2019年11月08日

「恋歌」朝井まかて

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師の中島歌子が病に臥せ、留守宅の書類の整理を依頼された三宅花圃。
そこで花圃は歌子の手記を見つけます。
手記には歌子の壮絶な知られざる過去が記されていました・・・・。
中島歌子という人は樋口一葉の師として知られた歌人です。
花圃はその弟子で小説家。
物語はただ歌子が過去を語るのではなく、弟子が師の半生を読むという形式です。
時代は幕末の江戸。
商家の娘として育った歌子ですが、水戸藩士である林忠左衛門以徳の家に嫁ぎます。
尊王攘夷を掲げて活動する以徳ですが、やがて水戸藩で内乱が起き、歌子も投獄されてしまいます。
それでもひたすら行方の知れない以徳を思い続ける歌子。
波乱の人生です。
明治生まれのちゃらちゃらした若い娘たちに自分たちがどれだけ苦労してきたか、今の時代を作ってきたのは誰なのかというのを語って聞かせるという、いつの時代にもあるテーマでもあります。
この国をよくしようと命を賭けた男たちがいたのだと。
それを支え耐え忍んできた女たちがいたのだと。
静かに、しかし力強く訴えます。
弟子の樋口一葉に比べるとさほど一般に名前の知られていない中島歌子。
そんな人物に光を当てた佳作です。
ラベル:時代小説
posted by たろちゃん at 01:00| Comment(0) | 『あ』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする