2019年09月30日

9月の一冊

今月の読書は14冊。

・「南の肌」円地文子
・「進化する日本の食 農・漁業から食卓まで」共同通信社 編
・「舞面真面とお面の女」野崎まど
・「味覚旬月」辰巳芳子
・「給食のおにいさん 卒業」遠藤彩見
・「ラブホテル進化論」金益見
・「縦横無尽の文章レッスン」村田喜代子
・「犬と鴉」田中慎弥
・「雨の塔」宮木あや子
・「ヨーロッパ横丁たべあるき」田辺聖子
・「梅咲きぬ」山本一力
・「テレビ料理人列伝」河村明子
・「あおい」西加奈子
・「笑福亭鶴瓶論」戸部田誠(てれびのスキマ)

「南の肌」、当時の現実を小説にしておられます。
作者の主張が厳しい。
「進化する日本の食 農・漁業から食卓まで」、本当に日本の食は進化しているのでしょうか。
疑問に思いますが、この本を読みますとまだまだ頑張ってくださっている生産者がいらっしゃいます。
「舞面真面とお面の女」、いつもながらなんで登場人物はこんな名前なんだと。(笑)
お面の彷徨先の理由がいまいちよくわからなかったのですが。
「味覚旬月」、昔から伝えられてきた家庭料理。
いま、それを伝えられる人がどれだけいます?
「給食のおにいさん 卒業」、いよいよおにいさんも給食から卒業することになりまして。
さて、次巻からどのような展開になるのでしょうか。
「ラブホテル進化論」、ラブホテルという見て見ぬふりしがちな存在を真正面から取り上げておられます。
お見事です。
「縦横無尽の文章レッスン」、小学生の作文なども例に挙げ、いい文章とはどういうものかと解説しておられます。
なるほどと思う箇所多数。
「犬と鴉」、ちょっとシュールで難しかったですけど。
表題作よりも他の収録作に私は魅力を感じました。
「雨の塔」、閉ざされたシチュエーションで少女4人の物語。
なんとも耽美で静謐な雰囲気がよかったです。
「ヨーロッパ横丁たべあるき」、ヨーロッパといえば美食というイメージがありますが。
お聖さん、カモカのおっちゃんとともに横町の食堂を紹介してくださいました。
「梅咲きぬ」、山本一力作品ではお馴染みの『江戸屋』女将の秀弥。
三代目、四代目の生きざまがたまらなくいい。
「テレビ料理人列伝」、いまや溢れるほどいる料理研究家。
でも昔はもっとシビアにこの仕事に取り組んでいらっしゃったんです。
「あおい」、主人公は27歳の女性ですが、読んで思ったのが非常に肩の力が抜けてるなと。
変に『27歳の女性』を作ってないんですよね。
「笑福亭鶴瓶論」、笑福亭鶴瓶の半生を読みつつ、いろんな人のエピソードも知れたのは収穫でした。
笑福亭鶴瓶という芸人を論じた本として、いいのかどうかはなんともいえませんが。

今月読んだ中でいちばんよかったと思えた作品を選ぶ今月の一冊。
今回は2作に絞られ、「雨の塔」と「梅咲きぬ」です。
「雨の塔」の雰囲気というのは私にはすごくよかったですね。
こういうの好きです。
でも「梅咲きぬ」の読み応えが圧巻でした。
山本一力の作品にはいつも感服させられます。
ということで、今月の一冊は「梅咲きぬ」山本一力です。

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2019年09月28日

「笑福亭鶴瓶論」戸部田誠(てれびのスキマ)

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笑福亭鶴瓶こそが最強の芸人であると主張する著者。
大物とも対等に渡り合うかと思えば後輩にボロクソいじられる。
あちこち地方を訪ねて地元の人たちと交流したかと思えば、翌日には大ホールで落語をやっていたりする。
鶴瓶というのはいったいどのような人間なのか・・・・。
なるほど笑福亭鶴瓶という芸人はトップレベルというほど抜きんでた存在ではありません。
しかしつねにトップのすぐ下におられますよね。
人気も安定しています。
著者は鶴瓶はスケベだといいます。
これは終始一貫してこの本の中で何度も使われており、各章のタイトルにも使っておられる言葉です。
もちろん性的な意味で使っておられるのではなく、芸人としての色気であったり、なによりいろんなことに対しての貪欲さを表現しておられるんですよね。
しかし私は読んでいるあいだずっとこの言葉に違和感を持っていました。
著者としては鶴瓶を表現するのに的確な言葉だと思っておられるのでしょうが、私にはどうも最後まで馴染めませんでしたね。
もうちょっと別の言葉で表現できなかったものかと。
いろんなエピソードや鶴瓶の魅力を読めたのは楽しかったですが、ひたすらスケベというキーワードでまとめようとしておられるのがどうも好きになれませんでした。
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2019年09月26日

「あおい」西加奈子

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カザマ君という3歳年下の大学生と付き合っている『あたし』は27歳。
スナックでアルバイトをしています。
スナックのママ、常連客の森さん、近くの書店で働いているみいちゃん。
そんな人たちと日々接しつつ、ある日、妊娠していることが判明します。
もちろんカザマ君の子です。
動揺するあたし。
スナックのママとは喧嘩別れのような形で店を辞め、その原因となった森さんはアフリカへ行くという。
では自分も旅に出ようと長野のペンションで働くことにするのですが、到着したその日のうちに脱走。
足を怪我し、ガラガラ付きの鞄も壊れ、途方に暮れたあたしは真夜中の山中でごろりと横になるのですが・・・・。
「あおい」というタイトルをこういう形で持ってきたのかと、まず思いました。
なるほど。
手法としてはまあ定型ですね。
話に関しましては、なんでそこまでカザマ君なんだろうと思ったのですが。
それほど一生のパートナーとして魅力ある人物なのでしょうか、カザマ君。
まあ他人の恋に口は挟めませんが。
って、これ小説ですから、口を挟みますけど。(笑)
合わせて収録されている「サムのこと」や「空心町24時」を読みますと、ああこういう系統なのかと。
他の作品も順を追って読んでみたいと思います。
ラベル:小説
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2019年09月24日

「テレビ料理人列伝」河村明子

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1957年にスタートし、半世紀以上も続いている料理番組、NHK「きょうの料理」。
いろんな料理研究家たちが出演してきました。
著者は20年以上ディレクターとしてこの番組に携わってこられた人物です。
テキストを読み、いろんな関係者に取材し、当時番組に講師として出演していた人たちとはどのような人物だったのかを本書で伝えておられます。
出演者に関しましてはまさに錚々たるメンバーといっていいでしょう。
初期の人たちでは、近藤とし子、江上トミ、飯田深雪、土井勝、など。
その後、辰巳浜子、柳原敏雄、阿部なを、など。
料理人としては辻嘉一村上信夫、小野正吉、陳建民、など。
これらの人たちがスタッフと一緒にどのように料理を作り番組を作ってきたか。
料理する講師だけでなく、番組を作る人たちの収録での苦労が掲載されています。
特に初期は生放送でしたし、スタジオも撮影技術も現在とは比べ物にならないお粗末なレベルです。
そんな中でいかに苦労して番組を収録したのか。
食糧事情も現在に比べたらずっと貧困でした。
そんな中、いかに美味しく、栄養も考えつつ、手に入る材料で、料理を考えたのか。
日本の食事情や家庭料理の変遷も知ることができて実に興味深いです。
現在は料理人や料理研究家という職業が大変人気あるようです。
とても結構なことだと思うのですが、ぜひそれらを目指している若い人たちには、昔のこのような人たちの仕事を知っていただきたいですね。
今のように料理する人が脚光を浴びるようなことが考えられなかった時代に、それでも一生懸命真剣に料理というものを一般に伝えようとしていた人たちがいたことを。
ラベル:グルメ本
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2019年09月22日

「梅咲きぬ」山本一力

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深川一の料亭『江戸屋』の一人娘、玉枝。
母親は三代目秀弥。
『江戸屋』を差配するその器量は町内の鳶のかしら衆や木場の旦那衆も一目置くほど。
玉枝はそんな三代目から将来は女将になるべく厳しく育てられ、成長していきます・・・・。
直木賞受賞作の「あかね空」「損料屋喜八郎」シリーズなど、他の作品にも登場する四代目秀弥の少女時代からの物語です。
玉枝の成長を描きつつ、三代目秀弥の凛とした生きざまも描いています。
踊りの師匠である春雅や三代目の言葉や躾が読んでいるこちらの身にも染みてきます。
このような過去があって今の四代目秀弥があるのですね。
またどこかの作品でお目にかかりたいものです。
ラベル:時代小説
posted by たろちゃん at 01:00| Comment(0) | 『や』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする