2019年06月24日

「ラスト・ワルツ」柳広司

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シリーズ第4弾。
4編収録されています。
表題作はないのですが、「舞踏会の夜」が該当しますかね。
五條顕子は華族に生まれ、日常の息苦しさに退屈し、10代の頃から何度も家出を繰り返してきた奔放な娘です。
父親が勝手に決めてきた婚約相手は蜥蜴のような顔をした加賀美正臣陸軍大佐。
もちろん両家にとって思惑のある政略結婚であり、愛などありません。
加賀美は顕子になど興味はなく、「お互い、好きにするさ」と顕子がどこで何をしようが一切文句を言うことはありませんでした。
そんな顕子が舞踏会である人物を探していたのですが、その前に現れたのは・・・・。
いつもながらスパイたちのストイックな世界が描かれています。
どこの誰とも素性の知れない男たちの暗躍というか活躍といいますか。
当然のことながら全編にさりげなく漂うのが陸軍のスパイ養成機関である『D機関』の総帥である結城中佐の存在感。
直接これといって登場せず、ここまで存在感を漂わせるキャラというのもたいしたものです。
この「舞踏会の夜」でも顕子に接点のある男として結城中佐らしき人物が登場しますが、敢えて誰とも記されていません。
その他のスパイたちも名前はあるもののもちろん偽名であり、実はどこの誰であるなどという野暮な説明などあるわけもなく、物語の中だけではなく読者に対してもその“秘密主義”が貫かれているのがクールなんですよね。
ところでこれが最終作になるのでしょうか。
この作品が単行本として出たのが2015年。
それから4年。
もうこれで終了ですかね。
まだ読みたい気もしますが、だらだら続けて緊張感がなくなってしまうのもね。(笑)
ラベル:小説
posted by たろちゃん at 01:00| Comment(0) | 『や』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする