッドボール」木内一裕

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5ヶ月ほど前に交通事故に遭い、職を失い将来の希望も失った23歳のノボル。
ひと月近くの入院と長いリハビリを経て職探しを始めたものの、いまだ仕事は見つかりません。
なんとか彼女の助けを借りながら細々とやっていこうと思っていた矢先、その彼女にもフラれます。
そんなどん底な状況でかかってきた1本の電話。
中学の先輩の紹介で知り合った危険な人物からです。
持ちかけられた話は報酬1000万円の仕事。
完璧な計画のもと、誘拐の手伝いをするというものです。
仕事もないが借金はあるノボル、背に腹は代えられずたった一度だけということで引き受けることにしたのですが・・・・。
やはり木内作品、ストーリーは一筋縄ではいきません。
誘拐のつもりが殺人犯になっていたりします。
そしてスピード感のある展開で話が二転三転し、思わぬ方向に進んだりどんでん返しがあったり。
登場人物たちがまたいい。
悪人になり切れない気真面目さのあるノボル、雇い主の佐藤(仮名)。
頭が切れて冷ややかな佐藤ですが、伊坂幸太郎作品に出てきそうなキャラです。
そしてちょっと頭がイッてる弁護士の成宮、その愛人のマナミ。
魅力のあるキャラがそろっています。
最後はハッピーエンドというわけではありませんが、決してアンハッピーというわけでもない。
ラスト2ページのエピローグはじわっと温かい。
タイトルも味わい深い。
「いいか、デッドボールってのは終わりじゃない。これから塁に進めるんだぞ」
佐藤のセリフです。
なるほどと思いました。
やはりはずれがありませんね、木内一裕。
佐藤を主人公にした続編を読んでみたい気がしました。
ラベル:小説
posted by たろちゃん at 01:00| Comment(0) | 『き』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする