2018年08月11日

「空に唄う」白岩玄

CIMG3319.JPG

23歳の海生の家はお寺ということで、海生も新米のお坊さんです。
住職である祖父に付いて初めてお通夜を務めることになるのですが、遺影を見ると故人は若い女性のようです。
その女性が棺の上に腰をかけています。
びっくりする海生。
どうやら海生以外の人には見えないらしい。
その後も度々海生の前に現れる女性には行く場所がないようです。
放っておくわけにはいかず、海生は彼女(碕沢さん)に寺に住むよう提案します。
日を追うごとにだんだんと彼女に惹かれていく海生・・・・。
作者は「野ブタ。をプロデュース」でデビュー。
芥川賞候補になりテレビドラマ化もされ、話題になりました。
しかしデビュー作が大きすぎたせいか、正直その後はあまりぱっとしない印象です。
さてデビュー2作目はどんなものかと読んでみたのですが。
いいじゃないですか。
ファンタジーということになるんですかね。
幽霊と同居という非現実的な設定ではありますが、それを変におちゃらけた方向に持っていっていないのがいいですね。
同い年の彼女を「碕沢さん」とさん付けで呼び、ずっと敬語を使い続ける海生の真面目さがいい。
幽霊である碕沢さんにはこの世での生活にいろいろと不便があります。
海生の声以外の音は聞こえない。
物を動かすことができない。
ドアを通り抜けたりすることもできませんので、一人で部屋の出入りができない。
そんな不自由な碕沢さんを不器用ながらも一生懸命に支え、喜ばせようとする海生の健気さがいい。
地味ですがしみじみと感動できる恋愛小説です。
収穫でした。
ドラマにしてもいけるんじゃないでしょうか。
ラベル:小説
posted by たろちゃん at 01:00| Comment(0) | 『し』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする