2020年12月18日

「酒を愛する男の酒」矢口純

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著者は雑誌の編集者をしておられたということで、やはり作家たちとの交流が深かったようです。
というわけでタイトルの「酒を愛する男」というのは、つまりこの本に登場する人たちというのはほとんど作家です。
井伏鱒二、藤原審爾、遠藤周作、川端康成、吉行淳之介、安岡正太郎、梶山季之、伊丹十三山口瞳開高健立原正秋・・・・。
いやいや、すごい顔ぶれですね。
それぞれの作家のエピソードが語られています。
以前にも書いたことがありますが、昔の作家って酒が似合いますね。
酒というか酒場というか酒についてのエピソードというか。
現在の作家でそのような人はいませんねぇ。
北方謙三なんて声もあるかもしれませんが、あの人はバーに入って「あ、北方謙三だ」という声を聴いたら、バーテンダーに「いつもの」といってウイスキーのストレートを出させる。
それを一気飲みして「じゃあな」と店を出る。
それを見た客は「さすが。カッコイイ」となるのですが。
でもこれ実はこういうときのために用意してあるウーロン茶なんですね。
バーテンダーもグルになって演出してる。(笑)
それに私が勝手に思う酒の似合う作家というのは、ハードボイルドに出てくるようなバーじゃない。
バーはバーでもやはり文壇バーでしょうし、それよりも場末の飲み屋が似合う作家がいい。
でも昭和にあったような文壇バーなんて今はもうないでしょうし、場末の飲み屋なんてのも場末自体がない。
あっても若い作家なんてそんなとこに行かない。
なのでこのような酒を愛した作家たちのエピソードは貴重な過去の記録です。
時代が違うといえばその通りなんでしょうけど、今の作家にはない魅力がありました。
昔は作品とは別に作家本人にも個性というか魅力がありましたね。
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2020年12月15日

「仕事道楽 スタジオジブリの現場」鈴木敏夫

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著者はもともと徳間書店の編集者。
「アサヒ芸能」に配属され、その後「アニメージュ」の創刊を任されます。
たった3週間の準備期間で。(笑)
そんなこんなでアニメの世界と関わることになります。
で、出会ったのが高畑勲・宮崎駿のお二人。
後にアニメ界の重鎮となる人たちですね。
最初は取材を拒否されるのですが、著者は粘り強くひたすら隣に座り続けた。
そしてだんだんと打ち解けて。
やがて「風の谷のナウシカ」を製作することになります。
その後スタジオジブリ設立。
ジブリに出向→徳間書店を退社→ジブリの取締役となり、ジブリ作品をプロデュースしていきます・・・・。
なかなか波乱万丈ではありますが、ご本人は非常に楽しんでおられます。
いろんな人たちとの出会いが面白くてしょうがないという感じですね。
ポジティブです。
すごく大きな仕事をやってこられたのですが、肩の力が抜けています。
といってもその時その時はとんでもない忙しさやプレッシャーがのしかかっているはずですが。
好きな人と好きな仕事をしてきたと著者は言います。
なので著者にとって仕事は「道楽」なんですね。
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2020年12月13日

「あのころ、私たちはおとなだった」アン・タイラー

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自宅をパーティーなどの宴会場として経営しているレベッカ。
夫に先立たれ、現在は自身が経営者としてやりくりしています。
何年もそんな生活をしてきましたが、中年になり、ふとそんな人生はもしかしたら間違っていたのではないかと思い始めます。
かつて付き合っていたウィルという同年代の恋人がいながら、突如出会ったジョーという3人もの子連れの年上の男と電撃的に結婚。
もちろんウィルを捨てて。
そして今の生活があります。
しかしなんで自分はこんなとこで宴会場を盛り上げたりしているのだろうという疑問にかられるわけです。
昔の分岐点に戻ったら人生をやり直せるのではないか。
レベッカは思い切って昔の恋人ウィルに電話をかけます・・・・。
宴会場を経営しているレベッカは大家族です。
といっても同居しているのは義父のポピーだけですが。(たぶんそうだったと思う 笑)
しかし義理の娘3人や実の娘、それらの夫たち、義弟、実母や叔母、出入りの業者などなど、家にはいろんな人たちが出入りします。
これらの人たちが直接的間接的にいろんなことを言う。
義父のポピーはボケてるし。
日々のパーティーの予約をこなしつつ、家族たちが醸すドタバタ感を舞台にレベッカの日々が描かれています。
そんな中でかつての恋人と再会し、この男性と人生をやり直せるのではと思いつつ自宅に招いて家族に紹介もするのですが。
早くに夫を亡くし、ひたすら家業を守るために働いてきた女の人生とは何だったのかという問いかけがありまして、もし別の男と一緒になっていたらという妄想があります。
なので昔の恋人に電話して会ったりもするわけですが。
これがあまり重くならずに書かれているのが作者の個性なんでしょうか。
義父のボケっぷりがユーモラス。
個性のキッツイ娘たちもまた主人公のレベッカをニュートラルな立場にしています。
ウィルはお気の毒。
レベッカが周りの人たちに振り回されているような内容ですが、実際レベッカも相当周りを振り回してますよ。(笑)

↑今読み返してみましたが、書いてること支離滅裂ですね。
最近ちょっとだめですわ。(笑)
ラベル:海外小説
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2020年12月11日

「パスタぎらい」ヤマザキマリ

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著者はマンガ家です。
「テルマエ・ロマエ」の作者として有名ですね。
17歳でイタリアに暮らし始めてから2019年で35年になるといいます。
フィレンツェで貧乏暮らししていたとき、『アーリオ・オリオ・エ・ペペロンチーノ』を散々食べたそうです。
安上がりだから。
原価はせいぜい30円程度だったとか。
ところがあるテレビ局のプロデューサーにつれて行ってもらった日本のレストランでは1000円以上。
思わず「ほとんどレストランの丸儲けじゃないですか」と漏らしてしまったと。(笑)
しかもスタッフたちは皆日本人なのに「ペルファヴォーレ!」、「グラッツィエ!」などとやっている。
客はやたらワイングラスをぐるぐる回している。
イタリアでもフランスでもそんなことやっている人はいませんし、著者のイタリア人の夫はそのような光景を見て苦笑するそうです。
日本人の受け入れ方ってどこか間違ってますよね。
まあそれはともかく、若い時に過剰に摂取したせいか、パスタ全般に食欲をそそられることはなくなってしまったそうです。
あえて食べたくなるとすれば、ケチャップを使ったナポリタンやタラコソース、納豆スパなどの和風スパゲッティだとか。
イタリアに何十年暮らしていても、やはり日本人なんですねぇ。
最初にそのようなエピソードが紹介されていますが、別に丸々一冊パスタぎらいについて書かれているわけではなく、幅広くイタリアの食文化について書いておられます。
しっかりと軸足をイタリアに置いておられるので、読んでいてブレがないのが心地よい。
楽しく読ませていただきました。
ラベル:グルメ本
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2020年12月08日

「東スポ黄金伝説。」赤神信

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スポーツ新聞の中でも独特の個性といいますか編集方針でファンをつかんでいる東京スポーツ新聞。
著者はそんな新聞社に昭和40年代前半に入社しました。
東スポが現在に至るまで、どのような経緯があったのか。
どのような記者たちがいたのか。
現場を体験した著者によるノンフィクションです。
いやもう、荒唐無稽といいますか。
社長からしてとんでもない人物なのですが。
編集方針がすごいですね。
例えば三島由紀夫が自衛隊市ヶ谷駐屯地に乗り込み割腹自殺したとき。
他紙はもちろん1面三島です。
東スポはどうしたか。
『馬場流血の大惨事』だったそうです。
三島の割腹よりもプロレスのジャイアント馬場の流血。(笑)
そんな新聞社ですから個性豊かな社員たちばかりだったようで。
芥川賞作家の高橋三千綱が社員だったころのエピソードも紹介されています。
まさしくこの時期に芥川賞を受賞したようで。
まだ売れてなかった頃のツービート(北野武)なんかも関わってるんですね。
その後社長の死去などもあり世代交代し、見出しのハッタリがウリになってきます。
『ネッシー出産』。
あちこちから問い合わせがあったそうです。(笑)
マドンナが泊まった部屋のごみ箱にボラギなんとかという薬を発見し、翌日の見出しは『マドンナ痔』。
その他、『人面魚危篤』、『フセイン、インキン大作戦』、『タイソンの母親、性病』、『落合家チンポ丸出し』、『クリントン宇宙人と握手』。
試写を観てジャッキー・チェンが映画内で暴力団に撃たれるシーンがあったので、『ジャッキー・チェン暗殺さる』。
もうね、掴めばオッケーみたいな。
でもこういう新聞があってもいいですよね。
一服の清涼剤です。(笑)
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