2020年04月19日

「バカにつける薬」呉智英

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バカをバカと言うことが禁忌になった。
それは70年代初頭から始まったサベツ狩りの愚行以来だと著者は言います。
あらゆる差別用語と一緒に、バカという言葉も社会から抹殺されていったと・・・・。
著者はいろんな雑誌、あるいは新聞の投稿欄で一般人をも相手にバカ呼ばわりして論争してきました。
この本はそんなバカにつける薬だとのことです。(笑)
私は自分が決して賢いとは思っていませんし、むしろ著者の言うバカに当てはまります。
ですがそんな私でもやはり「こいつはバカか?」と思う人たちが大勢いるんですよね。
この本は1988年に単行本として出版されたものの文庫化です。
ちょっと話が逸れますが、1991年に某ドリンクのCMで桃井かおりが「世の中、バカが多くて疲れません?」というのがあったのですが、当然批判殺到。
こんなのでわざわざ抗議する連中こそがまさにそのバカなのですが、CMは差し替えられました。
差し替えのセリフが「世の中、お利口が多くて疲れません?」(笑)
お見事。
強烈なカウンターですよね。
実はこれ、批判殺到を予想して差し替え用も撮影済みだったという話があります。
本当かどうかはわかりませんけども。
コピーは仲畑貴志。
名コピーライターです。
まさにバカを手玉に取っておられます。
さて本書ですが、やはり同じくバカ(著者曰くです)を手玉に取って翻弄しておられます。
必ずしも著者の意見が正しいわけではないでしょうし、いろんな反論もありましょう。
バカな私には判断がつきません。
この本を読んで「それは違うんじゃないか」と思う人はぜひ反論を。
著者は嬉々として受けて立つと思います。(笑)
といいましても、もう30年前の本なのですが。
しかし著者は今も現役でご活躍ですので、現在の著者の評論を読んでいっちょやったろかいという論客がいらっしゃればぜひ。
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2020年04月17日

「ロマンス小説の七日間」三浦しをん

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海外のロマンス小説を翻訳するのが仕事のあかり。
堅物の父親と二人暮らしですが、近所に住む神名という彼氏と通い同棲しています。
現在は中世時代の騎士と女性領主の恋物語を翻訳中。
これがまた苦笑物の内容で。
なんだかなぁ、なんて思っていたら神名がいきなり会社を辞めたという。
いきつけの飲み屋の常連女子もなんだか神名を狙ってそう。
苛立つあかりの翻訳はどんどん原作とかけ離れ、勝手にストーリーをでっちあげてしまう展開に・・・・。
う~ん。
裏表紙のあらすじを読みますと「どんどん創作されるストーリー。現実は小説に、小説は現実に、二つの物語は互いに影響を及ぼし、やがてとんでもない展開に!」とあります。
これを読んで「ほほぅ、SF的実験的な内容か」と期待したのですが、そんなのではなかったですね。
裏表紙、大げさすぎます。
翻訳がもっととんでもない方向に行くのかと期待しましたし、現実がどれほどフィクションに侵されるのかと期待しました。
そういう期待をして読んでみたら、別にどってことない。
劇中劇のようにあかりが翻訳する小説が挟まれるのですが、原作から脱線してはいるものの、話自体はまともに進んでいきます。
現実のあかりの私生活もいろいろ問題が起こるのですが、しかしまあ常識内の展開で。
もっと飛び抜けた展開を勝手に想像したこちらが悪かった。
なんだかんだ、作者は試しにこの作中に出てくるような小説を書いてみたかったのかな、と。
あるいはあとがきにあるように、恋愛小説という依頼に対してこのような発想が浮かんだものの、でもこんなハーレクインロマンスのような小説を書くわけにはいかない。
いかないというか恥ずかしくて書けない。
ならこのように作中作として書けば照れも少なく、それを現実の主人公たちにもかぶせることができる。
そのように考えられたのかなと。
そんなことを思ったりもしましたが、たぶん的外れでしょう。(笑)
なんにせよ、期待外れでした。
ラベル:小説
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2020年04月15日

「英国一家、フランスを食べる」マイケル・ブース

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英国一家食べ歩き(?)シリーズの第3弾です。
といっても、実際は第1弾なんですけどね。
というのは、このシリーズ、日本で最初に発売されたのが「英国一家、日本を食べる」で、その次が「英国一家、ますます日本を食べる」です。
しかし本書はそれらの前に書かれていたものなんですね。
でも日本での出版の順序としては、これをあとに持ってきて妥当でしょう。
日本でイギリス人がフランス料理を食べましたなんて本をいきなり出しても誰も興味を持ちません。
やはり最初に我が日本にイギリス人がやってきて全国食べ歩いた、というのを持ってきたのがインパクトなんですね。
しかも一家でというのがミソ。
グルメライター個人ではなく家族ぐるみというのが設定として面白い。
なのでヒットしたのでしょう。
なぜか今回は出版社も訳者も変わっているのですが。
さて今回の内容は食べ歩きというよりも、著者が料理学校に入学して悪戦苦闘する奮闘記です。
料理のことを知らない自分がプロのシェフの料理を食べ、どうこう言えるのかと。
『一人前の批評をするには、僕自身がプロのシェフになるために学び、ミシュランの星つきキッチンではたらくことが絶対条件になる』
日本のフードジャーナリストに聞かせてやりたい言葉ですね。(笑)
で、実際にパリに家族で移り住み、「ル・コルドン・ブルー」に入学するわけです。
そして卒業後、「ラトリエ・ドゥ・ジョエル・ロブション」で働き始めます・・・・。
料理の批評をするからには、自分もそれなりの知識を持っていないと、というのはわかりますね。
それも外側からの知識ではなく、内側の知識。
つまりそれは経験ですね。
料理を作る経験、技術。
それも三ツ星レベルの本格的な料理の技術を身につけたら、批評にも説得力がありましょう。
なかなか歳取ってからそのようなことはできないものですが。
著者の行動力は実に立派だと思いますが、しかしこの著者の文章はなんでこんなに嫌味なのか。(笑)
さすがイギリス人というべきなのか。
外国人の文章って翻訳のせいかどうなのかわかりませんが、やたら言い回しがウザイんですよね。
これを気の利いたとかウィットに富むとか受け取れる人はいいんでしょうけど。
私はこの人の文章は好きになれません。
ラベル:グルメ本
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2020年04月13日

「柳生薔薇剣」荒山徹

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秀吉の朝鮮出兵時に朝鮮から日本に渡ってきた人がたくさんいました。
うねもそのひとりです。
肥後・熊本藩で藩士の貴月主馬の妻として日本人になりきって平和な生活を営んでいたのですが、朝鮮からそのような人たちを連れ戻そうと使者がやってきます。
幕府は強制はしないという方針だったのですが、隈本藩は過剰反応し強制的に朝鮮人たちを帰国させる決定を下します。
もちろんうねもその対象です。
しかしうねには夫と3人の息子を残して今さらひどい仕打ちをしてきた朝鮮に戻る気などありません。
夫である主馬は脱藩してでもうねを守るため、鎌倉の駆け込み寺である東慶寺までうめを護送します。
ここに駆け込んでしまえば誰も手が出せません。
しかし主馬と3人の息子は追手に切られ、それでもうめは這う這うの体で東慶寺に駆け込むことができました。
それを偶然手助けしたのが柳生宗矩の娘で柳生十兵衛の姉である柳生矩香(のりか)。
ですがここからうねをめぐって凄まじい争いが始まります・・・・。
矩香って名前がもうね、これ藤原紀香が人気あったころですかね。(笑)
で、うねをめぐって将軍徳川家光とその父であり大御所である徳川秀忠の争奪戦が始まるわけです。
東慶寺の住持天秀尼は豊臣秀吉の孫娘である涼姫。
家光は以前から涼姫に想いを寄せており、東慶寺を守る、つまりうねを守る側になります。
矩香や父の柳生宗矩が付くのは家光側です。
秀忠側も魔剣使いや妖術使い、矩香が昔ほのかに想いを寄せていた剣客などを引っ張り出してきて、もう大騒ぎ。(笑)
山田風太郎どころじゃないですね、こりゃ。
しかしたかが朝鮮人女性ひとりをめぐってここまでやりますか。
死者数十人ですよ。
まあ朝鮮使節団のプライドなんかもあったりするんですけど。
でもただ荒唐無稽なだけではなく、説得力もあります。
強引ですが。
そうそう、この作者なんでこんなに朝鮮にこだわるんでしょう。
あと柳生とか。
いや、独特の世界観が実に面白いんですけどね。
ラベル:時代小説
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2020年04月11日

「世界のへんな肉」白石あづさ

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肉。
料理としての肉。
日本人なら肉といえばやはり牛肉でしょう。
しかし海外ではいろんな肉を食しています。
はてさて、著者は世界各国でどのような肉を食べてこられたのか・・・・。
ところ変われば品変わるで、国によっていろんな肉を食べています。
著者は3年間の世界一周をはじめとして、あらゆる国の料理を食べてこられました。
この本では最初にインドでの牛カレーを紹介しておられます。
えっ、インドで牛肉? と思いますよね。
インドで牛といえば神聖な存在。
それをカレーで出している店があるとか。
また繁盛しているとか。
アフリカではラクダ。
ラクダは食べ物なんですね。
その他いろいろ、日本人にとっては「えっ、そんなの食べるの!?」というのが紹介されています。
でもその土地では昔からある当たり前の食文化。
それに対して果敢にチャレンジされる著者の好奇心と胃袋が実に頼もしくて面白い。
日本人からしたら、ある意味ゲテモノともいえます。
ヤギの脳みそだとか、カエルの卵だとか。
食べられない気持ち悪いといった印象はあるかもしれませんが、決してそれを否定してはなりません。
それもちゃんとしたその国の歴史ある食文化なんですよね。
なのに例えば日本が鯨を食べるというと批判し、妨害する外国人がいます。
まったく上辺だけで良いの悪いの言ってる浅はかな連中だと思います。
その国の文化を理解する頭のない感情的なヒステリック集団です。
どうしようもない。
あ、これは私の個人的な意見で、この本ではそんな批判的なことはいっさい書かれていません。
各国の肉料理事情。
現地の人たちとの出会い。
著者はちゃんとそれぞれの国の食文化を嬉々として受け入れておられる。(ウマイマズイは別ですが 笑)
食を語るなら、このように柔軟な姿勢でありませんとね。
ラベル:グルメ本
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