2018年10月20日

「ルポ 電王戦 人間vs.コンピュータの真実」松本博文

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最近は将棋もいろいろ話題になっています。
藤井七段(2018年10月現在)の活躍もありますし、羽生竜王(2018年10月現在)の永世七冠達成で国民栄誉賞という話題もありました。
これらはあまり将棋に興味のない人たちも目にしたニュースでしょう。
で、将棋ファンにとってはプロ棋士vs.コンピュータというのがあるんですね。
プロ棋士とコンピュータはどちらが強いのか。
というわけで『電王戦』というのが開催されることになったわけですが。
いや、やはりコンピュータは強い。
コンピュータ将棋も最初の頃はまったく話にならないくらい弱かったそうですが、さすがにそこは日進月歩のコンピュータ世界。
初期のプロとの対決ではいきなり米長永世棋聖を負かしてますからね。
将棋界に天才として名を刻む故・升田幸三は「コンピュータが束になっても高段者に勝てるわけがない」というようなことを言っておられたようですが、甘過ぎましたね。
その当時からはまさかコンピュータがここまで進歩するなんて夢にも思わなかったのでしょう。
人間なんてそんなもの。
その当時のレベルでしか判断できないのですから。
ちょんまげ時代の人たちが現在の携帯電話やテレビ、飛行機など想像もつかなかったのと同じようなものでしょう。
しかし大山康晴十五世名人などは「人間が負けるに決まっている」とあっさり認めておられます。
そして時代が進むにつれ、冷静に判断する人も現れます。
羽生善治、森内俊之といった名人たちもそれぞれコンピュータがプロ棋士を上回ることを予想しておられました。
AI(人工知能)なんてことさえ言われている昨今。
ますますコンピュータのレベルが上がっていくことは間違いないでしょう。
この本ではコンピュータ将棋の開発者にスポットを当て、その苦労、変遷、そしてプロ棋士の焦燥をルポしています。
個人的には人間が負けてもいいじゃないかと思いますけどね。
やはり進化したコンピュータには勝てませんよ。
見苦しいのはコンピュータを錯乱させる手をプロ棋士が打つことですね。
普通の対局で指さないような奇抜な手を使ってまで勝ちにいく。
私的にはそれってどうなのと思います。
勝てば官軍なのかもしれませんが。
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2018年10月18日

「味覚日乗」辰巳芳子

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料理にもいろいろありまして、まあざっくり分けますと洗練された高級な料理か庶民的な料理か。
高級な料理といいますと料亭の料理であったり三ツ星レストランの料理であったり。
庶民的な料理といいますといわゆるB級グルメとかいわれる料理になるんですかね。
ラーメンであったり牛丼であったり。
いずれにせよ皆、というか若い人たちほど奇をてらった料理を喜ぶ傾向があるように思えます。
逆に言えば昔ながらの家庭料理なんかが軽くあしらわれがちです。
たしかに高級店の料理などは普段家庭では食べられないような料理でしょう。
じゃあ普段ちゃんとした家庭料理を食べているのかといえば、心許無い人がほとんどじゃないでしょうか。
昔ながらの基本的な家庭料理も知らずして、いきなり高級店の料理に飛びついてはしゃいでいる。
そのように思えてなりません。
日頃ちゃんとした味噌汁を食べずして高級和食の椀物を喜んでみたり。
そうじゃなく、毎日ごく当たり前の旬の素材を使って心を込めて作った家庭料理。
これこそが基礎になるべきではないでしょうか。
そんな当たり前のはずが今や貴重になってしまった料理を伝えておられるのが著者です。
旬の素材、まがいものでない食材、心を込めて手間暇かけた調理。
この本を読んでいますと心を洗われるような気がします。
家庭料理こそが原点ですよね。
それをおろそかにして何がグルメか食べ歩きか。
ガイドブックで人気の高級レストランに行くお金があれば、本物の食材を揃えることもできます。
そこの女性、いや男性もですが。
あちこちの店に出かけて食べ歩き自慢をする前に、まずは家でしっかりとした家庭料理を作ってみるべきではないですか?
そうすることにより食べ歩きも新たな意味を持ちますし、興味も広がります。
なにより料理や素材に対しての敬意がより深くなります。
昔ながらの家庭料理を身につけるなら今のうちです。
自分の祖母、そして著者のような人から少しでも受け継ぐべきではないでしょうか。
ラベル:グルメ本
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2018年10月16日

「猟銃・闘牛」井上靖

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日本猟人倶楽部という機関誌に一編の詩を掲載した主人公。
それをきっかけにある男性の読者から手紙をもらいます。
13年間不倫をしていたその男性に届いた3通の手紙が主人公に送られてきたのです。
手紙の送り主は妻、愛人、愛人の娘です。
その手紙を紹介することによって男と女の愛憎が浮かび上がります・・・・。(猟銃)
新聞社に勤める主人公が社運を賭けたイベントとして、球場で闘牛を開催することにします。
イベントの成功に向けて奔走する主人公。
それを傍で見る愛人。
社運を賭けた大きなイベントにも関わらず、そこには寂しく冷めた雰囲気が漂っています・・・・。(闘牛)
他、一編。
いずれもトーンは暗い。
「猟銃」は周りの女性からの手紙で不倫の関係を描いているわけですが、しかしなんでわざわざ他人にそんな自分宛ての女からの手紙を送りつけるかなと。(笑)
それを言っては話にならないのですが。
「闘牛」は決してハッピーエンドではありません。
そこがいい。
主人公の仕事や愛人に対して熱いように思えてどこか冷めている虚無感といいますか、寂しさといいますか。
そのあたりにスパイスを感じました。
この作家の作品は初めて読んだのですが、意外と大衆小説的な印象を持ちましたね。
ラベル:小説
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2018年10月14日

「下読み男子と投稿女子 ~優しい空が見た、内気な海の話。」野村美月

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風谷青はラノベが大好きな男子高校生です。
実はラノベの新人賞の下読みのアルバイトをしています。
ある日、青は応募作の中にクラスメートである氷ノ宮氷雪の作品を見つけます。
クラスの誰とも口をきかない“氷の淑女”と呼ばれているクールな美少女です。
しかしそんな外見とは裏腹に、作品の内容は顔文字やフォント変えを駆使したハチャメチャな小説です。
『しましまパンツ \(@^0^@)/』なんて文章も。
えっ、あの氷ノ宮さんがこんな小説を!?
驚く青。
しかしその後青は氷雪に小説のアドバイスをすることになります。
目指すは『一次選考通過!』・・・・。
サブタイトルにもあるように、ラノベの下読みをしている男子と投稿をしている女子の物語です。
面白い設定ですね。
2人で投稿作を作り上げていくわけですが、もちろんその過程には少しずつ恋愛感情も芽生えてきて。
投稿作内のキャラ設定やストーリーがそのままこの2人の心情に当てはまりつつ、しかもこの小説の構成自体にも当てはまるというメタ小説的な作品です。
上手いなぁ。
まあベタといえばベタではあるんでしょうけど。
しかしクサさを感じさせず実に爽やかに微笑ましく読ませてくれます。
感動しました。
この作者の他の作品(文学少女シリーズ)もぜひ読んでみたいと思います。
ラベル:小説
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2018年10月12日

「英国一家、ますます日本を食べる」マイケル・ブース

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「英国一家、日本を食べる」の続編です。
2冊目ということでさほど目新しさもなくインパクトもなく。
ま、相変わらずだなといったところ。
今回は前回に比べてさほどガキ(二人の息子)が出てこなかったようにも思いますが、どんなもんでしょう。
しかし築地市場でターレに急ブレーキをかけさせ、積んであったエビの箱が落ちて中のエビが石畳にぶちまけられたと書いてあります。
ガキをそんなところに連れていくなよ。
それが本当の話だとしたら正直に書いているのには感心しますが、まったく悪びれた様子もない。
外人って奴は。
味の素社も訪問しておられます。
MSGを批判してやろうと乗り込むも、取材した結果は「塩ほどは毒じゃない」。
「アメリカ食品医薬品局はMSGには問題がないと認めているし、国連もEUも同じだ」。
このあたり素直です。(笑)
認めるべきところは認める。
あっけらかんとしています。
築地でガキのせいでエビがぶちまけられたのにしゃあしゃあとしているのと同じようなあっけらかんぶりです。
ぜひこの調子で捕鯨問題についても書いていただきたい。
日本の主張する捕鯨はまったく問題ないと。
鯨を食べるのは日本の伝統的な食文化なのだと。
たのんまっせ、マイケルはん。
ラベル:グルメ本
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