2018年10月08日

「鹿男あをによし」万城目学

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大学の研究室でヘマをして居られなくなり、教授の勧めで奈良の女子高に赴任することになった“おれ”。
担任したクラスの生徒達にはなかなか馴染んでもらえず、翌日の教室の黒板には昨日の自分の行動が書かれている始末です。
『パンツ3枚千円也』
『靴下四足千円也』
『鹿せんべい、そんなにうまいか』
いったいなんなんだ、こいつらは。
そんなある日、鹿が人間の言葉で話しかけてきました。
「さあ、神無月だ 出番だよ、先生」
これからいったいなにが起こるのか・・・・。
出だしはまさしく夏目漱石の「坊っちゃん」であり、キャラ設定もまさに。
しかし話はどんどんと奇妙な方向に進んでいきます。
フィクションに上手くリアルを溶け込ませてしっかりと土台を作り、その上で壮大な法螺を吹くのが万城目作品なんですよね。
「鴨川ホルモー」「プリンセス・トヨトミ」もまさにそう。
しっかりとその土地を舞台にして存分にその設定を活かす技は心憎いほど。
ちなみに「鴨川ホルモー」は京都、「プリンセス・トヨトミ」は大阪、この作品は奈良です。
いろんなキーワードが散りばめられ、邪馬台国だの卑弥呼だのといった歴史も絡み、かと思えば剣道の対抗戦のシーンなどはこれはもう立派な青春剣道小説です。
ラストはほのかに恋愛小説の味付けもあったりして。
そしてミステリーでありファンタジー。
「鴨川ホルモー」では上手く京都という土地を活かしているなと思いましたが、今回もまた同じく古都である奈良を舞台にして風情と味わいのある作品に仕上げています。
私が関西の人間であるせいかそのあたりも身近に感じました。
一級のエンターテイメント小説だと思います。
ラベル:小説
posted by たろちゃん at 01:00| Comment(0) | 『ま』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする