2019年12月17日

「こんな夜更けにバナナかよ 筋ジス・鹿野靖明とボランティアたち」渡辺一史

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筋ジス。
筋ジストロフィーという病気の略で、筋力が低下し自力で体を動かすことができなくなり、呼吸さえできなくなってしまうという難病だそうです。
そんな難病を抱えた重度の身体障害者が鹿野靖明氏です。
彼の周りには24時間体制で大勢のボランティアがいます。
著者は自らも取材を兼ねたボランティアとなります・・・・。
読む前に「だいたいこんな内容なんだろうな」と思っていたのが見事に覆されましたね。
難病を抱えた障害者の苦労、それを世話する人たちの現実。
そういうのが描かれているのだろうと思っていました。
もちろんその通りなのですが、それを超越しているといいますか。
とにかく鹿野氏のわがままっぷりといったら。
しかも相手は無償のボランティアです。
鹿野氏は容赦なくボランティアたちに自分の世話を押し付けます。
上手にできない人には「帰れ!」と怒鳴りつけます。
自分は世話されているのではなく、ボランティアたちに介護の仕方を教育してやっているのだとさえ言います。
それでもなぜ大勢のボランティアたちが鹿野氏に付いていくのか。
鹿野氏の「生きたい!」という思いは半端ではありません。
「人様に迷惑かけて申し訳ない、いっそのこと尊厳死したい」などという気持ちはこれっぽっちもありません。
自分は他人に介護してもらわなくては生きていけない。
それならば堂々と介護してもらおう。
それにより、障害者を介護する技術を身に付けてもらおう。
遠慮していては障害者の本音が伝わらない。
ある意味自分が実験台となり、障害者の立場から介護とはこのようにすべしというのを伝道しているわけですね。
ボランティアには医大生、看護学生、福祉系の学生などがいます。
なるほど彼らにとっては目からうろこの研修となったのかもしれません。
もちろんやってられるかと辞めていく人もいたようですが。
障害者だから、他人に迷惑をかけるからなどと委縮などしません。
とにかく生き続ける。
そのためには片っ端から他人に介護をしてもらう。
なんという生に対する執念でしょう。
これほど生というものを大切に思い毎日を過ごしている健常者が果たしてどれだけいることか・・・・。
posted by たろちゃん at 01:00| Comment(0) | 『わ』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする