2019年01月11日

「新選組 幕末の青嵐」木内昇

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新選組。
どのような存在であったのか、いまさら説明するまでもありませんが。
この作品ではその新選組のいろんな人物にスポットを当てて語られています。
ひとりの人物を主役に据えて書かれるのに比べるとやや散漫な印象はあります。
ですがその分それぞれの人物を主観的に見ることができます。
読んでいまして魅力なのはやはり土方歳三ですね。
小説ですからもちろん脚色もありますし作者の思い入れもあるでしょうが、しかしそれを度外視しても魅力ある人物だといえるでしょう。
そして沖田総司。
この飄々とした純真無垢な人柄もまたいい。
剣客としてあまり活躍できなかったのは残念なことですが。
最初は視点がころころ変わるのに違和感を持ちましたが、慣れればどっふりと浸ることができました。
500ページ以上の長編ですが、最後は読み終えるのが惜しかったくらい。
昔、日本にこのような男たちがいたのだなぁと、しみじみ感慨に耽りました。
ラベル:時代小説
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2019年01月09日

「日常の極楽」玉村豊男

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極楽というものは天上にあるのではなく、健全な小市民としての日常のささやかな暮らしの中に発見していかねばならない。
著者はそう主張します。
そうですねぇ、ハレとケという言葉がありますけども、皆ちょっとハレを求め過ぎではないでしょうか。
派手な部分に惹かれ、日常の些細なことに関してはありがたみを感じない。
そんなことはありませんかね。
でも現在は当たり前の日常こそが極楽であると気付き始めている人も多い。
昔ながらの自然がどれだけ貴重なことか。
緑を伐採しビルを建て、土を失くして地面をアスファルトで固め、自分の家の中を冷やすために外に熱気を吐き出しています。
そして今頃になって温暖化だなんだと。
エコだロハスだと。
どれだけ自分勝手なんでしょうか。
食べ物にしてもグルメだ美食だと。
昔の地味ではありますが本物の素材で作った料理のほうがどれほど美味しく贅沢なことか。
そういうところに本当の極楽はあるのですね。
ラベル:エッセイ
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2019年01月07日

「〈ジャイアント白田〉 最強の飲食店づくり」ジャイアント白田

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ジャイアント白田といえばたぶんたいがいの人が知っていると思われる、テレビでもお馴染みの大食いの人です。
現在は大食い選手としては引退され、飲食店のオーナーをしておられます。
大阪は道頓堀で串カツ屋を経営。
昔から飲食店を経営することが夢だったということで、決してタレントの店という類にはしたくなかったとのこと。
そうやって真剣に立ち上げた店について、そのいきさつを紹介しつつ、将来飲食店をやりたいという人たちの参考にもなるようにと書かれた本です。
丁寧に真摯に書いておられるという印象ですね。
すでに飲食店を経営しておられる人たちからすれば青く感じられる部分もあるかと思いますが。
店舗の契約や仕入れなどの裏事情、原価率なんかも公表しておられます。
もちろんすべてを曝け出しておられるわけではないでしょうが、自身のノウハウをオープンにしてメッセージを伝えようとしておられるところに好感が持てます。
私は大阪在住ですが店には行ったことがなく、しかし店が入っているビルの前で呼びこみをしておられる著者を何度か見ました。
ミーハーにも写真を撮らせてもらったりもしました。(笑)
まあ飲食店というのは実際に訪問して飲食してなんぼ。
この本で語られていることがどれほど店に活かされているのか。
ぜひ訪問したいという気持ちになりました。
ラベル:グルメ本
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2019年01月05日

「モダンタイムス(上・下)」伊坂幸太郎

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渡辺拓海はシステムエンジニア。
ブログラムのシステムを改良する仕事を任されます。
ごく簡単な仕事のはずなのですが、なぜか優秀なエンジニアである先輩の五反田正臣がこの仕事から逃げ出したというのです。
渡辺は後輩の大石倉之助と共に仕事場に出向き、もう一人よその会社のプログラマーである工藤と仕事を進めます。
どうやら出会い系ウェブサイトのようなのですが、しかしプログラムにはやたら不明な点があります。
発注元に問い合わせようにも連絡先さえわかりません。
やがて関係者たちを不幸が襲うのですが、どうやらある言葉を組み合わせて検索したのが原因らしいと判明します。
いったいそのプログラムには何が隠されているのか。
裏にはどのような人物や組織が存在しているのか・・・・。
なかなか奥行きのある作品ですね。
なんのためのシステムなのかという謎を大きな軸にして、5年前の中学校銃乱射事件や政治家なども関わってきます。
そして渡辺の妻である佳代子や不倫相手の桜井ゆかりも何者かわからない。
謎だらけのまま話は進んでいきます。
ラストに向かってだんだんと謎が収束されていくわけですが、他の伊坂作品と比べるとその収束感はタイトではありません。
というか、ビシッと収束できるテーマではありませんから。
この作品は「魔王」の続編といいますか、その後の世界を描いています。
といっても「魔王」を読んでいなくてもなんら問題はありませんが。
私が今まで読んだ伊坂作品の中ではこれがいちばん読み応えがあり、よかったと思います。
ラベル:小説
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2019年01月03日

「東電OL殺人事件」佐野眞一

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平成9年、東京電力に勤めるOLが何者かによりアパートの一室で絞殺されました。
この事件が異様に注目されたのは、彼女が当時企画部経済調査室副長というエリートだったこと。
そしてなにより昼はOL、夜は売春婦としてホテル街に立っていたということです。
年収が1000万円近くあったといわれるエリートOLがなぜ売春などしていたのか。
犯人として逮捕されたのは事件があったアパートの隣に住むネパール人。
しかし彼を犯人とするにはあまりにも証拠が弱いにもかかわらず、警察ははなっから彼を犯人だと決めつけて逮捕しています。
真犯人は誰なのか。
エリートOLはなぜ毎晩ホテル街に立ち客を取り続けたのか・・・・。
まず、被害者女性の心の闇といいますか、なぜ売春などしていたのかそれがまったくわからないですね。
社会的な立場もあり、年収も十分です。
にもかかわらず、仕事後に毎晩最終電車の時間まで立ち続け、何人も客を取ったといいます。
安い時は2千円、3千円という金額で。
常連客の話によると決してセックスが好きなわけではなかったようです。
そして真犯人は誰なのかということ。
逮捕されたネパール人については判決が二転三転していますが、最終的には平成24年に無罪が確定しました。
なぜ検察は執拗に彼を犯人に仕立てようとしたのか。
それにしても恐ろしい話です。
まったく聞く耳を持たず不十分な証拠で逮捕した警察、そして執拗に追い詰めた検察。
ネパール人の彼は外国でこのような冤罪をかけられて、どれほど不安で恐ろしく悔しく悲しかったことでしょう。
無罪になったものの、それまでの時間は返ってきませんし精神的苦痛は甚大なものがあります。
この本では著者はひたすら被告無罪の確信を持ち、30回にわたる公判を傍聴し、被告に何度も面会し、丁寧に事件を追っています。
しかし20年以上経った今でも被害者の心や真犯人が闇のままなすっきりとしない事件です。
posted by たろちゃん at 01:00| Comment(0) | 『さ』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする