2018年09月04日

「時の旅」西村寿行

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南アルプスに近い山麓に所有林を持ちながら相続税が払えず、自分の山に火を放ち失踪した佐竹恒春。
妻は首つり自殺をし、11歳の息子である樹里は失踪した父を探すために山に入ります。
樹里の捜索を開始したのが特別環境警備監の戸部新介。
しかし樹里の失踪だけではなく、森林をめぐって政治家たちがいろんな思惑を持って動いており、戸部はそれに立ち向かうことになります・・・・。
西村寿行らしい非常にストレートなメッセージのある作品です。
自然破壊。
リゾート地などを作ることによる森林の伐採が結局どのようなことになるのか。
山林事業者を締め上げてその結果どのようなことになっているのか。
この作品では土石流が町を壊滅させてしまいます。
現実でも最近は各地で大雨による被害が発生しています。
土砂崩れで家屋が崩壊したり。
それらがすべて森林伐採が原因というわけではないでしょうけども。
人間はちょっと自然を軽く見過ぎているのではないですかね。
まあそれはそれとしまして。
読みましてさすがの寿行さんだなと思ったのですが、やはりそこにいろいろ殺人だの失踪だののエピソードが絡むわけで、しかしこのあたりちょっとテーマに上手く乳化していないと思いました。
テーマやメッセージについてはさすがの感がありましたが、作品の出来としましては寿行作品の中では中の下といったところでしょうか。
タイトルである「時の旅」やそれにともなう「時の海」のエピソードについても浮いているように思えました。
全盛期の傑作からすればややもの足りない印象です。
ラベル:小説
posted by たろちゃん at 01:00| Comment(0) | 『に』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする