2019年09月20日

「ヨーロッパ横丁たべあるき」田辺聖子

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作家・田辺聖子がヨーロッパの都市5か所をめぐった食べ歩き紀行です。
単行本として出たのが昭和54年。
今から40年も前になりますか。
訪問した先はローマ、ヴェニス、マドリッド、バルセロナ、パリ。
当時の海外旅行事情はどうだったのでしょう。
記憶にありませんが、今ほど気楽に行ける環境ではなかったでしょう。
あちこちの国を巡っての食べ歩きですが、しかしタイトルにもありますように目的は横町にある屋台のような店。
決して名だたるレストランを食べ歩く美食訪問ではありません。
高級なもちらりと入っていますけども。
やはり海外に行って食べ歩きとなりますとガイドブックに紹介されているような有名店ではなく、地元の人たちで賑わうような店に行きたいですよね。
実はこういう店のほうが高級店より敷居が高いんですけども。
マドリッドの小エビの鉄板焼きの店なんてたまりませんね。
新鮮なエビを激安でワイングビグビ。
こちらでいえば大阪は西成の立ち飲みホルモン屋みたいな感覚でしょうか。
やはり海外に行くからには地元の人たちが普段使いしている店に行きたいものです。
それを実行しておられるあたり、さすがのお聖どんですね。(笑)
ラベル:グルメ本
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2019年09月18日

「雨の塔」宮木あや子

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この世の果てのような岬にある女子だけの全寮制の学校。
好きなものはなんでも手に入りますが、外からの情報はいっさい入ってきません。
そんな閉鎖された世界で暮らす、それぞれ複雑な事情を持った4人の少女たち。
友情や恋愛的な感情を交差させ、複雑な関係で日々を過ごしていくのですが・・・・。
シチュエーションがいいですね。
完全に外の世界とは隔離された設定で、登場人物も4人の他ほとんど出てきません。
なんとも静寂な世界です。
そんな中で女性同士の友情、恋愛、嫉妬といった感情が描かれ、耽美的な雰囲気があります。
キラキラした笑いのある日々とは無縁。
つねにどんよりと曇ったような毎日です。
痛さや切なさがひりひりと伝わってきます。
これはもう舞台設定の勝利でしょうか。
しっとりとした映像で観てみたい気がしました。
ラベル:小説
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2019年09月16日

「犬と鴉」田中慎弥

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時代はいつでしょうか。
近未来な気もします。
戦争が起こり、各家の傍には避難壕が掘られ、人々は壕に閉じこもっています。
主人公の父は戦争へ行き、それを追っていった母は戻ってきません。
野犬が闊歩する町中。
父は丘の上の図書館に籠城していると聞きます。
主人公は父に会うため図書館に通うのですが・・・・。
う~ん、シュールといいますか、難解な小説ですね。
私にはよくわからなかったのですが、しかし解説の平野啓一郎、さすがですね。
なるほど、ここまで読み解かなくてはいけないのかと。
さすがに純文学は奥が深いなぁ。(笑)
表題作他2編収録ですが、最後の「聖書の煙草」が私には面白く読めました。
意味はあまりよくわかりませんでしたけども。(笑)
ま、なんにせよ、親子の対立というのはありますよね。
特に父と子。
この家系の繋がりといいますか葛藤といいますか、こういうのは作者の追求するテーマなんでしょう。
ラベル:小説
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2019年09月14日

「縦横無尽の文章レッスン」村田喜代子

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芥川賞他、数々の文学賞を受賞しておられる作家の文章レッスンです。
大学で文章講座を続けてこられた著者。
それを本にまとめておられます。
いろんな課題を朗読し、そしてテーマを与えて学生に文章を書かせる。
それを紹介し、批評しておられます。
私は別に今さら作家を目指しているわけではありませんが、勉強になりますね。
最初に紹介されている小学生の作文、その解釈。
大学生に対して小学生の作文をテキストにしておられるんです。
大学生からしたらふざけんなという話かもしれませんが、いやいや、小学生の作文のほうがよほど表現力が素晴らしいんですね。
他にもいろんなテキストを取り上げ、講義しておられます。
著者は本書の中でも何度か、いい文章を書きたいなら優れた本を読め的なことを語っておられます。
そりゃそうですよね。
読むという勉強をせずして書こうとしている人が結構多い。
情けない話だと思うのですが、でも個人的には今後そういうふうになっていくと思っています。
本なんて読まない人が思うままの気持ちを書いて小説もどきのような作品を仕上げる。
読むほうもまたまともな小説なんて読んだこともないから、そのような作品を読んで感動する。
実際にありましたよね、そのような例が。
でも、やっぱりちゃんとした文章の基本を身に着けたうえで書いていただきたいですし、読みたいです。
「パない」なんてアホな言葉を使った小説なんて読みたくない。
作家を目指す人に限らず、文章を書くことを自負しておられる人にはぜひ読んでいただきたいですね。
ラベル:書評・作家
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2019年09月12日

「ラブホテル進化論」金益見

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電車である情報誌の中吊り広告に「ラブホ特集!」という見出しを見かけた著者。
それをきっかけに当時大学生だった著者は「カップルの空間を考察する」と題し、ラブホテルをテーマにした卒業論文を書こうと決めます。
井上章一氏にはつまらなかったと酷評されたそうですが。(笑)
その後大学院に進んだ後もラブホテルを研究し続けます・・・・。
なかなか興味深い研究です。
私が知らないだけかもしれませんが、ここまで真摯にラブホテルを研究、発表した人はいないのでは。
あちこちのラブホに行ってああだこうだという自称評論家はいますけども。
ラブホテルの始まりから、それぞれの時代を背景にしてどのように変遷してきたか。
外観、アイテム、ネーミング。
利用者の意識の変化。
経営者や設計士、デザイナーなどにもインタビューを試みておられます。
まさしく進化論ですね。
今後もどのように進化していくのか。
これからも研究を続けていかれますことを。
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