2008年04月30日

「ゴールドラッシュ」柳美里

登校拒否の14歳の少年、知的障害者の兄、援助交際している姉、ワンマン経営でパチンコ屋を経営し愛人のいる父親、別居している母親。
この作家の書く小説はいつも家族が崩壊しています。
父親からパチンコ屋の跡取りと任命され、大人の支配人や従業員を平気で呼び捨てにして命令する少年。
そのように育てられたからでしょうか、自分の気に入らないことはすべて癇癪を起して否定するような性格です。
いわゆる「ムカツイ」て「キレ」る性格ですね。
少年は父親さえも殺してしまいます。
死体を地下室の床下にある金庫に閉じ込めての生活が始まります。
そして中学生である自分がパチンコ屋の社長として振舞おうとしますが、もちろんそう甘くはありません。
少年はだんだんと精神的に追い込まれてしまいます。
完全に教育が間違っていますね。
現実にもこのような甘やかせの例があるのでは。
小説の中にも書かれていますが、一従業員として便所掃除や玉替えからやらせればこのようにはならなかっただろうと。
当然少年は現実的にも精神的にもじわじわと追い込まれていきます。
ラストはどのようになるのかとワクワク読んでいましたら、ちょっと期待はずれでした。
抽象的といいますか、象徴的といいますか。
作者の小説にしてはそれまでよりもエンターテイメント的な要素が強いと思いますが、やはり具体的なラストにしてしまってはサスペンス小説になってしまうということでしょうか。
読み応えありました。

ラベル:小説
posted by たろちゃん at 20:28| Comment(0) | TrackBack(0) | 『ゆ』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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