2018年09月20日

「味に想う」角田房子

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作家による食エッセイです。
夫は新聞記者でパリ支局長をしておられ、またご自身もソルボンヌ大学に留学していたこともあり、ヨーロッパのいろんな国々が紹介されています。
フランスはもちろん、イタリア、スペイン、ドイツ、ソ連・・・・。
著者が初めてパリを訪れたのが1930年代とのこと。
そんな時代から向こうで生活され、なので食べ物や店の紹介についても身に染み付いたような生活感が感じられます。
これを書かれたのは日本に帰国してからですので、どこかノスタルジックな雰囲気もありますね。
新聞に連載していたのを本にまとめたとのことですが、文庫化にあたって最後に書き加えられた「亡夫の思い出」という話がいい。
まだ50代だった夫が言った言葉、「末期の水というのがあるが、この世で最後に飲むのが水じゃつまらない。僕はブルゴーニュの赤にする。よく覚えといてくれよ」
そして80歳の臨終のとき、金婚式を祝った思い出のシャンベルタンを綿に含ませ、夫の唇を拭いてあげたそうです。
しんみりといいエピソードではないですか。
ラベル:グルメ本
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2018年09月18日

「銀二貫」高田郁

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大坂は天満で寒天問屋を営んでいる和助。
京都から帰る途中茶屋で休憩していたところ、父子が仇討ちにあうのに遭遇します。
父親は討たれてしまいましたが、銀二貫でその仇討ちを買い取り、討たれた武士の息子の鶴之助を引き取った和助。
鶴之助は名を松吉と改め、寒天問屋の丁稚として厳しい修業に耐えていきます。
そんな中で松吉は料理人の嘉平、その娘の真帆と出会うのですが、嘉平の店が大火で焼失し、嘉平も真帆も消息が知れなくなります。
ようやく再会できた真帆は、おてつと名を変えて知らない女の娘となり、顔半分にひどい火傷を負っていました・・・・。
松吉の人間としての成長、寒天造りに懸ける情熱、真帆への想い、和助や番頭の善次郎など周りの人たちの人情。
いろんな要素がバランスよく盛り込まれ、いや実に上手い。
読ませます。
さすがの高田郁だと思いました。
料理(寒天)についてとことん突き詰めていくあたりなど作者はご自身でも徹底的に実行しておられるようですし、これは「みをつくし料理帖」シリーズでも知られていましたね。
そしてタイトルの銀二貫。
これが背骨となってしっかりと全編を貫いているんですね。
最後の和助と善次郎のやりとりもホロリとさせるじゃないですか。
いい小説でした。
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2018年09月16日

「編集者放浪記」高田宏

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時代は昭和30年。
毎日新聞、NHK、新日本放送、朝日放送、松竹、東映、片っ端から入社試験に落ち、どうにか入ったのが光文社。
そこから著者の編集者人生が始まります・・・・。
「少女」という少女雑誌からスタートし、この時代は新米編集者としての苦労が描かれています。
そして酒と酒場。
やはり仕事を依頼する作家たちとはこれがないと務まらなかったようで。
酔っぱらって原稿を紛失したなんてエピソードもあります。
そして60年安保、労働組合。
時代ですねぇ。
その後は退社してアジア経済研究所やエッソ石油でPR誌の編集を。
といっても決して軽いものではなく、いろんな執筆者を招いての硬い内容です。
これでずいぶんと著者の人脈も広がり、また編集者としても大きく成長する肥やしになったようです。
長年編集者という仕事をやってきてそれを振り返った軽い感じのエッセイかなと思ったのですが、いやいや、なかなかに硬い内容でした。
あくまで私にとっては、ですけどね。(笑)
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2018年09月14日

「きみは誤解している」佐藤正午

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競輪に関わる男たちを主人公にした短編集です。
表題作は婚約者の両親に挨拶することを後回しにし、父親が死にかけていても競輪場に通う男の話。
結局は婚約者よりも競輪を選びます。
他、すべて競輪という競技に取りつかれてしまった男たちです。
女性もいますが。
競輪に関わると言いましても、あくまでギャンブルとして競輪に懸ける連中の話であり、競輪そのものをモチーフとしているわけではありません。
刊行当初は競輪小説と扱われたりもしたようですが、それは的外れです。
まあ競輪をめぐってのさまざまなドラマですね。
シビアなギャンブル小説にもなっていないところがやはり佐藤正午でしょう。
女性に対しても人生に対してもお金に対しても飄々としているというか、達観しているといいますか。
そしてやはり上手いなぁと思いますね。
ラベル:小説
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2018年09月12日

「なぜ宇宙人は地球に来ない? 笑う超常現象入門」松尾貴史 著 しりあがり寿 画

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世の中怪しげというか胡散臭いものがいろいろありまして。
そんな中のひとつが宇宙人でしょう。
はたして宇宙人というのは存在するのか。
存在しているとしてなぜ地球に来ないのか。
ということを検証した本です。
といいましても丸々一冊宇宙人についてではなく、いろんな超常現象について書かれています。
第一章、宇宙・UFO・古代文明
第二章、超能力・疑似科学・思い込み
第三章、伝説・迷信・デマ
第四章、占い・呪い・お祓い
第五章、神様・仏様・トリックスター
第六章、印鑑・水・ヒランヤ
第七章、火の玉・幽霊・動物霊
第八章、動物・植物・U.M.A
宇宙人については科学者たちも否定してはいません。
ただそのような知的文明があるとすれば地球から何百光年から何万光年も離れており、光と同じ速さで飛んできてもそれくらいかかるということで、誰が好き好んでそんな時間をかけてまで地球に来るかと。
しかもやって来てなにするのかと言えば、麦畑を踏みつぶしてミステリーサークルなるものを作ってみたり、牛を切って血を抜いてみたり。(笑)
もったいぶってUFOでチラッと姿を見せるだけだったり。
まあそうですよねぇ。
苦労して何千年も何万年もかけてやって来て(来れませんけど)、子供のイタズラみたいなことしてなんになる。
占いなんてのも好きな人いますね。
特に女性。
なぜあんなのを信用する気になれるのか。
風水だのパワーストーンだのもそうですよね。
そういった類を笑い飛ばしてくれる楽しい一冊です。
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