2018年11月09日

「居酒屋おくのほそ道」太田和彦 画=村松誠

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松尾芭蕉「おくのほそ道」に倣って著者こと七星、イラストレーターの村松誠こと亀次の二人が旅に出ます。
目的はもちろん俳句? それとも居酒屋?・・・・。
以前に「東海道 居酒屋五十三次」という本で東海道を飲み歩いたお二人ですが、今回はおくのほそ道。
行く先々でいい風景、いい居酒屋に出会っておられます。
最初は真面目に俳句に取り組んでおられたお二人ですが、なんだか旅が進むにつれ俳句そっちのけで飲むほうに精を出しておられるような。(笑)
でも漠然とあちこち飲み歩くよりも、このようなテーマに沿って巡る旅というのは味わい深くていいですね。
俳句と居酒屋、なんだかしっくりくるじゃありませんか。
そういえば私も一時期俳句の専門誌に投稿していました。
最近はご無沙汰で、やはりこういうのは日頃から心掛けていないと咄嗟には出てきませんね。
飲むほうはせっせと皆勤賞なんですが。(笑)
さて、この本はいい紀行であり、いい居酒屋のガイドであり、そしてちょっと自分も俳句をやってみようかなと思わせる手引書でもあります。
東日本を巡ったこの旅の連載が終わったのは2010年3月。
東日本大震災が2011年3月。
心を痛めた著者はかつての地を訪ねられ、各店の店主と再会しておられます。
その様子は最後の「希望の光 あとがきにかえて」に書いておられます。
居酒屋という立場から復興を担い、それを支持するのはもちろんありです。
こういう日常からじわじわと立ち上がっていく。
ほんと、がんばれ東日本! ですね。
ラベル:グルメ本
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2018年11月07日

「全国アホ・バカ分布考 はるかなる言葉の旅路」松本修

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大阪はアホ、東京はバカ。
ではアホとバカの境界線はどこにあるのか。
著者は「探偵! ナイトスクープ」のプロデューサーです。
番組に視聴者から寄せられた依頼がきっかけでこの問題の調査に乗り出すのですが、実はとんでもなく奥深いテーマでした。
単純に関西はアホで関東はバカというような問題ではなかったのです。
なぜか北と南に同じような言葉がある。
これはいったいどういうことなのか。
全国の市町村にアンケートを送付し、文献を漁り、専門家の意見を聞きと壮大な広がりを見せていきます。
その結果わかったことは、アホ・バカの類の言葉はすべて京都が発祥であるということ。
京都を中心にして円を描くように全国に広がっていったというのです・・・・。
いやあ、これは力作ですね。
よくもまあこのようなテーマをつきつめて調査されたものだと。
実際、今までこのようなテーマを真剣に研究した例はなかったとのこと。
専門家からもお墨付きをいただいています。
それにしても京都を発祥として円周状に広がっていった(方言周圏論)という検証は素晴らしいですね。
このように書くと簡単ですが、およそ500ページにわたってひたすらコツコツと検証していく描写は圧巻です。
実にお見事な一冊だと思います。
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2018年11月05日

「小森生活向上クラブ」室積光

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サラリーマンの小森正一は40歳。
若い頃と違って最近は何を食べてもうまくなく、無気力な毎日です。
ある日、電車の中でブスな女に痴漢扱いされます。
その女がまた別の日に他の男を痴漢扱いしているのを目撃した小森は、誰にでも迷惑をかけるこのブス女に殺意を覚え、地下鉄のホームに蹴り落して殺してしまいます。
それをきっかけに小森に活力が漲り、妻との夜の生活も絶好調。
職場でも今までとは馬力が違います。
どうやら周りから嫌われている奴を殺すことによってストレスから解放され、心身ともに別人のように生まれ変わったらしい。
やがて小森は裏の社会に通じている友人から拳銃を手に入れます。
次のターゲットは・・・・。
必殺仕事人のような話ですね。(笑)
こんなにもやすやすと殺人を実行するなんてあまりにもマンガ的ではありますが、これがこの作者の作風ではあります。
デビュー作の「都立水商!」は歌舞伎町に水商売専門の高校が作られてという話でしたし、2作目の「ドスコイ警備保障」は引退した相撲取りの再就職先として警備会社を設立するという話。
今回は殺人クラブです。
それだけではさすがに内容が陰気になりますので、妻との夜の生活で色気を添えたり、息子のバスケットボールの試合などで爽やかさを添えたりしています。
確かに死ねばいいのにと思うような奴は世の中にいますよね。
他人に迷惑をかけてなんの役にも立たない奴。
だからといって殺すわけにはいかず、法の裁きも生ぬるかったりします。
そういう納得のいかない世の中をシニカルに批判しているともいえます。
批判というか鬱憤晴らしというか。(笑)
どのようなラストにするのだろうと思いながら読みましたが、まあこういう締め方になるのでしょうね。
ラベル:小説
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2018年11月03日

「樹下の家族」干刈あがた

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主人公の『私』は小学生の2人の男の子を持つ母親。
ジョン・レノンが殺された日、私は年下の若い男と出会います。
2人で夜の街を彷徨い、バーで語り合い、現在と過去の出来事や思いがさまざまに浮かび上がってきます・・・・。(樹下の家族)
う~ん、正直言いまして私にはさっぱり理解できませんでしたね。
ジョン・レノンがどう、60年安保がどうという話になって、最後は樺美智子へのオマージュです。
このとりとめのなさや不安定さがもちろんこの作品の持ち味なのでしょうが、いや、私には無理でした。(笑)
最後に収録されている「裸」という作品がどうにかこうにかといったところでしょうか。
ちなみにこの「樹下の家族」が第一回海燕文学賞を受賞したデビュー作。
私の及ぶところではありませんでした。
ラベル:小説
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2018年11月01日

「お昼ごはん、何にする?」こぐれひでこ

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こぐれひでこといえば。
イラストレーターなわけですが、私の中ではなぜかパリの人というイメージがあるのですね。
実際パリで暮らしておられたわけですが、現在も在住というわけではないようで。
でもパリについてのエッセイも書いておられ、どうもそのイメージが私の中にはあるようです。
で、この本ですが、日本(といってもほとんど東京)でのランチ体験を紹介しておられます。
もちろんほとんどがカラーのイラスト付きです。
このイラストのセンスがまたパリの人と思わせるのかもしれません。
もちろん和食も紹介しておられますけども。
それはそれで和食にも合ってるなと思ったりします。
内容につきましては、あっさりと紹介しておられます。
料理の味についてしつこくあーだこーだとは書いておられません。
しかし美味しかったという喜びはじゅうぶんに伝わってきます。
ウンチクなんか必要ないのだと思わせてくれます。
料理店を紹介するとなるとやたら専門的な知識や言葉を駆使して伝えようというのもあったりしますが、こういう感想が実はリアルで親しみやすかったりするんですね。
ラベル:グルメ本
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