2020年10月07日

「死者の奢り・飼育」大江健三郎

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医学部大講堂の地下にある死体処理室で死体の運搬のアルバイトをすることになった学生。
古い水槽から新しい水槽に死体を移動させる仕事なのですが、すべてを移動し終わったあとに助教授がやってきて、その仕事は徒労だったことを知らされます・・・・。(死者の奢り)
山中に墜落した飛行機の黒人兵を捕虜にし、地下室で“飼う”ことになった村。
やがて村の子供と黒人兵のあいだに友情が芽生えるのですが・・・・。(飼育)
その他4編収録。
どれもなんらかの閉鎖的な状況が舞台となっています。
米国兵との関わりも描かれています。
このあたりは時代を感じさせますね。
生と死というテーマもありましょうか。
「死者の奢り」では死体を扱う女子学生は妊娠していますし。
私的にはデビュー作ともいえる「死者の奢り」や芥川賞受賞作の「飼育」よりも、他の収録作に惹かれました。
療養所での出来事を描いた「他人の足」。
米兵に日本人が侮辱される「人間の羊」。
これは米兵の行為よりもそれを傍観していた日本人を痛烈に皮肉っているわけで。
「戦いの今日」というのも、これは作者の意図とは違うかもしれませんが、私は団塊の世代連中がやっていたバカな運動の嘲笑として読みました。
ところで、死体管理のアルバイトというのは昔から都市伝説的に語り継がれているのですが、本当にあるんですかね?
この本によりますと、やはり眉唾のようですが。(笑)
ラベル:小説
posted by たろちゃん at 01:00| Comment(0) | 『お』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする