2020年10月30日

10月の一冊

今月は14冊の読書でした。

・「愛を振り込む」蛭田亜紗子
・「沖縄うまいもん図鑑」仲村清司
・「築地で食べる 場内・場外・“裏”築地」小関敦之
・「死者の奢り・飼育」大江健三郎
・「恋の舞台はお屋敷で」伊東悠香
・「火事場の仕事力」ゆでたまご・嶋田隆司
・「雪国」川端康成
・「左目に映る星」奥田亜希子
・「江戸前で笑いたい 志ん生からビートたけしへ」高田文夫 編
・「たべたいの」壇蜜
・「あるキング」伊坂幸太郎
・「皿の上の人生」野地秩嘉
・「感覚の倫理学」田中康夫
・「イギリスはおいしい」林望

「愛を振り込む」、幸薄い女性たちを描いた短編集。
それでもちょっと心が温まるところがあったりします。
「沖縄うまいもん図鑑」、独特の食文化がある沖縄。
本格的な沖縄料理というのは食べたことがないので、この本を見て食べたくなりました。
「築地で食べる 場内・場外・“裏”築地」、築地通が紹介するグルメ本。
現在は豊洲に移転してしまいましたが。
「死者の奢り・飼育」、閉鎖的な状況の中、生と死という対照的な話が描かれています。
戦争やアメリカといった時代を感じさせるテーマも。
「恋の舞台はお屋敷で」、イケメンモデルとのお屋敷でメイドをすることになった主人公のラブストーリー。
所々強引な設定がありますが、まあ楽しめました。
「火事場の仕事力」、人気漫画原作者の仕事術を公開。
サラリーマンなどにも応用できる内容です。
「雪国」、誰もが知る名作。
ですが話の内容は特にどうといいこともなく。
「左目に映る星」、左目の視力がどうこうという設定は必要なんですかね。
だからこその話でありタイトルなんですが。
「江戸前で笑いたい 志ん生からビートたけしへ」、関西の笑いに押され気味(?)の東京のお笑い。
ですがもちろん東京なりの面白さがあります。
「たべたいの」、タレントのグルメ本ですが、独特のセンスで読ませます。
タイトルがいいですね。
「あるキング」、いままでの伊坂作品とはちょっと違った雰囲気の作品。
天才野球選手の半生を淡々と描いています。
「皿の上の人生」、さまざまな料理人を取り上げた一冊。
人選が著者らしくシブイ。
「感覚の倫理学」、もう35年ほど前の本ですが。
軽いノリでシニカルな内容は田中康夫らしい。
「イギリスはおいしい」、なんだんかだ批判はあるけどもイギリスはおいしいんだと。
イギリスへの愛が籠っています。

え~、では今月の一冊をば。
そうですね、表題作がわりとよかった「愛を振り込む」。
これでいきましょう。

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posted by たろちゃん at 02:29| Comment(0) | 今月の一冊 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年10月28日

「イギリスはおいしい」林望

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イギリスの料理がまずいというのはよくいわれることで、半ば常識といっていいような風潮です。
実際にどうなのかと。
イギリス贔屓のリンボウ先生が検証(?)します・・・・。
ま、ざっくりと言いますと、やはりまずいようです。(笑)
「塩気についての感覚が鈍い」と書いておられます。
やはり味の決め手は塩加減ですからね。
日本には塩梅なんて言葉もあるくらいです。
これが鈍くてはどうしようもない。
またテクスチュア。
食感ですね。
例えば野菜なんかクタクタになるまで煮込んでしまう。
これは一昔前のフランスでもそうだったんじゃないでしょうかね。
和食では例えばインゲンなんか緑鮮やかに色を映えさせ、シャキシャキした食感を残すよう仕上げます。
クタクタに煮てしまっては台無しです。
そういう感覚が向こうにはない。
たしかに料理はまずいのですが、素材は決して悪くないといいます。
コックスというリンゴなど素晴らしいようですね。
そんな調子でイギリスの食についていいところ悪いところいろいろと紹介しておられます。
スコンの美味しさとか。
ちょっと感動したのが著者が結婚式に招待される話。
たまたまホテルのラウンジでお茶を飲んでいたところに出会った中年夫婦。
いろいろ話していると、娘が近々結婚するとのことで、よければ結婚式に来て下さいませんかと。
著者は冗談だと思ったようですが、半月ほどして招待状が届きます。
出席した著者は歓待されます。
日本の感覚ではあり得ないですよね。
見ず知らずのたまたまお茶で同席しただけの外国人を娘の結婚式に招待するなんて。
これ日本なら「なんで外人が?」、「あの人何者?」なんてあちこちで囁かれそうです。
ところが招待した中年夫婦はもちろん、皆が当たり前のように受け入れる。
教会での式のあと、披露宴はプレハブ小屋のような殺風景なクラブハウスだったそうです。
床のタイルも所々剥がれたりしているような。
しかしそこには何日も前から準備した新婦の母親の心づくしの手料理がテーブルの上に所狭しと。
実にいい結婚式、披露宴で、「自分の娘の結婚式もこうありたいものだと思わずにいられなかった」と結んでおられます。
ですよねぇ。
ホテルなんかでの派手でくだらない演出、金にもの言わせた割には大したことない料理。
両親や友人たちによる手作りの料理や真心にはかないませんよね。
ラベル:グルメ本
posted by たろちゃん at 01:00| Comment(0) | 『は』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年10月26日

「感覚の倫理学」田中康夫

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著者が「なんとなく、クリスタル」でデビューしたのが1980年。
ベストセラーとなり社会にも大きな影響を与えました。
その勢いを借りて(?)1983年から「anan」に連載されたのがこのエッセイです。
当時の風俗、流行、世相をなよっぽい文体でありながら鋭く切り込んでいるのはさすがです。
ただちょっとシニカル過ぎて鼻についたりもするのですが。
また青さもありますね。
この当時は20代半ばくらいでしょうか。
ちょっと余裕をかましながら世の中にツッパッてみました感もないではない。
しかしこういう視点とスタイルで世相を論じておられたのはやはり田中康夫だなと思います。
ラベル:エッセイ
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2020年10月24日

「皿の上の人生」野地秩嘉

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本で飲食店を取り上げる場合、店なのか料理なのか料理人なのかという選択があります。
ガイドブックなんかは店ですよね。
週刊誌や月刊誌などは新店や話題の料理人の店を取り上げることで読者をつかみます。
料理専門誌ならまさしく料理ですよね。
例えば柴田書店の「専門料理」とか。
この本の著者はいろんなジャンルの職人を取材しておられる人です。
なので店でもなく料理でもなく、料理人にしっかりとスポットを当てて書かれています。
登場する料理人たちは16人。
ほとんどがスターシェフとかではなく一般的にはあまり知られていない人たちです。
ここに著者の見識を見ます。
有名な料理人や話題の店を追っかけて紹介記事を書いている(書かされている)ライターとは違い、ご自身のアンテナに触れた店の料理人をきっちり取材し紹介しておられる。
タイトルにあるように、料理人が皿の上に表現している人生を紹介しておられるんですよね。
ラベル:グルメ本
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2020年10月22日

「あるキング」伊坂幸太郎

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弱小プロ野球チーム仙醍キングスのファンである山田亮、桐子夫婦。
生まれた男の子を王求(おうく)と名付け、野球の英才教育を施します。
毎日がひたすら野球です。
その甲斐あって王求は才能を伸ばし、12歳で現役プロ投手からホームランを打つほどの怪物に育ちます。
このまま順当にいけば間違いなくプロ入りですが、人生そう簡単なものではありません。
さて、王求の数奇な人生は・・・・。
いままでの伊坂作品とはちょっと異質です。
王求という少年が淡々と野球に打ち込む姿を、これまた淡々と描いています。
ただやはり伊坂幸太郎、その内容は一筋縄ではありません。
なのですが、これはちょっとわかりづらいですね。
ストーリーではなく作者の意図が。
ご本人もあとがきに書いておられるのですが、「自分の好きなように書く」というのが目的だったとのこと。
シェークスピアの「マクベス」からの引用を多用しておられます。
おそらく作者は今か昔かはわかりませんが、「マクベス」に影響を受けられたのでしょう。
それはいいのですが、ちょっとそれにこだわり過ぎられたのではないかという気がします。
「Fair is foul」、フェアはファウル、ファウルはフェア。
これ野球用語にも当てはまりますので、ここから野球選手の物語ということで発想を得られたのかなと。
「自分の好きなように書く」ということで書かれたわけで、読者がどうこうべきではないのかもしれませんが。
ただ読み終えて、「で、なんなの?」という感想です。
実験作ですが成功作ではないですね。
ただ伊坂幸太郎らしさは文章からじゅうぶんに味わえます。
ラベル:小説
posted by たろちゃん at 01:00| Comment(0) | 『い』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする