2018年10月10日

「わが闘争」角川春樹

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角川春樹といえばあの角川書店の元社長で。
一時期はイケイケでしたよね。
ベストセラーを連発し、本と映画をリンクさせて売り出し、映画界も席巻しました。
彼がいたからこそ今の角川書店があるわけで。
でもいろんな事情があり角川書店を追放され、しかし角川春樹事務所を立ち上げ、刑務所に服役したりもありましたが、今また編集者として現役で活躍しておられます。
そんな著者の波乱万丈な自叙伝です。
なんともまあパワフルな人ですね。
幻冬舎の見城徹氏も編集者としてたいがいな人ですが、なにしろその師匠ですから。(笑)
まあ話がオカルトな方向にいったりするのはちょっとアレなんですけども、しかし編集者として、実業家として、その実力と実績は誰もが認めるところでしょう。
どのようにして角川春樹という人物が現在の地位を築いたのか。
生い立ち、経歴、人生観、思想、経営理念。
それらがみっちりと語られた一冊です。
ラベル:エッセイ
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2018年10月08日

「鹿男あをによし」万城目学

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大学の研究室でヘマをして居られなくなり、教授の勧めで奈良の女子高に赴任することになった“おれ”。
担任したクラスの生徒達にはなかなか馴染んでもらえず、翌日の教室の黒板には昨日の自分の行動が書かれている始末です。
『パンツ3枚千円也』
『靴下四足千円也』
『鹿せんべい、そんなにうまいか』
いったいなんなんだ、こいつらは。
そんなある日、鹿が人間の言葉で話しかけてきました。
「さあ、神無月だ 出番だよ、先生」
これからいったいなにが起こるのか・・・・。
出だしはまさしく夏目漱石の「坊っちゃん」であり、キャラ設定もまさに。
しかし話はどんどんと奇妙な方向に進んでいきます。
フィクションに上手くリアルを溶け込ませてしっかりと土台を作り、その上で壮大な法螺を吹くのが万城目作品なんですよね。
「鴨川ホルモー」「プリンセス・トヨトミ」もまさにそう。
しっかりとその土地を舞台にして存分にその設定を活かす技は心憎いほど。
ちなみに「鴨川ホルモー」は京都、「プリンセス・トヨトミ」は大阪、この作品は奈良です。
いろんなキーワードが散りばめられ、邪馬台国だの卑弥呼だのといった歴史も絡み、かと思えば剣道の対抗戦のシーンなどはこれはもう立派な青春剣道小説です。
ラストはほのかに恋愛小説の味付けもあったりして。
そしてミステリーでありファンタジー。
「鴨川ホルモー」では上手く京都という土地を活かしているなと思いましたが、今回もまた同じく古都である奈良を舞台にして風情と味わいのある作品に仕上げています。
私が関西の人間であるせいかそのあたりも身近に感じました。
一級のエンターテイメント小説だと思います。
ラベル:小説
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2018年10月06日

「百合子のひとりめし」原作 久住昌之 作画 ナカタニD.

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久しぶりにグルメ漫画を取り上げてみます。
ちょくちょくは読んでるんですけどね。
「深夜食堂」とか「目玉焼きの黄身 いつつぶす?」とか。
「美味しんぼ」もぼちぼちと。
でもいちいち取り上げてたらマンガのほうが多くなってしまうので、控えております。(笑)
で、この作品ですが、経歴と内容がちょっと異色だったもので、おっと思いまして。
原作は久住昌之氏です。
「漫画アクション」に連載されていたものの見事打ち切り。
作画のナカタニD.氏はこの作品には思い入れがあり、自費出版。
それに描きおろしを加えてこのように単行本になりました。
まず、打ち切りになって日の目を見なくなってしまった作品を自費出版するという作者の思い入れ。
そりゃそうです。
漫画家にとっては人気に関係なくすべて“我が子”ですからね。
7食目までが連載作なのですが、枠線やフキダシの線が太く、やたらバストアップが多いので画面に圧迫感があります。
描きおろしの8食目9食目は線が細くなり、俄然見やすくなっています。
そして「百合子の制作現場」としてネーム原作と作画の対比が載っているんですね。
こういうのは読者にはなかなか見る機会がありません。
ネーム原作というのはシナリオ形式ではなく、下書きをもっとラフにしたような形式のネームのこと。
久住氏はシナリオではなくネームで原作を書いておられたようです。
それが漫画家の手によってどのような完成原稿になったか。
上下段で見比べることができます。
また下書き原稿も掲載されています。
書き下ろしはシナリオ形式で、これも掲載されています。
この一冊、マンガの制作に興味ある者にとってはなかなか貴重な一冊です。
マンガ家を目指している諸君はぜひ見ておくように。(笑)
ラベル:グルメ漫画
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2018年10月04日

「あの素晴らしい曲をもう一度 フォークからJポップまで」富澤一成

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約40年(2010年当時)音楽評論をしてきた著者が、Jポップの総決算としてまとめたのがこの本です。
スタートは1960年代。
フォークの日本上陸ですね。
66年の加山雄三の登場が革命だったようです。
それまで歌手はレコード会社専属であった作詞家・作曲家の作った歌を歌っていたのが、加山は自分で作って歌ったのですね。
今では当たり前のことですが、これが大きな問題になったようです。
GSブームというのもありましたが、これはけっこうあっけなく下火になったようで。
そして後半になって岡林信康、吉田拓郎の登場です。
70年代はニューミュージックの黄金時代。
ユーミンこと荒井由実がその先駆けでしょう。
吉田拓郎や井上陽水、かぐや姫といった四畳半フォークな人たちとは違って垢ぬけていました。
そして70年代後半は矢沢永吉、世良公則&ツイスト、サザンオールスターズ、ゴダイゴといったロック系の人たちの登場。
80年代は歌謡曲の復活とビート系の浮上。
松田聖子、中森明菜、小泉今日子、田原俊彦、近藤真彦といったアイドル系、そしてYMO、BOOWY、TM NETWORKといったビート系ですね。
90年代は小室哲哉の活躍で安室奈美恵や自身のグループであるglobeなどでメガヒット連発。
また小室を始めとしてプロデュースの時代でもあったようです。
つんくのモーニング娘。とか。
2000年代は迷走の時代とか。
昔のような大きなヒットが生まれなくなりました。
ネットでの配信とか、いろんな理由があるのでしょう。
しかしこうやって振り返ってみると当時を懐かしく思い出します。
今でも人気のミュージシャンというのは次々登場してきますが、昔のような大物感はなくなった気がしますね。
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2018年10月02日

「流転の魔女」楊逸

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中国人女性の林杏は日本の大学で法律を勉強している留学生。
居酒屋で時給900円のアルバイトをしています。
生活はぎりぎりです。
ある日、友人から弁護士をしている父親の通訳を頼まれます。
留置場に拘束されている中国人容疑者と接見するために通訳をしてほしいと。
その仕事が終わったあと貰った封筒を家に帰って開けてみると、報酬は1万5千円でした。
びっくりする林杏。
数時間で彼女の3日分のアルバイト代です。
林杏は貰った5千円札に『おせん』と名前を付け、「きっと戻ってくるんだよ」と心の中で呟き、コンビニで焼き肉スタミナ弁当やらなんやら、おまけにデザートまで買って“贅沢”をし、その5千円札を手放します。
そこから人から人へ渡っていく『おせん』の旅が始まり、また林杏はその後も通訳を続けるのですが・・・・。
通訳で中国人容疑者と関わる林杏、そして旅を続ける5千円札の『おせん』の話が交互に描かれていきます。
どちらにせよ描かれているのはお金です。
ン十円のお金さえ使うのに躊躇し振り回される林杏。
かと思えば『おせん』のほうはいろんな立場の人間の手に渡っていき、人生を垣間見ていきます。
お金に振り回される人間の悲哀といいますか。
この2つの話がどのようにひとつに収束するのかなと思いながら読んでいたのですが、結局はそのまんまなんですね。(笑)
私的にはお札を擬人化した『おせん』の章がどうも面白く感じられませんでした。
だいたい5千円札がそんなに海外のいろんな人の手を通り過ぎるとは思えませんし。
海外のお札と接触させるための設定なんでしょうが、ちょっと無理があるように思います。
面白い構成だとはと思いますが、わざわざこんなことする必要があるんですかね?
ラベル:小説
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