2020年07月31日

7月の一冊

今月の読書は14冊でした。
その中で小説を8冊読めたのは嬉しい。

・「紙婚式」山本文緒
・「「あまカラ」抄1」高田宏 編
・「爆心」青来有一
・「ビターシュガー 虹色天気雨2」大島真寿美
・「剣客商売番外編 ないしょ ないしょ」池波正太郎
・「セラピスト」最相葉月
・「圏外同士」冨士本由紀
・「〈美少女〉の現代史 「萌え」とキャラクター」ササキバラ・ゴウ
・「世界のインスタント食品」森枝卓士
・「輝ける闇」開高健
・「アイビー・ハウス」原田ひ香
・「フレンチの王道 シェ・イノの流儀」井上旭 聞き手神山典士
・「厭世フレーバー」三羽省吾
・「力道山がいた」村松友視

「紙婚式」、短編集なのですが、どれにも怖さが潜んでいます。
ホラーという意味じゃなくて、この作家が書く日常は怖いです。
「「あまカラ」抄1」、大阪発の伝説の食雑誌から抜粋した食エッセイ集。
執筆者の豪華さといったらまた。
「爆心」、世界唯一の被爆国としてそれをどのように小説にするのか。
直接被爆を知らない世代はこのような小説にしました。
「ビターシュガー 虹色天気雨2」、テレビドラマにしたらいいんでしょうね。
そっち向けの小説だなと思いました。
「剣客商売番外編 ないしょ ないしょ」、剣客商売の番外編であり、最終編です。
剣客商売としては秋山小兵衛の影が薄いですが、物語としてはそこそこ楽しめました。
「セラピスト」、精神医学、心理学、私はあまり信用していないのですが。(笑)
しかしこの著者の取材は徹底していますねぇ。
「圏外同士」、シビアな内容なんですけどコミカル。
社会からドロップアウト(?)しそうになりつつも、しがみつく若い女と初老の男。
「〈美少女〉の現代史 「萌え」とキャラクター」、リアルで恋愛できない男性が増えています。
マンガやアニメからそれを分析できそうですね。
「世界のインスタント食品」、日本を始めとして世界各国にあるインスタント料理。
さて、海外にはどのようなインスタント食品があるのか?
「輝ける闇」、ベトナム戦争を自分の眼と身体で体験した開高健。
彼は何を見、どのように小説に昇華したのか。
「アイビー・ハウス」、2組の夫婦が2世帯住宅で同居生活。
その結果どのようになったのか、というお話。
「フレンチの王道 シェ・イノの流儀」、ベテランシェフのフランス修行時代の話はまあよくあること。
しかしトロワグロに影響を受け、ひたすらソースにこだわるクラシックを追及する姿勢には感銘を受けました。
「厭世フレーバー」、家族小説であり、日本の歴史も透かして見えるような構成です。
ただちょっと印象が弱かったか。
「力道山がいた」、昭和のヒーロー力道山を取り上げた一冊。
ただ著者の思い入れが強すぎて、青臭い匂いがプンプン。

いやあ、この中から今月の一冊ですか。
厳しいなぁ。(笑)
では「輝ける闇」開高健で。
やはりこの現実(?)、描写には圧倒されます。

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2020年07月29日

「力道山がいた」村松友視

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戦後のヒーロー、力道山。
プロレスラーです。
今の若い人たちにとっては「誰それ?」かもしれませんね。(笑)
リング上でアメリカ人レスラーをめちゃくちゃにやっつけて、一躍ヒーローとなりました。
日本プロレス界の創始者ですね。
ジャイアント馬場やアントニオ猪木も彼の弟子です。
大人気のヒーローであった光の部分と、出生などのプライベートについての闇の部分。
ファンであった著者がいろいろな資料や自身の体験をもとに語っておられます・・・・。
う~ん、かなり著者のプロレスや力道山についての思い入れが強すぎて、読んでいてウザくなってきます。(笑)
けっこう著者の推測で断言しておられる部分も多いですしね。
この著者は「私、プロレスの味方です」という本で物書きとしてデビューした人ですから、その思い入れをわかった上で読まなくてはならないんでしょうけど。
なのでノンフィクションというよりはエッセイとして読んだほうがいいのかもしれません。
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2020年07月27日

「厭世フレーバー」三羽省吾

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父親が失踪した家族。
残されたのは14歳の次男、17歳の長女、27歳の長男、42歳の母親、73歳の祖父。
次男は熱中していた陸上部を辞めて高校にも進学しないと言い出すし、長女は夜遅くまで帰ってこない。
長男は父親代わりに家計を支えるため必死に働きます。
母は酒浸りのアル中状態、祖父はボケ進行中。
家族バラバラといいますか、崩壊に向かっています。
家庭の大黒柱に家出された家庭はどのようになっていくのか・・・・。
求心力(?)を失った家庭のその後を、各人物の視点で描いています。
つまりそれぞれはそれぞれの事情を抱えているんだということですが。
これは書き方としてはありふれていますね。
ですがこの小説はただ家族を描いているだけでなく、それぞれの世代を描くことによって戦中戦後、バブル時代、その後、現在を描いておられます。
ここに作者のメッセージがあるように思えます。
大げさに言えば一家族を描きながら日本の歴史や価値観を描いている。
でもいまいち読み終えてぐっとくるものがありませんでした。
デビュー作がインパクトあったので、よけいにそう思ったのかもしれません。
ラベル:小説
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2020年07月25日

「フレンチの王道 シェ・イノの流儀」井上旭 聞き手神山典士

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日本においてのフランス料理。
いまやほんと根付きましたよねぇ。
どこの街でもフランス料理の看板を挙げた店があります。
ですが昔は当然そんなことはなく、フランス料理といえばホテルのレストランだけでした。
しかも今からすればフランス料理というよりも洋食というレベルです。
そんな状況の中、本物のフランス料理を学ぶために、それこそ決死の覚悟でフランスに渡った料理人たちがいました。
その中のひとり、井上旭。
東京京橋の『シェ・イノ』のオーナーシェフです。
『ラセール』や『マキシム』といったいろいろな名店で修業するのですが、『トロワグロ』のジャン・トロワグロを師と仰ぎます。
ジャン・トロワグロといえば言わずと知れた名シェフ。
ソースの神様とまで言われた人です。
井上氏はジャンのルセットだけではなく、その動き、振る舞いを映像で頭に刻み込んだといいます。
「どのタイミングでポルト酒をどれくらい入れるのか。コニャックはどこでどれだけ振るのか。白ワインは何をどれくらい煮詰めればいいのか」
映像で身体に染み込ませたといいます。
なので井上氏の料理はソースに重点を置いたクラシック。
王道のフランス料理です。
現在においては賛否あるかもしれませんが、氏の言う「いつからソースは泡だらけになったのか」という言葉には賛成。
軽さを求める現在においてそういうのはもちろんありでしょうが、猫も杓子もの感があります。
とくにスペインの『エル・ブリ』が注目を浴びてからは模範が雨後の筍のごとく現れましたもんね。
なんじゃこれは、といった料理。
最初にやったフェラン・アドリアは偉い。
でも流行に乗って真似した人たちはカッコ悪い。
クラシックな料理を受け継ぐというのとは意味が違いますから。
ブイヨンやコンソメも既製品を使っている店が多いという昨今。
このようなクラシックにこだわる店やシェフは貴重です。
ラベル:グルメ本
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2020年07月22日

「アイビー・ハウス」原田ひ香

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2世帯住宅を共同購入し、2組の夫婦が生活を始めます。
夫同士は大学時代の親友、妻同士は昔務めていた会社の先輩後輩という仲です。
蔦の絡まる赤レンガのその家をアイビー・ハウスと名付け、2組の夫婦の共同生活は順調にスタートします。
なにもかもが楽しい毎日。
ですがある日、若い女がタクシーを乗り付け一方の奥さんを訪ねてきます。
この女は何者なのか。
夫の愛人?
これをきっかけに2組の夫婦の共同生活が微妙に狂い始めます・・・・。
2世帯住宅とはいえ、ひとつ屋根の下で親子でも親類でもない夫婦が共同生活するというのに無理がありますよね。
現実としてもちろんそうなのですが、小説としてもやはりそのような結末を描いておられます。
で、この作品は単純に夫婦×夫婦だけではなく、当然それぞれの夫にも妻にも考えがあるわけで。
夫同士は大学時代のからの親友ですが、いまや考えに大きな違いがあります。
そして妻たちは夫の考えにズレを感じはじめます。
少しずつ共同生活の崩壊、夫婦生活の破綻が描かれているんですね。
私など絶対にこんな生活嫌ですけどね。
親友やら先輩後輩の間柄とはいえ、2世帯住宅での共同生活。
ぞっとします。
なので私からしたら設定自体あり得ないのですが、そこはまあ小説ですし、現実にも似たような生活もあるかと思います。
あえてそのような設定を舞台にし、作者なりの答えを出してみたのでしょう。
夫婦なんてのは単なる単位なんですよね。
血のつながりもなく結局は他人です。
ましてや夫婦単位の共同生活。
それらが噛み合わなくなるのは当たり前のことで。
このような生活が楽しく永遠に続くなんてのはありえません。
また誰の考えが正解かなんてのも断言できませんよね。
ラベル:小説
posted by たろちゃん at 01:00| Comment(0) | 『は』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする