2007年01月31日

「白い薔薇の淵まで」中山可穂

なかなか壮絶な愛の物語ですね。
といっても男女ではなく女同士の愛ですが。
普通のOLである主人公が作家の彼女と出会い、男では味わえないほどの性愛に溺れていきます。
気難しい彼女とはなんども喧嘩をし、別れそうになり、実際に別れ、男と結婚してもなおかつ彼女のことが頭から離れない。
挙げ句の果てはジャカルタの阿片窟にまで彼女を追いかけます。
そして夫とも離婚。
一軒家を借りて彼女を待ち続ける主人公。
たしかにいつまでも忘れられない相手というのは存在し得ますね。
すべてを捨ててでもとことんその相手を追いかけ、「白い薔薇の淵まで」行きたいと思わせるほどの相手。
でもなかなか現実はそれを許しませんが。
ちょっと気になったのは冒頭とラストのつじつまが合わないこと。
物語は冒頭で主人公がニューヨークの書店で彼女の著作を目にするところから始まります。
10年前に彼女は亡くなったと。
そして思い出が語られていきます。
しかしラストでは彼女が亡くなったという具体的な記述がありません。
阿片窟で彼女と会ったのは幻であり、やはり死んでいたのだという抽象的な記述はあるのですが。
編集者から送られてきた彼女の著作に、彼女がかわいがっていた猫の毛がまぎれこんでいたというのもおかしい。
それを見て必死に彼女のアパートに向かうのですが。
彼女はアパートで自分をずっと待っていたのだと。
でもそれなら冒頭にある、彼女は10年前に死んだという記述はなんなのでしょう。
なぜ主人公は10年後にニューヨークにいるのでしょう。
ちょっとそのへんが引っかかりましたね。

ラベル:小説
posted by たろちゃん at 20:26| Comment(0) | TrackBack(0) | 『な』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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