2018年08月25日

「恥辱」J・M・クッツェー

CIMG3327.JPG

大学教授のデヴィッドは52歳。
2度の離婚を経験し、現在は独身です。
軽い気持ちで女子学生に手を出すのですが、告発されてしまいます。
それがきっかけで大学や学生たちから非難を受け、教授を辞任するはめに。
田舎で農園を営む一人娘のところに逃避するのですが、そこでもまた災難に遭います・・・・。
主人公のデヴィッドだけを見ていれば、まあ自業自得ではあります。
しかしそのデヴィッドの転落する人生の中にさまざまな問題が提起されているのですね。
デヴィッドは元々は現代文学の教授。
しかし学部が閉鎖され、コミュニケーション学部というわけのわからない学部の准教授に降格させられています。
文学の衰退といいますか。
女学生に手を出すなんてのはセクハラ問題ですよね。
そしてこの作品はアフリカを舞台にしているのですが、娘の農園に転がり込んでからは人種問題が色濃くなってきます。
人間の一方的な都合による動物の安楽死の問題も。
ストーリーとしてはスケベな中年男の転落人生なわけですが、そのようないろいろなテーマを取り込んで厚みのある作品に仕上がっています。
ちなみに作者はノーベル賞作家であり、この作品で史上初の2度目のブッカー賞を受賞したとか。
しかしそのような堅苦しい肩書きに関係なく、翻訳にも変な言い回しなどなく非常に読みやすい作品でした。
ラベル:海外小説
posted by たろちゃん at 01:00| Comment(0) | 『し』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする