2018年07月20日

「夜を着る」井上荒野

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旅をテーマにした短編集。
どれも決して明るくはない話ですが。
表題作は隣の家の夫と不倫をしている主婦が主人公。
彼女の夫はギタリストです。
東北のT温泉で営業があるということで出かけるのですが、どうやら女と逢うため?のようです。
彼女はわざわざそれを確かめるために不倫相手とT温泉まで確認をしに行きます。
そこで彼女が見た夫の姿とは・・・・。
旅をテーマにしているとはいっても、旅行とかそういう類ではないですね。
なんとなくあてもなく車で行くところまで行ってみるとか。
女子高生が学校をさぼって初めての駅で下りてみるとか。
日常からのちょっとした脱出とでもいいますかね。
さりげない非日常の体験といった感じです。
でもそこには自分にとって決して軽くない意味があったり。
なんとなくそんな小さな旅に出てみたいという気持ちは誰にでもあるんじゃないでしょうか。
ラベル:小説
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2018年07月18日

「サービスの達人たち 究極のおもてなし」野地秩嘉

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サービスマンを取り上げたシリーズの、これは第4弾になるんでしょうか。
著者のライフワークですかね。
今回紹介されているのは、飛び込みの営業でベンツを日本一売る男、戦後最高のカフェ店主の神接客、デパ地下でとんかつを売りまくる女性店長、など。
なぜ彼らは客の心を捉え、商品を売ることができるのか。
著者はポリシーとしてただ取材だけではなく、実際に彼らのサービスを体験するんですね。
といってもベンツを買うわけにもいかず、デパートの美容部員から化粧の手ほどきをしてもらうわけにもいかなかったようですが。(笑)
ただベンツの場合は取材の同行者が実際にベンツを買ってしまったそうですし、美容部員の場合は女性編集者とカップルを装って化粧品売り場を徘徊したり、わざわざ地下で食料品を買ったりして客を装ったりして普段の仕事ぶりを観察されたようです。
達人たちのノウハウはそれぞれですが、皆自分の仕事を苦労とも思わず楽しんでやっておられるとのこと。
そうですね、いやいややっていてお客さんに喜ばれるわけないですもんね。
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2018年07月16日

「チア男子!!」朝井リョウ

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晴希は大学1年生。
家が柔道の道場をしているので子供の頃から柔道をし、大学でも柔道部です。
しかし才能のある姉と比べて自分の限界を知り、また怪我をしたこともあって柔道を辞めます。
同じく柔道をしていた幼馴染みの一馬もそれに合わせたかのように柔道を辞め、一馬に誘われ他の学校にもない男子だけのチアリーディング部を作ることになります。
個性のあるメンバーが集まってくるのですが、皆未経験者ばかり。
しかし目標は全国選手権・・・・。
まずチアリーディングというモチーフがいいですし、しかも男子だけのチームというのがいい。
パターンとしては素人の集まりが努力して段々と成長していくというステレオタイプではあります。
しかし柔道だの野球だのというありふれたスポーツではなく、チアリーディングというのがミソなんですね。
あまり詳しく知られていない世界ですから、読んでいてとても新鮮でした。
まずは学園祭でのデビュー。
そして地方予選、全国大会。
友情、努力、勝利、というテーマが盛り込まれ、まるで少年ジャンプのようですが。(笑)
でも素直に感動しました。
ちなみにモデルとなったのは作者の母校である早稲田大学に実在する『SHOCKERS』という男子チアリーディング部だそうです。
ネットで動画を観ましたが、いやあ、なかなか。
もっと注目されていいスポーツだと思います。
ラベル:小説
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2018年07月14日

「男子厨房に愉しむ 50歳からの健康手料理」中央文庫編集部 編

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8人の料理人(丸元淑生、道場六三郎、檀太郎・晴子、村上信夫、山田宏巳、西川治陳建一)が手ほどきする料理入門書。
入門書というのとはちょっと違うか。
まあコンセプトはそういうことなんでしょう。
50歳から始めてみませんか、というような。
若い頃のようにジャンクな物を食べる年齢ではありませんし、ちゃんと体のことを考えた料理を自分で作って食べましょうと。
市販のお惣菜はそれはそれで便利ではありますが、やはり味がしつこい。
添加物もいろいろと入っていますしね。
手作りなら自分好みの味に仕上げられますし、添加物も避けることができます。
この本の内容はすべて80年代~90年代に書かれたものですが、ちゃんとした料理には古いも新しいもありません。
中では道場六三郎氏と檀太郎・晴子夫妻のレシピが実践的ですかね。
ラベル:グルメ本
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2018年07月12日

「小さいおうち」中島京子

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時代は昭和初期。
赤い屋根の小さなおうちで女中をしていたタキ。
タキは若くて綺麗な時子奥様を慕っていました。
そしてかわいらしかった恭一ぼっちゃん。
幸せな日々でした。
しかし主人の会社の部下で家に出入りする板倉という青年に、タキは時子が惹かれているような気配を感じます。
そしていよいよ戦争が激しくなってきて・・・・。
タキが晩年に過去の記憶をノートに綴っていくという形式で書かれています。
そのノートを時々盗み読む甥の次男坊の健史。
盗み読むといっても内容について意見しているのでこっそりというわけでもないんですけどね。
タキもまたわざと読ませているようなところもあります。
過去の話をメインにタキと健史の現在のやりとりが挟み込まれるわけですが、これは戦争経験者と学校で教わって知識としてしか戦争を知らない未経験者の二つの視線となっています。
戦争の時代はそんなに暗かったのか。
毎日が悲惨だったのか。
もちろん戦争なんてあってはいけなかった事なのですが、しかしそんな中で過ごした人たちの青春はなんの楽しみもない真っ暗なものだったのか。
そんな問いかけがあります。
時子と板倉の気持ちの行方は。
そしてタキが時子に抱いていた思いは女中から奥様への単なる憧れだけだったのか。
最終章ではそのあたりについて余韻を残すラストとなっています。
じんわりと心に染み入る作品でした。
タキと健史のやりとりがちょっと芝居じみていて白々しい気がしましたが。(笑)
ラベル:小説
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