2019年03月20日

「赤頭巾ちゃん気をつけて」庄司薫

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主人公は日比谷高校3年生の庄司薫。
作者が主人公ということなんでしょうか。
東大紛争のため入試が中止になり、大学に行くのを諦めます。
由美というガールフレンドがいますが、電話でのちょっとしたやりとりから絶交状態に。
薫は左足親指の爪をはがしており、銀座で小さな女子にその足を踏まれ悶絶。
なんとか持ち直して女の子が本屋で「あかずきんちゃん」の本を買うのを手伝ってあげます・・・・。
う~ん。
これ、いったいなんなんですか。(笑)
当時(1969年)としてはけっこう斬新だったのかもしれないですね。
高校生が一人称でひたすら日常や心情を語り続けます。
読み始めてすぐに思ったのが、失礼ながら「『ライ麦畑でつかまえて』のパクリ?」と。
今から読むと古臭くもあり、かえって新鮮でもあります。
古臭く感じたのは最後のほうでひたすら心情を主張するあたり。
この熱さはやはり時代でしょう。
逆にそれが新鮮にも感じられました。
今どきこんな高校生を主人公にした小説を書く作家なんていませんから。(笑)
ちなみにこの作品は芥川賞を受賞しています。
よくも悪くもこの時代の少年が鮮烈に描かれているということなんでしょう。
ラベル:小説
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2019年03月18日

「妻の超然」絲山秋子

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ブランド物の派手なパンツを穿いて帰ってくる夫の文麿。
洗濯カゴに入ったそれを見て妻の理津子は考えます。
洗ったものか、どうしたものか。
捨ててもいいのではないか。
吝嗇な夫が自分でこんなパンツを買うはずもなく明らかに愛人に買ってもらったものなのですが、そんなのを平気で洗濯カゴに放り込んで妻が気付かないとでも思っているのか。
もし女が乗り込んできたとしても、こんな男どうぞお持ち帰りくださいとくれてやってもいいのだが・・・・。(妻の超然)
九州男児なのに酒が飲めない僕。
あまり人付き合いが好きではない僕ですが、話の合う彼女ができます。
しかし彼女は酒好きです。
飲めないながらも付き合ってきましたが、NPO活動を強要されるようになって・・・・。(下戸の超然)
首に腫瘍ができた作家の「おまえ」。
入院、手術という経過の中で、自分を見つめ、文学を見つめ、「おまえ」は考えます・・・・。(作家の超然)
タイトル通りどの主人公も超然と構えています。
それはなんといいますか、どの主人公も自分の世界観を持っているのですね。
ある意味傲慢といってもいいかもしれません。
しかしラストで感じられる主人公たちのそれぞれの考えには相違があります。
それは結果的に再生であったり、信念であったり、希望であったり。
はて、超然というのはなんなのか。
孤高の意志であるのか。
私も超然と毎日を過ごしたいなと思いますが、なかなかそうもいきません。(笑)
ラベル:小説
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2019年03月16日

「カエルの楽園」百田尚樹

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凶悪なダルマガエルに仲間たちを食べられ、国を追われたアマガエルのソクラテスとロベルトたち。
放浪の途中でも数々の仲間が死んでいきました。
ようやくたどり着いたのがツチガエルの国ナパージュ。
争いもなくカエルたちはとても親切で、二匹はようやく楽園にたどり着いたと安堵します。
この国には「三戒」と呼ばれる戒めがあります。
カエルを信じろ、カエルと争うな、争うための力を持つな。
そして「謝りソング」という歌があり、これらによってナパージュは長いあいだ平和が保たれているというのです。
しかし南の崖下の沼には凶悪なウシガエルがいます。
そのウシガエルたちがじわじわと崖を登り、ナパージュに接近してきます。
ですがナパージュのカエルたちは「三戒」がある限り大丈夫だと皆主張します。
「三戒」は本当にその脅威からナパージュを守ってくれるのか・・・・。
平和ボケした理想論を高々と掲げ、自国を自虐し続ける一部の(いや、多数か)日本人に対しての痛烈な皮肉であり警告的な内容ですね。
自国に不法侵入されても争いはいけません、話し合いで解決しましょう、「三戒」がある限り大丈夫ですと言い続ける元老たち。
こちらから争いを仕掛けることはない、しかし自国を守るためには敵に立ち向かうための力が必要だと訴える一部のカエルたち。
それでも頭の固い元老たちやそれを支持するカエルたちは「三戒」を盾にして聞く耳を持ちません。
やがてウシガエルたちがナパージュに攻め込んできます。
さてナパージュはどうなったのか・・・・。
言うまでもないことでしょう。
「話せばわかる」なんて言っていても問答無用で拳銃で撃たれたら終わりなんですよ。
実際何を言っても聞く耳を持たない国がすぐ近くにありますよね。(笑)
ラベル:小説
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2019年03月14日

「定食ニッポン」今柊二

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体のおよそ98%が定食でできているという著者が、全国各地の定食を食べ歩いた記録です。
第一章では山手線ぐるり一周定食巡り。
第二章では北から南へ日本全国地元食食べ歩きです。
といっても食べておられる内容はさほど地元色が強くないように思いますが。
大阪のお好み焼き、宇都宮のギョーザはまあ定番ですけどね。
別に札幌で焼肉やらカレーライスを食べなくてもと思いますが。
地元食というよりは地元の定食屋ということなのでしょう。
第三章は全国立ちそば紀行。
いいですね、立ち食いそば。
どこも似たようでありながらちゃんと個性を発揮していたりして。
この本で紹介されているのはタイトル通り定食なので、何千円もするような料理は紹介されていません。
まあB級グルメともいえるでしょうが、でもやはりこういうのがいいですね。
気取らずざっくばらんな店で、ン百円でしっかりとお腹いっぱいになる。
私も定食大好きです。
ラベル:グルメ本
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2019年03月12日

「羊と鋼の森」宮下奈都

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高校時代にたまたまピアノ調律師の板鳥さんと出会った外村。
その仕事に魅せられた外村は調律師を目指し、専門学校に通い、板鳥さんのいる楽器店に就職します。
調律師としてのスタートです。
憧れの板鳥さんとはなかなか顔を合わせる機会もありませんが、それぞれ個性を持つ先輩たちの下で外村は調律師としての修業を始めます・・・・。
まずタイトルなんですが、「羊と鋼の森」なんてどんな内容なんだと思いますよね。
それがピアノの調律師のお話なんです。
読んでいきますとタイトルに込められた意味と思いがわかります。
主人公の外村がピアノの調律という仕事に惹かれ、3人の異なる個性を持つ先輩たちの言動や仕事を目の当たりにし、調律師として成長していく過程を描いています。
そしてふたごの姉妹。
この姉妹の存在が一段と外村の情熱を強くします。
姉妹と変に恋愛話にならないところがまた清々しくていい。
2016年の本屋大賞を受賞したということで、たしかにいかにも本屋大賞好みな内容ではあります。
じんわりと心に染み入るいい小説でした。
ラベル:小説
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