2020年09月08日

「男の銘柄」円地文子

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里枝は結婚して4年になります。
夫の志村は女子高の教師。
あまりうだつの上がらないタイプの男です。
だからというわけではないのですが、里枝はいろんな男と情事を重ねます。
中学の同級生だった富永、売れっ子の商業デザイナーの花輪、その弟子の小森。
志村に内緒で株をやっている里枝は、それらの男たちを株の銘柄になぞらえて評価しています。
夫は安定資産株、花輪は大型レジャー株、というふうに。
夫の志村もまた若い女に手を出し、その女に乗せられて株にも手を出します。
やがてその情事やら株やらがしっぺ返しのように2人にのしかかってきます・・・・。
男たちを株の銘柄に見立てている設定が面白いですね。
ぱっと見、地味で夫に尽くすタイプの里枝が実は魔性の女。
サドもマゾもこなします。
見た目が美人なだけという女性よりも、肌を合わせて忘れられないという女性のほうが男はのめり込むんですね。
これは女性にしても同じかも。
この作品は昭和36年に「週刊文春」に連載された作品だそうです。
当時としてはけっこう刺激的な内容だったんじゃないでしょうか。
これまでの円地作品と比べても性に関しての表現がかなり大胆です。
現代の概念と変わらないかもしれません。
「女坂」の耐えに耐えた主人公に比べ、この作品の里枝の奔放なことよ。
これもまた円地文学。
ラベル:小説
posted by たろちゃん at 01:00| Comment(0) | 『え』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする