2018年06月28日

「河口へ」佐藤洋二郎

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短編集。
どの作品も肉体労働者を主人公としています。
そして現場には外国人労働者がいます。
『クロ』と呼ばれる肌の黒い外国人、『パキ』と呼ばれているのはパキスタン人。
そんな中で汗を流して働いている男の日々が描かれています。
今の若い人とひとくくりにはできませんが、そういう人たちとは対極の生活ですね。
おしゃれなスポットが出てくるわけでなし。
あ、東京ディスニーランドなんて出てきます。
しかしそれは現場から眺めることができる場所というだけだったりします。
いい女が出てきて恋愛物語が始まるわけでもありません。
出てくるのは飯場の飯炊き女です。
あるいは場末の飲み屋の女。
そんな女に手を出そうとしている男たち。
たぶんこの作品集を読んでもいまやピンとくる人は少ないんじゃないでしょうか。
ネクタイ締めてスーツ着て冷暖房の効いたオフィスで仕事している人たちとは別世界。
今の若い人たちが求めているのとは真逆の生活です。
ですがこういう世界や生活があるのは事実で、だからこそ世の中が成り立っているわけです。
当事者としてはごく当たり前の日常なんですけどね。
社会の下の層といえるかもしれません。
ですがそんな視線をしっかりと皮肉も込めずに淡々と描いているのがこの作品集。
浮かれていないしっかりと地に足の着いた視線があります。
ラベル:小説
posted by たろちゃん at 01:00| Comment(0) | 『さ』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする