2018年12月03日

「性的黙示録」立松和平

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「遠雷」「春雷」に続いての3部作完結編です。
(このあと書かれた「雷獣」を含めて4部作ともいわれますが)
周りの農家は皆土地を売り御殿を立て、成金な生活をするようになりました。
主人公の満夫もそうだったのですが湯水のごとく金を使い、今やすべて手放し、嫁と二人の子供、そして母親と狭い家で暮らしています。
現在の仕事は貸布団屋の事務。
経理も手掛けているのですがその立場をいいことに会社の金を使い込んでいます。
いよいよそれが社長にバレ、満夫は社長を殺害してしまいます・・・・。
田舎が都市化され、農業を捨てた人間がどのように道を踏み外していったのか。
大事なアイデンティティを手放し、いままで持ったこともない大金に踊らされ、狂っていく人たち。
まさにバブルがそうでしたね。
しかし田んぼや畑を売り払い、そのあとがマンションだ駐車場だ商業施設だなどとなってしまってはもう元には戻りません。
土地も人間も。
それを発展というのか退廃というのか。
この作品の主人公はまさしく人として退廃していきます。
そして主人公と死者との会話。
今回この会話が象徴的であり、また作者の主張でもあるのですね。
田舎の片隅の話ではありますが、地味ながらもどっしりと読み応えのある内容でした。
ラベル:小説
posted by たろちゃん at 01:00| Comment(0) | 『た』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする